Canon EOS 40Dインプレッション




 
基本的なスペックとかプロの使用感とかはデジカメwatchほか商用サイトで色々やってくれると思うので、ここでは俺の使用感を中心に述べたい。


FinePix Z5 fdで撮影 40Dの写真は以下同


まず俺はEOS 20Dから30D、40Dと買い換えているが、20Dから30Dへ、30Dから40Dへの買い換えはいずれも5万円ほどで済んでいる。新型が出て旧型の買取価格が崩れる前に売却しているためである。このクラスのEOSは約18ヶ月ごとのモデルチェンジなので、50,000円/18ヶ月=月々2,800円ほどの減価償却となる。カメラを趣味にするのであれば、悪くないランニングコストだと思う。

なお、買い取り価格をオンラインで簡単に調べるには、Sofmapの買取り価格検索画面が便利。

但し、新型入手前に旧型を手放ししてしまうのは、新型が手に入りにくい場合や、新型を買ったが初期不良だった場合などにリスクがある。俺も「もし40Dが品薄だったら子供の運動会(1ヶ月先)はどうしよう」と不安があったが、品薄になっても1ヶ月も入手できないことはないと思うので、今回もリスクをとった。フタを開けてみれば発売日の週の週末は在庫は潤沢で、必ずどこかでは買える、という状況だったようだ。

しかし、こういった頻繁な買い換えをしていると、機械に対する愛着は薄くなる。特にカメラのような苦楽を共にする機械の場合、もう少し愛着を持って使いたいとは思う。買い換えではなく買い増しができるほど経済力があるわけではないし、いつも新型が出ると「愛着」と「新しもの好き」の葛藤となる。

そういえばEOS 30Dが出た際には、20Dからの変更の少なさにあまり盛り上がらなかったことを覚えている。俺個人の内部では結構盛り上がっていたのだが、世間様の目は冷静だったようだ。液晶は少し大きくなり視野角は増えたが、色味は青っぽく明らかにおかしくなった。画質のチューニングは行われたが、撮像素子自体の変更はなかった。20Dから30Dに機種変する価値を見いだせないユーザも多かっただろう。


 


しかし今回の40Dの変更点はなかなか多い。液晶がさらに大きくなり、色味は正常になった。撮像素子は2割増えその割にはノイズは増えていない。センサークリーニング機構を搭載し、液晶を用いたライブビュー撮影も可能である。連写は6.5コマ/秒になり、連写バッファも増量。AFの精度も向上した。これは20Dや、その前の10Dからの機種変としては魅力的だろう。

さて、在庫が潤沢であっさり入手できたので、子供が寝るのを待って、ようやく箱から出してみる。

第一印象、重い。でかい。旧モデルと比べてバッテリー1本分くらい重くなっている。筐体の高さは20D/30Dと比較しても明示的に大きくなったわけではない。しかし右手グリップ部分は40Dからやや大きくなり、男性の手でガッシリと掴めるようになった。但し女性の手には少し大きすぎるのではないかと思う。筐体の左手方向にもシボ加工が施され、高級感が増した。

液晶は20Dから比べると笑ってしまうほど大きい。もうここら辺で打ち止めして貰いたいほど大きい。そして明るさもアップしている。画素数は23万画素と少ないが、視野角、色味とも問題ない。


 


ファインダー内にはISO表示が追加され、また、ファインダー自体も若干大きく、見やすくなった。ファインダー内のフォーカス位置表示(赤い四角)の視野角、視認性も向上している。ISO表示も嬉しい。

シャッターを空打ちすると、ネットでの評判どおり、笑ってしまうようなシャッター音がした。連写のときは好印象なのだが、単写の際にはまさに「パコン」という表現どおりの音がする。また、ミラーダウンするタイミングだと思うが、右手に明確な振動が伝わる。性能を突き詰めた結果、このお値段では官能までは追求できなかったのだろう。

今回、ボディキャップは帯電ゴミ対策が施された専用品である。他のカメラのキャップと間違えないようにしたい。表面が従来品よりザラザラしている。

ライブビュー機能を試してみたが、AF-ONボタンの存在意義が解らなかった。なぜシャッター半押しでAFにしなかったのか。ライブビューでのAF動作時にカシャッとミラーが動くので、シャッター半押しにAFを割り当ててしまうと、それで「撮れた」と勘違いするユーザが続出するからだろうか。

風呂場でケンコーの液晶保護シールを貼り、週末に家族サービスを兼ねてテストショットに出掛ける算段をした。



 


9月最初の日曜日、40Dを下げて半日ほど鎌倉を散策してみた。レンズはお散歩に最適な、EF-S 17-85mm IS USMである。描写は甘めだが、そこそこコンパクトで、スナップには画角が使いやすい。このレンズから何度もステップアップしようと思ったが、画角とISの使い勝手の良さの呪縛から逃れられない。

今までのEOS DIGITALユーザなら、40Dはマニュアルを読まなくてもある程度は使いこなせるだろう。このあたりの操作性の統一感や、ユーザの期待に対する挙動の予想のしやすさはたいしたものである。

液晶が巨大化しすぎて、撮影のたびに鼻の脂で画面左端が汚れ、プレビューが確認しにくかった。やはり3インチはDSLR用としては大きすぎるのではないか。

次に気がついたのは電源スイッチ。EOS 30Dは肩から下げていると勝手に電源スイッチがジョグONからジョグOFFの位置に動いてしまうと言う欠点があったが、今回も程度は改善したものの、完治には至っていないようだ。また、同様の問題として、筐体の端にある再生ボタンが押され、しばしば勝手に再生されていることがあった。

ちょっと喫茶店で休憩など、空いた時間があれば明らかなミスショットをその場で消去し、家での整理の手間を軽減したい。今回ようやく「選択して削除」機能が搭載されたので、カメラでの写真削除が大変楽になった。但し、ジョイスティックを使ってメニューからの「削除」は選択できない。バグかと思ったら取説に明記されているので仕様のようだ。カードフォーマットも同様にジョイスティックでは選択できないので、鞄の中での誤動作防止と推察される。

F9くらいに絞り込んで何ショットか撮っていると、早速青空にCMOSのゴミが映り込んでいるのに気がついた。メニューからセンサークリーニングしてみたが落ちる場合と落ちない場合があるようだ。効果はあるが万能ではないといったところ。新品から使い始め初期はドバドバとゴミは出ると思うのでしばらくの辛抱だ。気がついたらセンサークリーニングでも落ちなかったゴミはいつの間にか落ちていた。

AFはビシビシと合焦する。元々30Dのフォーカス性能に不満はなかったので、今回も問題ない。ファインダー内AF位置表示が見やすくなったお陰で、中央以外のAFポイントを積極的に使おうかという気にはなってきた。

AvやTvモードではISO=AutoにしてもISO=400スタートのようである。AvモードでSS=1/1000秒に設定されるくらいなら、ISO=100まで下げて欲しいのだが、この設計意図はよく解らない。

問題のシャッター音だが、今日の撮影を思い出してみると…音に対する印象がない。そんなものである。40Dは動作音含めモノとしての緻密感、質感にやや欠けるとは思うが、ボディの剛性感自体は高く、価格と出てくる絵を考慮するとコストパフォーマンスは素晴らしく良い。設計意図として「いかに失敗写真を減らすか」「いかに撮影者の意図を反映できるか」に心血が注がれている印象があり、「カメラ好き」より「写真好き」向きのカメラと言えるだろう。


EOS 40D + EF-S 17-85mm IS ISO400(Auto) Av F9.0 0EV



EOS 40D + EF-S 17-85mm IS ISO400(Auto) Av F8.0 0EV



EOS 40D + EF-S 17-85mm IS ISO500(Auto) Av F9.0 -1/3EV



EOS 40D + EF-S 17-85mm IS ISO400(Auto) Av F9.0 -1EV



EOS 40D + EF-S 17-85mm IS ISO400(Auto) Av F8.0 -1 1/3EV




(2007年9月2日)

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