Cyber-Shot DSC-W170 インプレッション


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■ごくごく普通

いやぁ、最近のサイバーショットってどうなんだろう?という疑問から借りた前回のDSC-T300が、良くも悪くもカメラの枠から飛び出そうな勢いだったので面食らったのだが、今回お借りしたDSC-W170は普通のカメラで、安心して使うことができた。

まず何がいいかって実ボタンによる操作であること。やっぱり現時点での技術レベルではタッチパネルより実ボタンの方が使いやすい。DSC-T300ではタッチパネルで設定にたどり着くのが面倒だった「顔認識」モードも、ダイヤルを回すだけで簡単に設定できる。

ただ実ボタンによる操作系はあるものの、ダイヤル操作やボタンのタッチが比較的軽めなので、このスクエアなボディを片手で保持している間に親指でボタンやダイヤルを触ってしまい、いざ使おうとすると記憶と違うモードになっていたことがしばしばあった。このあたりは筐体サイズの関係上いさしかたない部分はあろう。なお、電源ボタンはさすがに誤操作されにくいところにある。

オマケ程度だが光学ファインダーがあるのもいい。視野率はトホホなレベルだが、ちゃんとレンズに併せてズームするのは立派。フィルム時代のコンパクト機だってこの程度だったはずだ。オデコによる手ぶれ防止や視野に没頭できるなど、光学ファインダーのメリットは多い。


■良くも悪くもソニー

dsc-w170-1底面にはドックやケーブルを接続するための多ピンコネクタがあるが、ちゃんとスプリング式のフタが付いているのがソニーらしい芸の細かさだ。しかし軽く押せば開いてしまうフタなので、軽いホコリと静電気よけ程度の機能しかない。もう少ししっかりしたフタがあればモアベターだと思う。

お借りしたセットはみんぽす貸し出しの3巡目(3人目)だったためか、レンズ周りのリングの塗装がはがれていた。右の写真のレンズのところにあるCarlの向こうの部分だ。モノフェローズがそんなに激しく扱うとはあまり思えないので、もしかするとこの部分の塗装が弱いのではないだろうか。

スタミナ性能はさすがソニー。バッテリーの持ちはかなりいい。別売のバッテリーは本体添付品と異なりバッテリー残量が「分表示」できる高機能なタイプだが、持ちがいいので標準添付バッテリーの大ざっぱな残量表示でも困ることは少ないだろうと思う。

余談だが本機の充電器についているCHARGEランプはやや動作が変わっており、充電中に消灯した段階では「実用充電完了」を示すようだ。そのまま1時間ほど追充電すると本当の「満充電」になる。リチウムイオンは満充電しない方が長持ちするので、バッテリー寿命を考えた設計なのだろうか。ソニーは少し前からこの「実用充電」の考え方を持ち込んでおり、調べてみると過去の機種では「実用充電は満充電の90%」とあったが、本機での実用充電は満充電の何%なのかは不明だった。

それとこれは本機に限ったことではないのだが、こういった薄型のカメラの場合、電池の挿入方向がわかりにくい。「上下」を気にしなければならないのは乾電池も同じだが、こういった薄型電池の場合は「上下」に加えて「表裏」も気にする必要がある。本機のバッテリーも一方の面の角が丸まっており表裏を逆向きに挿入できないようにはなっているのだが、端子位置を工夫または追加すれば表裏を反転しても挿入できるような形状にできるはず。こういった文化はどこか1メーカーが実施すればおそらく雪崩式に実装されると思うので、メーカーには期待したい。


■撮影してみて

撮影していて、グリッド線が比較的細いのに気がついた。あまり細くても視認性が悪いが、逆に太いと視界の邪魔になる。本機くらいの細さだと邪魔にならず、見やすいと思う。

色調は時折黄色かぶりが見られる。本機に限らず他のサイバーショットもその傾向があるので、ソニーのカラーなのだと思う。

レンズの解像度は期待していたほど高くなかった。特にテレ(望遠)側の解像度は低い。


■他のサイバーショットとの違いが少ない

本機は顔認識やシーン認識などよく使われる機能についてはダイヤルを回すだけでワンタッチで設定することができる。その気になれば撮影者の意図をある程度反映した絵作りも可能だが、しかしそれらのパラメータはメニューの深い部分にあり、撮影中にコロコロ変えるのには向いていない。メニュー動作も高速性よりはアニメーションによる分かり易さを優先させており、シャッターチャンスに対する速射性は重視していないように感じた。ただ、アニメーション中にキーを連射した場合にはアニメーションを省略して次のメニュー項目に移動するなど、良心も感じられる。

「かんたん」モードにすると本当に最低限の機能のみに絞り込まれ、画面表示も大きくなり、高齢者など難しいことが苦手なユーザに対しては失敗の防止に有効だとは思う。ただ欲を言えば、かんたんモードがダイヤルひと回しでかんたんにモードを抜けてしまうのは気になった。かんたんモードが必要なユーザは、かんたんモードを抜けてしまったら困るのではないだろうか。

また「かんたん」モードを標榜する割には、メニュー画面の配色が「白地に黄色」なのも気になった。白地と黄色というのは高齢者が識別しにくい配色ではなかったか? せめて「かんたん」モードに入っているときだけでも、メニュー配色を白黒などにしてはどうだろうか。

本機の搭載機能は他のサイバーショットシリーズと共通の部分が多く、逆に言えば本機ならではの機能というのは少ない。説明書は印刷されたものはごく薄く、しかしそれだけ読んでもそこそこ使うことはできる。実用品としては非常に完成度が高いが、趣味性は低いといえる。あまり奇をてらったカメラは欲しくないが、難しいものは勘弁願いたいという人にお勧めする。


■サンプル

dsc-w170-2
ISO=400 プログラムオート(SS=1/25 f=9.9) カラーモードVivid


dsc-w170-3
ISO=100 プログラムオート(SS=1/200 f=8.0)露出補正-0.7EV カラーモードVivid


dsc-w170-4
ISO=100 プログラムオート(SS=1/500 f=5.2)露出補正-1.0EV カラーモードVivid テレ端


dsc-w170-5
ISO=100 プログラムオート(SS=1/160 f=13)露出補正-0.7EV カラーモード白黒 テレ端


dsc-w170-6
ISO=1600 プログラムオート(SS=1/13 f=5.2)露出補正-0.3EV ホワイトバランス蛍光灯1 テレ端
画面やや右下に撮像素子上のものと思われる汚れの影が映っている。




(2008年8月10日)

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