LocationFree ベースステーションLF-PK20 + PSP




 
最初にお断りしておくが、本機はみんぽすの借用品ではなく、自腹である。

LF-PK20は既存の無線LAN環境のクライアントとして動作する「クライアント」モードと、無線LANの親機として動作する「アクセスポイント」モードの2種類の動作モードがある。うちには既にAterm WR6600Hによる無線LAN環境を構築していたので、「クライアント」モードで動作させれば設置は簡単なのだが、もしAterm WR6600Hの代わりに親機(アクセスポイント)として運用ができれば、WR6600H分の電気代(11Wなので月額170円程度?)が節約できるし、機器が1台減る分だけ環境もシンプルになる。

ウチはたまたま光回線のルータ(PR-200NE)とDVDレコーダの設置場所が近かったので無線LAN親機との置き換えをねらえたのだが、離れている場合にはクライアントモードでの運用はやむなしだろう(そのためのクライアントモードである)。

LF-PK20のセットアップはPSPからでも行えるが、色々試行錯誤するには文字の入力などの容易さから、ルータにLANケーブルで接続されたWindows PCに、ロケーションフリープレーヤーPC用「LFA-PC20」(ソニーのWebページから30日お試し版がダウンロードできる)をインストールして行うと楽だ。

設置は縦置きが基本らしい。取説には何も書かれていないが、ロケフリのWebサイトのQ&Aに「横置きに設置する事はできません」とある。どういうことかとソニーに尋ねたところ、「横置きの場合には、本体の異常発熱や変形などの恐れ」があるという。本当に危なかったら取説に書くと思うのだが、あまり重要度は高くないのだろう。前機種LF-PK1は排熱ファンを搭載していたが、これが耳障りだというクレームが多かったためか、LF-PK20はファンレスである。熱設計で無理をしているのかも知れない。取説に横置き禁止と記載していないことでソニーを責めたところで排熱性能が向上するわけではないので、これ以上責めるつもりはない。いまは横置きにしかできないが、いずれ縦置きしたい。右の写真のテレビの左下にある黒い箱がそれである。

セットアップは取説通りに行うだけであっさり完了する。変に無線LANの知識を駆使して横道にそれたりするとかえって墓穴を掘る可能性がある。愚直に取説や画面通りにセットアップを行い、動作を確認してからSSIDなり暗号化キーなりをカスタマイズするのがお勧めである。

なお、LF-PK20は暗号化方式として「WEP」「WPA-PSK(TKIP)」「WPA2-PSK(AES)」の3種類に対応している。一方、PSPは「WEP」「WPA-PSK(TKIP)」「WPA-PSK(AES)」の3種類に対応している。一般的にはより暗号化強度の高い「WPA-PSK(TKIP)」で運用することになるだろう。なお、PSPから設定した場合には、LF-PK20の設定画面には「WPA2-PSK(AES)」は表示されない。よく出来ている。確か「WPA2」と「WPA」は互換性があるはずなのだが、PCからLF-PK20をWPA2に設定したところ、PSPとうまく繋がらなかった。

ウチでは今まで「WEP」を使ってきたが、WEP暗号の弱さは近年問題になっている。自宅でよく使うほとんどの機器がWPA-PSK(TKIP)に対応していることが解ったので、今回の環境の再構築を機に、無線LAN環境全体をWPA-PSK(TKIP)暗号化に移行することにした。これにより任天堂DSと、Windows98搭載のLavieNXが無線LAN環境から脱落するが、集合住宅ゆえセキュリティには代えられなく諦めた。余る予定のWR6600Hを使って「第2のWEPによる無線LAN環境」も構築できるが、月額170円の電気代を払ってまで構築したいとは思わなかった。LavieNXは全然使っていないし、DSの無線LANの用途は「DSブラウザ」なのでPSPで代用できるからだ。

WR6600HにはMAC(物理)アドレスを登録することでアクセスを制限する「MACアドレスフィルタリング」を設定していたが、LF-PK20には設定がない。MACアドレスは平文で送受信されるため、Wi-Fiキャプチャソフトで閲覧して偽装が可能なことが公知なので、MACアドレスフィルタリングは意味がないとソニーが判断したのかも知れない。

そんな訳でWR6600Hを参照していたすべての無線LANクライアントの設定を変更し、LF-PK20を無線LANおよびロケフリの親機として、無線LANの子機としてiMac、ThinkPad X31、PS3、PSP、Wiiが無事動作することを確認した。これでWR6600Hは退役である。ロケフリの子機としてはPSPだけを使い、パソコンからは使う予定はない。なお、LF-PK20の設定画面を開くには同じLAN上にあるPCまたはMacからhttp://172.29.71.1 を開けばOKである。(このIPアドレスは変更することはできない)。

LF-PK20にはアナログTVチューナが内蔵されているが、赤外線マウスも1個付属し、HDDレコーダなどを制御することができる。今回東芝のRD-XS57SをLF-PK20の外部入力1に接続し、制御、視聴可能とした。

アクセスポイントとしてのLF-PK20の性能だが、802.11g接続で、iMacからブロードバンドスピードテストを実施したところ17Mbpsと出た。数年前の製品であるWR6600Hでも20Mbpsくらい出ていたのでそんなに高性能と言うほどではないが、不満はないレベル。ここで画質のレートを「自動」に設定したPSPで室内ロケフリ視聴してみたところ、iMacからのスピードテスト結果は11Mbpsとなった。つまり6Mbpsほどの帯域がロケフリに取られることになる。もっとも、PSP側は802.11bなので、PSPに6Mbpsがそのまま割り当てられているわけではない。

画質や動きの滑らかさはワンセグより全然いい。ザラついた感じはあるし、ブロックノイズが皆無というわけではないが、PSPの画面サイズであれば全然OK。これがあれば室内でワンセグは不要だ。

今回のLF-PK20で特に感心したのが、「操作のタイムラグを減らす工夫」がされている点。ネットワーク経由での視聴では一時的なデータ転送の遅れが発生しても再生映像に影響がないよう、受信側に数秒分のバッファを設けるのが普通。しかしこのバッファがあると、受信側から送信側の機器を操作した場合の結果も、そのバッファにたまっている秒数分だけの遅れが発生する。たとえば東芝のレコーダについている「ネットdeナビ」でも、ユーザがレコーダを操作した結果を受信機側で確認できるのは数秒後であり、思ったタイミングで早送りを止めることは不可能に近い。

しかし今回のロケフリではユーザが操作をした場合に、一度バッファをクリアする仕組みが導入されているようで、ユーザが行った操作の結果をすぐ出画するようになっている。そのため操作が入ると映像が一瞬早送りされたように見えるのだが、レスポンスはすこぶる改善されている。これはよく考えたと思う。

1つ不安なのが「常時電源を入れておく機器として、ソニーの信頼性ってどうなの?」という点である。あまりいい印象がないが、こればっかりは実績を積んで貰うしかないので、評価は保留としたい。

【補足】

テレビを僅かに移動して、ロケフリを縦置きできるよう隙間を空け、縦置きに設置した。ウチのテレビは首を左右に振るスイーベル機構があるので、テレビが薄くても後ろにものを置けない。結果、右の写真のようにテレビを多少回転させても大丈夫な位置に配置した。福次効果として、視覚的にうるさいLEDがテレビ視聴時に見えにくくなったというのもある。



(2007年11月16日)

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