”Rolly” SEP-10BT インプレッション




 



本機は「みんぽす」からの借用品である。


■宝石のような

宝石箱のような梱包のrolly。オーナーに「何か大事なもの」という第一印象を与えようとしているようだが、いきなりでナニだが、付属品の収納に問題がある。付属品を取り出すために、rollyが収まっている布の台座を持ち上げると、台座の裏側の段ボールの張りぼてが見えて興ざめだからだ。折角ここまで気を遣うなら、付属品は箱の上側に納めるなどユーザに舞台裏を見せないような工夫が欲しかった。

rolly本体は意外と小さく、重い。重さはバッテリーが大きいという理由もあるが、机の上で滑らずに確実に踊るにはこの程度の重さが必要なのかも知れない。バッテリーは裏面から挿入するが、挿入口を開けるのにコイン式のネジが必要である。面倒だが、まぁ滅多に出す物ではないし、そういうコンセプトなのだろう。

スライド式の電源スイッチや、USBコネクタは、チャームポイントに見えるかも知れないが、最初の見た目として煩雑である。正座させたときに見えない位置に持ってきた方がより美しかったと思う。しかし本体からバッテリーの大きさを差し引いて残された空間を考えると、実装は相当キツく、電源スイッチやUSBコネクタの設置場所の自由度は低かったのかも知れない。

内蔵メモリには、最初から何曲かのデモ曲が入っていた。てっぺんのボタンを1回押すと、内蔵された曲を奏で始める。ダブルクリックするとダンスを始める。メカの動作音は無音ではないが、小さく上品である。左右の羽のような部分はかなり外乱に強く、手や障害物で動きが遮られたり、衝撃で外れたりすることは想定の範囲内の設計になっているようだ。

回転や移動を司るリング状の車輪は柔らかい樹脂かゴムのような素材でできており、確実に踊らせるため、滑りにくい素材を使っている。そのため走らせる場所の床にある細かいゴミを吸ってしまう傾向にあり、掃除がやや面倒だ。外観の維持と、確実な動作の両立は大変だと思うが、何らかの工夫が欲しい箇所だ。


■コストをかけた音がする

音質は意外にマトモである。形状がTime Domain Lightに似ているせいか、音の傾向も似ているように感じた。低域はサイズ相応だが、中高域はコストをかけたドライバーでないと出てこない芯の強さを感じる。

ダンスは1曲で終了する。次の曲は流れるのだが、ダンスはしない。どういった趣旨で1曲で終了してしまうのか不明だが、ダンスを継続するモードがあっても良かったと思う。

ダンス時にはスピーカーのフタが開閉するので、それに伴い当然だが音が変化する。

音量の調節は本体を縦に持ち、下側のリングを回すことで行える。ちょっとマテ、縦に持つってどっちを上に持つんだ?と思ったアナタは賢い。内蔵のセンサーで、実はどっちを上に持っても「下側のリングが音量調整」となるように作られている。良くできている。

床に置いた状態では曲の頭出しは本体を前後に転がせばいい。持った状態では上のリングを少し回せば曲のスキップ、大きく回せばグループジャンプとなる。シャッフルは縦に持った状態でボタンをダブルクリックしてから本体を振る、となっている。この操作系はrollyに似合っていると思う。

なお、バッテリーがなくなってくるとダンスのキレが悪くなる。もっとある程度の電圧降下でスパッと動かなくなると思っていたので、意外だ。


■動きを解析させるとシンクロ率アップ


MacOS+VMWare Fusion+WinXPでSonicStageを動作させた
音楽の転送はSonic Stageで行うが、このソフトはネットワークウオークマン類と共通で、rollyのダンスに関するカスタマイズに関する機能はない。ダンスを司るのは「Motion Editor」という別のソフト。

曲に合わせてのダンスは、パソコンアプリ側で曲を解析させた上で動きデータを転送すると、その曲にあったダンスをする。特にビートの効いた曲だと、ビートに合わせて踊る。曲の解析をしないでrolly側で勝手にダンスさせたときと比べて、音楽と動きのシンクロ率が全然違う。もう入れる曲の片っ端から解析させたくなるが、音楽転送ソフトとは別のソフトなので、いちいち 起動→解析→動きデータ転送 が面倒だ。解析自体は高速で、1曲あたり数秒で完了する。(Core 2 Duo 2.16GHzマシンの場合。)

将来的にはこの曲の解析処理は、SonicStage側か、rolly本体側かのどこか他の処理に隠蔽されるべきだろう。

また、動きは自動解析ではなく、自分で振り付けをさせることも可能である。Rollyには何曲かプリインストールされているが、その曲と動きが大変良くマッチしている。他にも動物の声とか乗り物の音がプリインストールされているのだが、最初音だけ聞いたときにはなぜこのような音が最初から入っているのか不明だったが、ダンスをさせてみて意味が分かった。まるでその動物や乗り物になったような動きをするのだ。Rollyの楽しみ方を提示するという意味で、秀逸なプリインストール曲である。今回は時間がなく振り付けまでは楽しめなかったが、おそらくMADアニメを作るような楽しさだろう。


■家族の反応

rollyを見たツマの感想だが、やはり「アイボ」を連想させられるようだ。定価を伏せて値踏みをしてもらったところ、「子供のオモチャとしてなら1万円、音楽再生機としては3万円」という。んー、俺が自分で買うとして、この機械に出せるのは2万円前後かな。

価格帯からすれば子供のオモチャにはちょっと勿体ないが、与えないにしても、最先端の技術の1つとして子供に見せてあげる価値はあると思う。ただ、子供に与えると、最初にスピーカーのコーンを指でつついて凹ませる可能性が高いので要注意だ。スピーカーはかなり柔らかい。

今度は4歳のムスメの前で、ヤマハ音楽教室のCDを入れてダンスさせてみた。

ムスメ大喜びである。

「これ気に入った〜」と言うが、いや、これ借り物だから。お父ちゃんこれ買うほど財力ないから。ソニーさんが頑張ってもっと安くなったら検討するから。


■ライバル不在

発売当初はiPod touchと比較する向きもあったが、実機に触れるとそれが全くの的外れであることが解る。iPod touchと似ているのは、音楽を奏でる機械である点と、価格くらいだ。

あいにくMacには非対応だが、最近のintel MacならBoot CampやFusionからWindowsを動かして転送するのが手っ取り早い。ネットでは非公式ながらiTunesの外部Bluetoothスピーカとしてrollyを鳴らす方法もいくつか見つけられる。

借用品なので、間もなく返さなくてはならないわけだが、返却の荷造りをして少し寂しくなった。ペットに対する感情移入のような、そんな気持ちだ。そこはかとなくAIBOの香りがするRolly、愛着は必ずしも動物の形状をしていなくても湧くようだ。

(2007年12月23日)

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