2万円強と、結構高いヘッドホンである。どうしていきなりE4クラスなのかというと、本当はE2かE3か迷っていたところ、E2からE3に買い換える人や、E3からE4に買い換える人が多いので、だったら最初からE4にしておくかと思ったのがきっかけ。E5は普段使いには帰って不自然、E4の方が自然という意見もあったので、E5までは行かなかった。 超開けにくく、無駄に空気だらけの万引き防止パッケージを、手を切りそうになりながら開けた。 付属品はいっぱい。イヤーパッド8種類9ペア(柔らかいMサイズPVCのみ2ペア)同梱。他に必要なら接続するボリュームコントローラとキャリングポーチと耳あか取り治具。なおキャリングポーチはE3C以下では内部にコード巻き取り用のボビンがついているが、E4C/E5Cでは中には何もないただの空洞となる。 E4C-N (E4Cのブラックバージョン)はグレーとチャコール(茶)グレーの2トーンと聞いていたが、これはどうみてもブラックとグレーの2トーンに見えるが… Gaming EditionはE4C-Nとも違う? 俺が過去に長く使ったヘッドホンは ・ソニー MDR-E888(←MD時代によく使っていた) ・B&O A8(←収納、装着が面倒なので長距離用) ・ゼンハイザー MX500(←これが安くて一番使用頻度が高い) ・パナソニック RP-HJE50(←パナル。ここ1年近く通勤時に愛用) くらいのものだが、まぁその程度の耳でインプレッションを。 パナルを使い始めたときは強烈な違和感があり、使う→違和感でやめる→でもカナル型独特の高音質に取り憑かれる→使う→違和感でやめる…の繰り返しだったが、そのうち耳が馴染んだのか、それともイヤーパッド側が馴染んできたのか、結局愛用してしまった。 パナルは安価なので通勤時にラフに使えるが、良くも悪くもケーブルが細く、ケーブルが頬タッチしてくすぐったいことがしばしばあった。また、パナソニックの安全基準なのか、耳の奥まであまり入れられるデザインではないため、俺の耳ではMサイズのパッドではキツくて耳が痛くなり、Sサイズのパッドではしばしば脱落した。パナルの音質は典型的な若者向きのドンシャリサウンドだが、これしか知らなければかなり満足できる品質であり、日本の工業製品のコストパフォーマンスの高さが伺えるものだった。 替わってE4Gだが、ドライバユニット自体はE4/E4cと共通、というのが発売元の見解のようで、E4をあまり試聴できる店もないため、共通であるという情報を信じるしかない。 カナル型はパッドを買えると音質が激変するのが特徴の一つ。耳穴の慣れ具合と相談しながらいろいろなパッドを試すのも楽しいと思うし、E4クラスになるとメーカーが用意するすべてのバリエーションのパッドが付属するので、とにかく一通り試すのには都合がよい。 三段キノコ型のパッドは俺の耳にはやや大きく、使用時に耳の横から何かがぶつかったときに耳の穴がヤヴァそうなので様子見。イヤーウイスパーのような黄色のフォームはフィット性は高いが、汚れたら使い捨てでランニングコストが高いため見送った。透明なパッドとグレーなパッドは甲乙付けがたい。 グレーのSサイズのパッドで聴いてみると、パナルに慣れた耳には一聴で「…地味?」と思えたが、一晩ほど鳴らし込んだところ、耳の穴とパッドが馴染んだこともあってか、すごくワイドでフラットな音質になった。 地味ではなく、あくまでフラット。大型スピーカーでしか味わえないような空気を震わす低音も出るし、高音は華美な味付けなどなくソースに忠実。パナルのようなドンシャリではありがちな中域の抜けもない。 このE4の音質を「自然の味」とするならば、安価なドンシャリヘッドホンは「人工調味料の味」のイメージ。ちょっとだけ味わうには人工調味料は旨いが、長く食べられて後味がよいのは自然の味だ。 聴いてみた限りでは、当初懸念されたE4GはGeming EditionなのでGame向きにイコライジング特性が弄ってあったらいやだなという心配はなくなった。これだけフラットなら元のE4の特性そのままに違いない。 ケーブルは太く、パナルの2倍以上ある。太くて使いにくいという声も聞くが、毎日の通勤使いにはこれくらい太い方がむしろ強度的に安心といえる。また太いため変なクセもつきにくく、耳から下にケーブルを垂らす装着法でも、細いコードにありがちなくすぐったい頬タッチも少ない。 SHUREのヘッドホンはケーブルを耳の上から後頭部に回さなければいけないと思われているフシもあるが、英文取説を読むと、普通に耳からケーブルを下に垂らす方法でも装着が可能であることが説明されている。ドライバに印刷されたSHUREのロゴは、ケーブルを耳の後ろに回してもそのまま下に垂らしてもロゴが正しい向きになるよう、前後で上下が逆に印刷されている。 もちろんケーブルを耳の上から後頭部に回す方法ならケーブルのタッチノイズや頬タッチとは無縁になるが、街を歩いていてSHUREユーザであることを誇示しているようで少し恥ずかしい。SHUREの本領、ステージ向きの装着法といえる。 iPodを胸ポケットに仕舞う場合には長すぎる1.5m近いケーブルだが、鞄や腰に仕舞う場合には俺の身長(185cm)だとまぁまぁ良い長さ。 なお、カナル型は遮音性が高く、iPod自体が発する小さなノイズ(HDDやメモリアクセスのノイズ)までよく聞こえたり、歩道をあるっていて後ろから車が歩道に突っ込んできても気がつかない(ぉ というデメリットはある。しかしこの音質を屋外に持ち出せる方式は、現在のところカナル型しかない。 E4Cのフラットでワイドな音質はきっと飽きが来ないだろう。たまに人工調味料たっぷりのジャンクフードも恋しくなるかも知れないが。 --- 5日後 --- E4Gにはスリーブが4種類付属するが、それぞれを聴いた印象は以下の通り。 Flex Sleeves…白い半透明のやつ。音はワイドレンジで、角が立ち、硬質な印象。ただし固めなので、激しい動きでは4種類の中では一番落下しやすい。 Soft Flex Sleeves…標準装備の灰色のやつ。音はワイドレンジだが、半透明のやつよりは音の角が丸くなる印象。装着感が柔らかく、万人向けかも。 Form Sleeves…いわゆるイヤーウイスパー。音質はハイ寄り、高域のきらびやかさが印象的だが、低域は抜け気味。汚れたら使い捨てなのが不経済。初心者には装着の違和感が一番少ないはず。 Triple-Flange Sleeves…いわゆる三段キノコ。信じられないくらい耳奥に入っている感じがする。Formとは逆に、音質はロー寄り。高域の分解能は低めになるが、低域の迫力は4種類の中で一番。 上記の印象は耳の形にも左右されるので、他の方の場合は違う印象になる可能性もあることを付け加えておく。 (2006年1月15日) トップページに戻る |