Canon EOS 40D 振動問題で修理




 
「びよーん」とか形容されるEOS 40Dの振動問題だが、びよーんはないにしても、シャッターを切った後に「ずー」という軽い携帯のバイブのような振動が右手に来る。普通のカメラが「カシャ」だとするばらば、「カシャズー」みたいな音がする。シャッターを切った後の振動なので、写りには全く影響がない。

販売店で数台の40Dを試してみたが、全く振動のないものから、ビリビリ来るものまでバラツキが大きい。これは2chやkakaku.comでの報告と一致する。俺の購入した個体は、大規模販売店にあった複数台の個体と比べてもどちらかといえば振動が大きい部類に属する。

こちらの方(md-z氏)こちらの方(しろサメねっと氏)は販売店で交換されているようだが、俺の購入した販売店は普段は40Dの在庫など持たないような小さな販売店なので、在庫の中から振動のない個体に交換して貰うなどの対応はちょっとムリだ。

それに、交換より修理がいいのではないかという判断もあった。なぜならば、今回の振動には固体ごとにバラツキが存在する。何かが管理されていないから、バラツキが発生するわけだ。

何かが管理されていないなら、いっそのことしっかりチェックして正しい状態にして貰おう、というのが交換ではなく修理を選んだ理由である。写りには関係がない振動とはいえ、何かがスムーズに動いていないのは事実である。寿命に影響しないか不安が残る。どうせ1年半後にEOS 50Dが出たら買い換えるんだろうというツッコミはなしの方向でお願いします。

キヤノンからは10〜14日間で修理完了という回答を得ている。リコールを要求する声も聞かれるが、話題の規模からして、たぶんしないだろうと推測している。

しかし果たして、問題が解決されて戻ってくるだろうか。一部に「仕様です」と言われたユーザがいるという話が聞こえるのも気になる。


■2007年9月19日 追記

キヤノンより、振動を抑える対策部品が近日入荷予定であるとの連絡を受けた。かなりほっとした。修理に出した際には修理するかどうかをまず判断するとと聞いていたので、俺の固体は対策対象と判断されたと言うことになる。

連絡を受けた情報は以下の通り:

・対策部品の入荷が遅れて申し訳ない。
・もし今週末使うのであれば、一旦返却することもできるがどうするか?
・今回の件は「修理」ではなく「対策部品の取り付け」である。
・対策の内容は「振動を抑える追加部品」を取り付ける。
・近日対策部品が届く予定なので、部品を取り付けて、返却となる。

ここまでの俺の感想。

・「運動会があるので…」と修理依頼時に伝えておいたら、ちゃんと覚えていてくれて、週末使うかどうかの打診をしてくれる心配りに感心した。会社規模が大きくなるほど、こういった個々のユーザの事情は汲めない場合が多い。
・振動が話題になったのは9月の第2週だと記憶しているので、キヤノン開発陣は10日ほどで対策方法を検討し、追加部品による対策方法を決定し、追加部品形状を設計し、部品メーカーに発注をかけ、修理センターに対策方法の指示と共に部品を納めるとういうことになる。待っていると10日は長いが、上記の一連の作業からすると10日は結構タイトだ。よくやっていると思う。
・しかし一方で、ある程度の台数が修理依頼されていると思われる40Dに対して、対策部品を装着するのは日程からして初の試みになるはず。修理に何台持ち込まれているか不明だが、すべての振動不具合が発生している40Dに対して効果があるのか、長期使用した場合に弊害がないのか、などは誰も解らない訳で若干の不安が残る。


■2007年9月21日 追記

40Dが戻ってきた。実機の状態だが、シャッター音はそのまま、振動は減、という結果だった。シャッター音にもバラツキがあるのを認識していたものの、問題としては指摘しなかったので、指摘範囲のみキッチリ修理(調整)された格好だ。あわよくばシャッターアセンブリごと交換…ということもあり得るのかとも思ったが、そんな甘い話はなかったようだ。もっとも、シャッター音は問題指摘のしようがないだろう。S/N何番の個体と同じ音にしてくれ、というのは土台無茶な話である。

修理伝票には処置内容として「異常がないものと判断いたしますが、出来る限り調整致しました」とあり、お客様への連絡事項として「EOS 40Dはコマ速アップ(秒間6.5コマ)の為、2モーターシステムとなっております。このことから、シャッターのチャージ音や振動の程度が、EOS 20D/30Dと比較しEOS 40Dでは若干大きくなっておりますが異常ではございません。ご了承の上、ご使用下さいます様お願い致します。」とあった。

これを読むと、俺が修理依頼時に指摘した「振動が大きい個体と小さい個体が存在し、俺が購入した個体はどちらかといえば大きい部類である。個体差があるのが不安」という点が解ってくれているのか解ってくれていないのかが不明である。もっとも、修理伝票の記載事項はこうやって晒されることがあるわけで、ブランドイメージ構築上、迂闊なことは書けないのかも知れない。

なお、本ページはキヤノンMJの方の目にはとまっているようである。お世話様でした。>キヤノンMJの方々。

まぁまた明日から40Dが使えるので嬉しい。40Dがないと手元には低感度カメラしか残っていないので。個人的には、振動問題はこれで幕引きにしたいと思う。使うために買ったんだし。


■2007年9月22日 追記

幕引きにしたいとかいいながら未練たらしくその後思ったことを書いてみたり。

修理伝票から察すると、今後キヤノンMJに問い合わせた場合、「追加部品の取り付けをする」とはもう二度と言わないかも知れない。対外的な説明は「調整をする」で統一される可能性はある。そこはほら、皆さんオトナなんだから、「調整」と言われてもキヤノンさんをあまりいじめず「わかってます、わかってますって(・∀・)ニヤニヤ」しておいた方が賢明だろう。本当に修理伝票通りに「調整」だけで済ませている可能性も否定できないが、追加部品があろうがなかろうが対策して貰えば振動が減るのは違いないし、追加部品が製品寿命にプラスに働くかマイナスに働くかはまだキヤノン自身すら知らないはずだ。

また再三書いているが今回の対策で軽減されたのはシャッターを切った後の振動であり、俺自身ミラーアップブレが気になるようなシビアな撮影はしないので、シャッターを切る際の振動は軽減されたどうかは解らない。大雑把な感触としては、シャッター音そのものは変わっていないので、ミラーアップブレは軽減されていないような気がする。もっとも、ミラーアップブレは多かれ少なかれどのカメラにも存在し、そのために「ミラーアップ撮影モード」が存在する。

それと参考までに修理後のシャッター音を録音したので置いておく。レンズはEF-S 17-85mm IS USM、録音条件はIS=OFF、focus=MF、iMac(intel)の上部内蔵マイク使用、iMac筐体の上にカメラを置いてCD Spin Doctorで録音。そのままだと低音がスカスカで本物と全然違う音なので、イコライザで低音を少しだけ持ち上げた。iTunesでMP3に変換。家が道路沿いなもので車の音が聞こえたらご愛敬。修理前は録音し忘れた。orz

 修理後:ss1秒
 修理後:ss1/100秒
 修理後:ss1/100秒 高速連写


■結局振動は何秒?

振動は約0.1秒。秒6.5コマを達成するにはシャッターの一連の動作が1/6.5秒で終わる必要があるため、妥当な線。下図は上記MP3ファイルのss1秒の波形(シャッター1回分)である。左の波がミラーアップ+シャッターが切れた時の音、右の波がミラーダウン+シャッターチャージの時の音である。振動が気になった右側の波形では、音が鳴っている時間(≒振動している時間)は0:02.030 - 0:01.928 = 0.102秒であることが解る。



しかし測ってみれば、あの振動って僅か0.1秒の出来ことなんだねぇ。意外。体感では1秒くらいある感じなんだけど、1秒だったら6.5コマ/秒は成立しない。体感っていい加減だなぁと。

実は修理はこれだけでは済まなかった。ファインダーに影が映る2回目の修理レポはこちら。


■2007.12.17

12月現在、振動問題はあまり話題にならなくなってきている。対策品が流通の大半を占めたためだろうか。



(2007年9月17日〜12月17日 記)

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