積水ハウスの家を諦めるまで(前編)




  積水ハウスでの住宅建築の記録をするつもりでしたが、結局やめました。という訳で、諦めるまでの記録になっています。

■2003.春

 住んでいるアパートの近くに半分冷やかしでモデルルームを回る。自社系列ハウスメーカーを見る。そこそこ感動するが、半年後に見ることになる大手メーカーとは1ランク下に感じる。価格相応。セキスイハイムのオール電化ハウスというモデルも見た。かなり心が動くが、のちに電磁調理器から出る電磁波が気になり出し、オール電化ハウスは選択肢からなくなる。

 住んでいるアパートの近くにミサワホームの分譲3件と定期借地権8件が現れる。冷やかしで見に行って、現地にテントを張って詰めていた営業と話をしたが、どうせすぐには買えないし、そのうち売れてしまうだろうと諦める。

■2003.10下旬

 住んでいるアパートの近くに建売が1件現れる。60坪強の土地に家が建って約2,700万円。しかしどうも見た感じ窓が少なく、あまり開放的ではない設計が気に入らず、また、隣が小さい神社というのも気になり、食指動かず。春先に売りに出されたミサワホームの方は、まだ売れ残っている箇所がある。ここなら現在のアパートから100mほどなので、住環境をあまり替えなくて済むというメリットがある。幼稚園、小学校、中学校、太い国道も隣接しており、不満はない。妻の友人2人が家を購入するという話が入る。入居当時から一緒だったアパートのお隣さんも駅前のマンションを購入したという話を聞く。

■2003.11.3

 妻友人が住宅メーカーの説明ビデオをくれたので見る。どのビデオにも共通して言えるのは、「阪神大震災でも残った家です」というのと、北極やカナダなどのすごく自然環境が厳しい場所の映像が出てくることだ。

 今まで「家は35歳で」と決めていたし貯金もそのつもりでやっていたし、妻も「このアパートの環境がすごく気に入ってるしまだ家はいらない」という意見もあり家はまだまだと我慢していた。が、周りがパタパタと家を買いだしたので自分だけ我慢しているのが馬鹿らしくなる。それに会社の学卒同期でも借家住まいはもはや俺だけだ。良い物件は1年くらいかけてじっくり探すものという認識もあったので、来年の秋に買うとしてもそろそろ回り始めないと、という気持ちになり、そろそろ本気でモデルルームを回ることにした。

 モデルルーム回りは意外と時間がかかる。本気で話を聞いたりすると1メーカーで1日がかりだ。安い住宅メーカー(センチュリーホームや自社系列メーカーなど)と大手メーカー(ダイワ、セキスイ、ミサワ)のどちらで建てるかはおのずと大手に決まった。理由は以下の通り。

 ・大手の方がアフターサービスが安心。もちろんそれなりのコストはかかるが、コストがかかっても技術力が伴わない(問題が修正されない)場合がある安いメーカーは避けたい。

 ・大手の方がセールスの方が紳士的。この半年間にうちに売り込みに来た安い住宅メーカーのセールスは、ガツガツしていて品がない人が多かった。

 ・安い住宅メーカーは大手と比べて10%程度安い印象を受けるが、実はオプション扱いになっている装備が多く、プランニングの過程でどんどん金額がかさみ、結果、最終的な大手との価格差は3%程度に縮んでしまう。

 ・万が一転勤などで住めなくなった場合でも、賃貸や転売のシステムがしっかりしており、また、安い住宅と比べ大手メーカーの物件は高く貸せたり売れたりする。

 ・以上を総合して考えると、大手メーカーには価格差以上の満足度、安心感があると感じた。

■2003.11.8(土)

 市内の総合住宅展示場へ。ダイワハウスの物件を見て、その後近くの大規模分譲地にあるダイワハウスの建売2件を見る。ダイワハウスの建売はデモンストレーションの意味合いもあるのでアグレッシブな間取りだし価格も割安なので、悪くはない。が、妻は俺たちと入れ替わりに見に来ていた家族がDQN風の家族だったのが気になったようだ。隣に誰が住んでいるかは重要な問題である。

 建売でなければ新築するわけだが、手続きな面倒な俺は土地と建物の手続きを住宅メーカーに一本化して引き受けてもらいたいと思っていた。すなわちいい土地情報を持っている住宅メーカーが俺にとってはありがたい存在なのだが、ダイワハウスは他にあまりいい物件を持っていないようだった。週明けには情報集めて持っていきます、と言っていたが週があけても音沙汰はなかった。

 営業の方の印象は良かった。「気に入ってくれたらダイワで建ててください」といった感じで、押しつけ感、ガツガツした感じがない。また、通常は話しにくいだろう転勤時のリスクやその対応などについてもちゃんと説明してくれたのに好感。

■2003.11.9(日)

 駅前のミサワの展示場に向かう。恰幅のいいおばちゃんが1人で留守番しており、あいにく営業担当は全員不在とのこと。おばちゃんは全く知識がなく、詳しい話ができず。一応モデルルームの「蔵のある家」というのを見せてもらった。法律上は2.5階建てになるので、2階建て以上が建築可能な土地にしか建てられない。

 ミサワの営業氏は夕方に戻ってくるとのことなので、そのときにまたお邪魔する旨の話をして、終了。

 帰り道に興味本位で「お隣さんが買ったマンションでも見てみるか」とういうことになり、そちら方面へ車を走らせる。その道中で今まで気にも留めていなかったセキスイハウスの分譲地があった。セキスイハウスはべらぼうに高いと聞いていたが、まぁ色々見るのは悪くないと言うことで寄ってみる。

 分譲地の事務所による。誰もいない。紙が貼ってある。「現在分譲地内を巡回中です。ご用の方は…」と携帯の電話番号が書いてあったので電話してみる。実は2件先にいた営業がすぐに飛んできた。2件先にいるなら車の音で気がついてくれよとちょっぴり思った。

 早速話を聞かせてもらう。特急列車が停まる駅から1.4kmの立地ながら、昨日見たダイワハウスの建売のある分譲地と+200万円程度の差額で買える。昨日見たダイワハウスのある分譲地の最寄り駅は特急が停まらないのだ。東京横浜方面への出張が多いので、特急の停まる駅の近くは外せない。今住んでいるアパートは特急の止まる駅から3kmだ。3kmだとタクシーを使うか妻の送迎が欲しくなるが、1.4kmなら歩いていける距離だ。またここは普通のバスや高速バスのバス停も近い。コンビニ、病院、小学校、中学校も近い。しかも小学校は割と人気の高い学区。かなり惹かれる。

 ここには70件近い物件があったが、残っているのは数件。しかもそのうち1件は申し込み直後の海外転勤でキャンセルされた物件らしい。そのキャンセル物件は南側と東側が隣家、北側と西側が私道である。西側の私道の向こうは雑木林でいろんな森の仲間が出てきそうだが、市による公園造成の予定があるらしい。もう1つの残り物件は南側は市道、東西が隣家で、北側が私道である。県道からは1.2mくらい高い土地にあり、走っている車を見下ろす感じになる。南側の県道の向こうは勤務先の関連会社の所有地で、今のところ特に何も使われていない荒れ地。西側の隣家の向こうは、先に書いたのと同じ森の仲間たちが出てきそうな雑木林で、市による公園造成予定地である。他に残っている物件は信号のある交差点に近いので却下。

 どちらかといえば市道に面している物件の方が陽当たりが良く視界が開けているので好みだ。県道に面しているので排ガスと騒音が若干気になる。すぐ目の前に渋滞検出用の超音波センサが設置されているが、超音波は人体に無害と聞いているので気にしないことにする。つか、この道路は渋滞するんだろうか。こちらの物件には敷地内北西側に電柱があるが、まぁそこにはトイレに面する場所にでもすればいいので気にしない。春先に見に行ったミサワの分譲地は東南側に電柱があったのだから、それに比べればなんぼかマシである。

 それにここは元勤務先の関連会社の社宅の跡地で、地歴も問題ないし地盤も悪くない。昔墓場だったということもないし、土壌から変な化学物質が出てくる可能性も低い。

 積水ハウスの営業氏に年収と希望額を伝えてプランを作ってもらうことにした。営業氏は明日から1週間鎌倉で勉強会とのことで、今晩中にプランを作成してうちのアパートのポストに投函するので検討して欲しいとのこと。こういう商売は大変やなぁと気の毒になる。

 夕方、外回りから戻ってきたミサワの営業から電話があり、再度ショウルームに向かう。俺が春先にミサワの方と分譲地でコンタクトをとってアンケートに記入したことがある旨を伝えてあったので、そのときの営業の方が担当になった模様。その人の上司と思われる課長も紹介された。かなりイケメンである。イケメン課長に妻ウットリ。娘ウットリ。なぜあの土地が半年経った今でも売れ残っているのかとの問いに対しては、商談はいくつかあったものの、競合する物件に持って行かれてしまったためとのこと。まずはプランを作成するとのことなので年収と希望額を伝えたところ、ちょっと困った様子だった。さっきのセキスイハウスに言った金額と同じなのだが、希望額低すぎですか?

 作成していただいたプランは次の週末に別のモデルルームで待ち合わせをして、そこで見せて貰えることになった。そのモデルルーム、かなり広大でミサワの物件が相当数建っているらしいのだが、いかんせん車で1時間弱ほどかかる。

 この時点で妻と話していたのだが、ミサワにはどうも縁がないように感じる。ミサワの展示場に行って、営業が不在。その帰りにふと見つけた物件が少々高いが思いもよらない好条件。こういうのが縁ってやつなんじゃないかと思うという点で、妻と意見が一致する。妻は現在のアパートの立地条件がえらく気に入っているので、すなわちその近所にあるミサワの物件も自動的に気に入っていたのだが、駅前1.4kmのセキスイハウスの物件ならその未練を断ち切れそうだとのこと。

 以前にも書いたが、近所にどんな人が住んでいるかは重要な問題である。DQNな家族は論外だが、元々の地元民で固められている場所も自治会などで村八分にされやすい。理想は「ある程度社会的身分が保障された同世代の新参組」で周囲が固められていることだが、どうも見たり聞いたりして回った限り、セキスイの物件はそれにかなり近い状態のようだ。

 夜22:00頃、ポストの方でカタンと音がする。こんな夜遅くまで働かせてしまって申し訳ないと営業の方に挨拶しようと思って出ていくが、もう車で走り去っていた。なんて逃げ足の早い。早速プランを見てみる。告げておいた予算より300万円ほどオーバーしており、しかもちょっと狭めの35坪。商品は「セントレージΣ」である。「セントレージΣ(゚Д゚;)」ではない。「セントレージΣ」である。予算を軽く越えたプランを平気で出してくるあたりが、大手メーカーらしい。予算が合わなければ別にいいですよウチは貧乏人は相手にしませんから、と言われてれているようにも感じる。値引きは僅か30万円。さすがかなり渋い。あの物件なら無理して値引きしなくても売れると言うことなんだろう。

 手書きの図面の方も見てみる。建坪は33坪だが、希望通り2Fには将来分割可能な大部屋1つと、主寝室、納戸、書斎、WIC(ウオークインクローゼット)とトイレがある。1FはLDK1つと和室1つとトイレと風呂。良くできている。たいしたものである。とはいえ建坪が33坪なので全体的な小ぶり感は否めない。この辺の土地の平均的な建坪はおおむね37〜40坪である。

■2003.11.10(月)

 会社の同僚に話を聞く。セキスイハウスの営業氏が同じという同期は「建坪33坪?40坪はあったほうがいいんじゃないかなー?」というアドバイス。やっぱり狭いか。そういう彼は40坪の家を建てているが、彼の支払額は俺の予算額の+700万円である。彼が建てたのは確か5年ほど前の筈。ローン年数が長いのと、あちらは共働きなんで、そんなべらぼうなローンを抱える気になったのかも。彼が建てた頃より坪単価は下がっているはずなのだが、それでも40坪級の家を建てると予算額+500万円くらいになってしまうような予感がする。

■2003.11.16(土)

 今日はミサワホームのモデルルームを見に行く約束をしている。ここはミサワのカタログ掲載写真も撮影されたという緑の多いいい場所だ。一般的にモデルルームというのはデザイナーのお遊び的設計が多いのだが、このモデルルームは現実的な設計になっているのが特徴である。商品名は「SMART STYLE」というものである。早速見せてもらったがかなりチープな設計である。営業氏の説明によると「自動車メーカーでも高級車から安い車まで揃えているように、当社もラインナップを増やしました」というのだが、それにしても安っぽい。構造は上位モデルと変わらないらしいのだが、目に見える部分、手に触れる部分が安すぎる。この「SMART STYLE」の37坪モデルが積水ハウスの「セントレージΣ」の35坪モデルと同額である。品質の差を考えると「SMART STYLE」は高すぎる。「SMART STYLE」は「セントレージΣ」より明らかに2ランク下の品質感だ。

 ミサワホームはUFJ銀行からの支援を受けて経営再建中だと聞く。その点について営業氏に電話で問い合わせると、しかるべき責任者を説明に向かわせるという。そんなことはして欲しくないし倒産時にどうなるかが契約書に書いてあればいいので、責任者の来訪はお断りした。企業に問い合わせたときに責任者がすぐさま説明に来るというのは、かなりヤバいときである。また、企業がそういったときには限られた収入から最大限の利益を得たいはず。すなわち建築材料はチープにせざるを得ない。先の「SMART STYLE」はそういった経営状態から生み出された商品なのではないかと勘ぐってしまう。

■2003.11.17(日)

 とにかく「SMART STYLE」では品質感で「セントレージΣ」にまったく同じ土俵に乗らないので、せめて1ランク上の「DEBUT」という商品で再度見積ってほしいと朝一番の電話でお願いする。

 昼前、積水ハウスの建築中の物件を見に行く。電車の線路のすぐ横なのだが、二重窓構造が効いていて電車の騒音は意外と許容範囲内。凄い遮音性能だと思った。ここの物件は「ダインズ・バリュー」で「セントレージΣ」より1ランク上の商品なのだが、内装はさほど違いはないとのこと。やはりミサワの「SMART STYLE」とは比較にならない。積水ハウスの営業氏にプレッシャーをかける意味も込めて「ミサワホームと競合させている」という話を持ち出したが、品質が違いすぎると相手にされない。確かに土地の立地条件も積水の方がいいのだが、それにしても凄い自信だ。前回提示してもらったプランでは33坪とちょいと狭かったので、価格が上がることを承知で少し広くして36〜37坪程度のプランを作成してくれるよう依頼した。

 午後、両親に土地を見に来てもらう。両親はこの土地に対する先入観、思い入れがないので、公平な判断を下してくれると思ったので急ではあるが無理にお願いしたのだ。両方の物件を見た両親の意見は比較するまでもなく積水ハウスの物件の方だという。俺と妻は今の居住地=ミサワハウスの物件の近くに対する思い入れがあったのでどうしてもミサワハウスの物件にも思い入れをしてしまうのだが、先入観がないとこんなもんなんだな、と思った。積水ハウスの営業氏も土地柄はミサワハウスの物件とは比較にならないと言っていたが、その通りなのかも知れない。

 夕方、ミサワホームの営業氏がイケメンの課長を連れて「DEBUT」の商品説明に来た。イケメン課長に妻ウットリ。娘ウットリ。俺もウットリ(違  見積を持ってきたのかと思いきや、「DEBUT」はある程度詳細を詰めないと見積ができないとのこと。その打ち合わせをしたいらしい。適当と思われるプランを提示して打ち合わせは終了。見積は一週間後になるとのこと。ミサワの営業氏は話をするとボケとツッコミが適当に入って楽しい感じなのだが、こういった高額な買い物の商談相手としてはどうかと感じた。友人としてなら楽しいと思うのだが。

 深夜、俺が寝た後に積水ハウスの営業氏が新しいプランをうちのポストに投函してくれたようだ。図面だけで価格の提示はなかった。どうも仕事が一杯一杯のようで、簡易見積は翌日、詳細見積は週末まで待って欲しいとのこと。忙しい事情は同じサラリーマンとして痛いほど解るので、次回の提案を待つ。

■2003.11.18(月)

 ダイワハウスの営業氏が物件情報を届けてくれたが、めぼしい物件はなし。つかダイワハウス、なかなか来ないので対俺営業は撤退したのかと思ったよ。前回会った際には「電話してから伺います」と言っていたのに電話もせずに突然来訪したため、妻ムッとする。

 積水の簡易見積もりは結局届かず。こちらも事情が良くわからん。

■2003.11.20(木)

 ダイワハウスの営業氏がまた物件情報を届けてくれたが、食指動く物件はなし。安い土地なんだけど、それなり。つか周囲の道路狭すぎ。ダイワハウスはいい物件持ってないなー。

■2003.11.22(土)

 ほとんどセキスイハウスの物件に決めるつもりで腹をくくった。とはいえ約束しているので13:00からミサワと打ち合わせ。約束通り「SMART STYLE」より1グレード上の商品「DEBUT 家族日記」で見積もりを用意してくれていた。

 結果、予算額+700万。それでも品質はセキスイにかなわないのだ。ミサワは数日前に社長の交代劇があったばかりだし、会社が良くなるとしたらこれからだろう。今はミサワの歴史上一番辛い時期なのかも知れない。そんな時期の会社の商品を買い支るほど俺は裕福ではない。いくら営業氏がイケメンでも、だ。

 打ち合わせが終わり駐車場まで見送ってくれるイケメン営業氏。車の中で妻と娘に「イケメン見納めだよ」と小声で伝えて次の打ち合わせへ。

 15:00、セキスイと打ち合わせ。俺はセキスイから買うとは一言も伝えていないはずなのだが、さくさくと建設の方向に話が進行している。お金の支払いの方法も具体的に指示される。来週までに130万円払えとな。

 ちょっと待ってくれよ、俺はセキスイの物件を買うと言った覚えはないし(買うつもりだけど)、まだミサワを断ってはいない、と営業氏に伝えると、ミサワの物件とは比較にならない、あり得ない、と笑われる。ふてぶてしいばかりの凄い自信だ。普通こういう態度に出られると立腹して決裂するケースもあろうかと思うが、俺はむしろこれくらい態度のでかい男が担当だった方がいいような気がする。変に腰が引けた営業より何かと役に立つからだ。なお、この営業氏、肩書きは「店長」である。裁量権の大きい店長が担当に付いてくれているのは運がいい。

 今回提示して貰った見積もりは前回のプランより「1Fと2Fベランダ部を広く、2F室内はそのまま」という要望を加味したものである。2Fベランダと1Fを広くしたので、「セントレージΣ」ではなく、その上のグレードの「セントレージ・グランツCX」でないと実現不可能な設計になってしまった。

 見積もりの結果は、予算額+600万円。値引き額は僅か40万円。凄い値引きの渋さだ。いかに値引き交渉するかいきなり悩んでしまう。

 が、この営業氏というか店長、本当の価格を伏せていた。実は10〜11月は「毎月40億円受注しましょうキャンペーン」(社外秘)を張っており、一定条件(間取り、凸凹の数等)を満たせば特別価格が適用されるらしいのだ。俺のケースだと通常は予算額+800万になってしまうのだが、このキャンペーンに該当する設計のため、予算額+600万に収まっている。つまり、実質値引き額は200万円となる。セキスイで200万円の値引きなどまったく期待していなかったので嬉しい誤算である。ミサワとまったく違う品質でしかも100万円安。もうセキスイを断る理由はない(予算は大幅に超えているけど)。

■2003.11.25(火)

 会社でやっている住宅財形貯蓄を解約すべく申請を行う。がしかし、財形貯蓄の貯蓄額を全額引き出すには解約することになるのだが、それは家が完成してからでないと行えないとのこと。家が完成する前に引き出す場合には、貯蓄額の90%までしか引き出す(部分解約する)ことしかできない。つまり、財形で溜まっている全額は、頭金として使えないのである。

 住宅財形貯蓄なんて引き出すの初めてだから(当たり前)そんなことは知らなかったよ。以前は住宅財形の預金残高が住宅金融公庫の融資可能額に直結していたのだが、最近の低金利傾向で住宅金融公庫で借りるメリットがさほどなくなってきている。んなこと知らずせっせと住宅財形で貯めていた俺はアホみたいだ。こんなことなら貯蓄額のギリギリまで払い出しが可能な一般財形の方にウエイトを置いて積み立てておけば良かったと後悔。

 さらに、貯蓄額の90%を払い出すにしても、「払い出し後、2カ月以内に正式な契約書を提出する必要があり、正式な契約書の提出がない場合や、提出された契約書の内容が要件を満たさない場合には、要件外払出しとして財形住宅貯蓄は5年遡及課税され解約となるほか、2カ月の延滞税も支払うことになる」らしい。

 うへっ、なんだよそれ。使いにくいな、財形住宅。払い出しを申し込んでから実際に払い出しが行われるまで1ヶ月かかるが、それプラス2ヶ月以内に正式な契約書を提出する必要があるということだ。しかし一方で、正式な契約書の前には、詳細な設計(仕様などの打ち合わせ)がほとんど完成している必要があるわけで、それらを勘案すると3ヶ月以内に外装から内装から何から何まである程度決めないといろいろ追徴金が取られることになる。

■その後

結局、自宅購入プランはご破算となる。その顛末は→後編へ。

(2003年11月17日)

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