4月17日、Zepp Hanedaで開催された ClariS単独ライブの終盤、クララさんの口から放たれた「武道館を目指したい」という宣言。会場を埋めたファンは大いに盛り上がりましたが、事実として、ClariSにとって武道館は単独公演でも未踏の地ではなく、2人体制の 2017年にはすでに立っています。当時その公演を可能にした背景には、デビュー以来積み上げてきた数々のアニメタイアップによる知名度と、正体を明かさないという神秘性がピークに達していたことが挙げられます。今回の宣言は、3人体制となった今、「ClariS第三章」としてもう一度頂点を目指すという宣言になります。
こうした重大な宣言はアーティスト個人の想いだけで発せられるものではなく、おそらく運営側のロードマップがあるはずです。サクラミュージックあるいはソニーミュージックが青写真を描いた上での発言でしょう。武道館でソロを張るのは大規模な予算が動く一大プロジェクトであり、運営会社としてそこへ向けて人的・財務的なリソースを集中させるという判断なしに、アーティストが勝手に発言することは考えにくいです。
しかし動員数という観点ではなかなかシビアで、今回のZepp羽田公演も3,000席弱が発売後即完売、というわけにはいきませんでした。武道館を埋めるには概算でその3倍近い動員力が必要になります。客席を見渡すと、男女比は9:1から8:2程度で男性ファンが多勢の印象を持ちました。これを武道館を埋める規模へと拡大させるには、新規女性ファンの動員が不可欠と思われます。新曲「Revive」は、まさに女性動員のための観測気球ではないでしょうか。
この戦略は、私の娘が推し活をしている King & Princeの状況とも似てるなと思いました。King & Princeは従来の王子様路線を継ぐ「新生 King & Prince」と、オラオラ路線に舵を切った「Number_i」に分かれましたが、ClariSはその両方を一つのユニット内で成立させようというのです。当然「清楚なClariS」を推していた層が一定数離れることは想定の範囲内のはず。それでも、同性が憧れる・共感するクールなダンスやファッションを打ち出すことで、新たなファン層を開拓しようとしているように見えました。(実際、「Revive」の限定盤には従来のMV収録のみならず、ダンスビデオが収録されるようです。これは「踊ってみた」への燃料投下ですよね。)
その一方、ClariSのヒットはこれまでアニメタイアップに大きく依存してきましたが、今後「鬼滅の刃」クラスのメジャー作品と組めるかどうかが鍵なのは間違いありません。アニメという強力なフックなしに自力のみで武道館へ到達するのはどんなアーティストでも難しい昨今、タイアップで興味を持ってもらい、そこで獲得した女性ファンを中心とした新規層を「3人のパフォーマンス」そのもので繋ぎ止められるかどうかが、勝負所となるはずです。
そして無視できないのが時間の問題。オリジナルメンバーであるクララさんが現役でいられる期間は無限ではありません。もし彼女がユニットから去ったとき、それは果たして ClariSと呼べるのか、アイデンティティが問われます。今回の武道館に行きたい宣言は、そうした焦燥感や覚悟に加え、運営関係者の意志が垣間見える気がしました。
おそらく第三章の5年目(2030年)くらいには再び武道館に立つのではないかと思います。


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