運動会にEOS 5D Mark IIIを実戦投入。
その戦闘能力の高さには舌を巻いたのだが、特に面白かったのがAIサーボAFの特性切り替え。
たとえば綱引きの手前を走者が横切るケース。
そんな競技があるのかって?
私も初めて見たのだが、綱引き人員の半分がトラックを一周してから綱引きに加勢するという競技なのである。足の速さを綱引きの強さに転嫁できるというユニークなアイデア。
こんなとき、モードを「ケース2 障害物が入るとき…」に合わせておくと、奥の綱引きにビシッとフォーカスが合ったまま安定する。デフォルトだと手前の走者に結構引っぱられてしまう。
ところで、今回の運動会ではちょっとしたハプニングが。
ムスメ(小4)が出る80m走なのだが、常に頭の中がファンシー気味で、過去の短距離走(写真に残ってるのは1年生の時のだ)のカットを見ると、なんかやたら嬉しそうにニコニコしながら「わーい楽しいな」みたいな顔で走っていた。たぶん、「競争」という概念が理解できてなかったんだと思う。それに加えて運動能力もさほど高い方でもないので、80m走を撮るにあたって、作戦を考えた。
トラックを回る短距離走の撮影のセオリーと言えば、ゴールの瞬間を正面から狙うことだと思う。でもビリで走ってくるムスメを撮るのもなんか切ない。ということは、まだ速い子との差が開かないコース中盤を押さえればいいのではないかと考え、第3コーナー出口を正面から捉えられる場所を陣取った。さすがに人気が薄く、場所取りは容易だった。ただし、そこからだとゴールが見えないのが難点だったのだが、まぁどうせビリなのでゴールはどうでもいい。
いざムスメの番でスタート。中央一点+領域拡大のAIサーボAFが確実にムスメの姿を捉える。ファインダーの消失タイムラグも問題ない。第3コーナーから第4コーナーを抜け、最後のゴール前ストレートに入ったところで走り去るムスメの姿が他の観客の影になって見えなくなった。
私は撮影した映像を背面液晶で確認しながら、歩留まりの高さに満足した。そこまでは良かった。私の左から身を乗り出して観戦していたツマがその時言った。
「1位!」
は!? 今なんて?
「1位だね!」
え?あの鈍くさいムスメが1位…!?
そりゃ確かに最近の小学校では実力に大きく差がつかないように構成して走らせるとは聞いていたけど…決定的瞬間は「ゴール前」にあったということか…! 不覚…!
1位をもたらしたものがグルーピングの妙にあったとしても、子供の可能性を信じてあげられない親だったことには違いない。恥ずかしい。とても恥ずかしい。
ツマには、
「でもほら、ゴール前にパパの姿があったら緊張感が抜けて1位になれなかったかも知れないよ?」
と慰められた。まぁ、それは確かにそうかも。
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