東山正宜×GR DIGITAL IV開発者トークショー

銀座リコーフォトギャラリー「RING CUBE」で開催された「東山正宜×GR DIGITAL IV開発者トークショー」に参加してきました。

GR DIGITAL IV ブリーチバイパスモード
東山正宜氏はあの凄いはやぶさの写真を撮った朝日新聞社カメラマンなのですが、実はGR DIGITAL IVに搭載された「インターバル合成機能」のルーツを作った方でもあるんですね。

東山氏がPhotoshopを使って「比較（明）」合成による天体写真を撮っているのをリコーの中の人が見つけ、GR DIGITALでもこういった写真が撮れるような機能を搭載したいと。具体的に言うとこういう写真です。GR DIGITALの立ち位置を変えてしまうような機能は搭載しない方針らしいのですが、この機能であればGR DIGITALの撮影の幅は広げるものの、立ち位置は変えないと。開発の方はそう考えたようです。

ただ、普通にJPEGで連続撮影したものを「比較（明）」合成をかけると、星の色が出ない。これは元々のJPEGでは星は「点」に過ぎないので、ノイズリダクションやら輪郭強調処理の影響でどうしてもそうなってしまうのですね。

しかし、GRD4に搭載された「インターバル合成機能」は、星の軌跡に色がつきます。

GR DIGITAL IV

これは私が撮ったものですが、ちょっと三脚が動いたようで一部軌跡がズレていますが、確かに軌跡に色がついていますね。

一体どういう仕組みか。

実はベイヤー配列の「４画素から４画素を生成する」前の、本当のRAWデータ同士を合成しているんだそうです。で、合成後にいつもの画像処理を掛けると。ああなるほど、その手があったか！

ほかのデジカメでもRAWを使えばいいか？と言われると東山氏が試したところ「JPEGと大差はない」そうで、やはりベイヤー配列の画素補完をする前に合成することが必要で、すると現状のほぼすべてのカメラのRAWではダメと言うことになります。つまり、現状のRAWフォーマットを維持する限り、カメラ内で処理するしかないと。

そこにGR DIGITAL IVのアドバンテージがあるわけです。

しかしリコーがこの機能をGRD4に搭載したことは東山氏には事前に相談はなかったそうで、今日は開発担当者が東山氏に「事前の一言もなかったじゃないか！(笑)」と詰め寄られていました（笑　しかしその開発担当者は東山氏がGRD4のその機能に気がついたというつぶやきに（開発者という身分を隠したフォロアーとして）即座に反応したことを今日初めて明かし、そういえばそんなことがあった、あれは貴方だったのか！と驚く場面もありました（笑

ほかにも都会で長時間露光の天体写真を撮る際には全く別の数カ所に同時に三脚を立てたり、または撮影中に家に帰ったりしてしまうそうなのですが、その際にカメラや三脚を盗まれないためのノウハウや、「比較（明）」撮影で地上の建物などが白く飛んでしまうことを回避するノウハウ（と言っていいのか…？）も公開されていました。カメラを盗難防止ワイヤーで固定するのはもちろんですが、電話ボックスの影や花壇の影など、都会には意外と人目につかない場所があり、今まで盗まれたことはないとのこと。ただ、さすがにEOS-1D mark IIIを使ったときは片時もそばを離れなかったそうです（笑

事前の「仕込み」が少なかった？せいか、トークがぶっちゃけていて面白かったですね。さすがボランティア運営といったところですが、もっと大きなメーカーのこういったイベントであれば、喋ることは事前にチェックが入ってしまい、某唯一ベイヤー配列ではないカメラのメーカーの名前とか、某センサー内にAFセンサーを突っ込んでしまったメーカーの話とかは出てこないはずです。

Photoshopで処理することがどこまで許されるか、という重くなりがちな話題もあったのですが、東山氏は「(Photoshopで)何をしたかを示せば、何をしたっていいのではないか。写真はもっと自由でいいと思う」というスタンス。ただ、氏の仕事である報道写真にはもちろん厳しいレギュレーションがあるのですが、それでも金環日食時は時系列の合成写真を掲載するなど（もちろん合成写真と明記）、柔軟な運用をされるケースも出てきているようです。

GR DIGITAL IV ブリーチバイパスモード
イベント参加待機列に容易に後から来た人の割り込みを許したり、参加待機列の先頭が必ずしもいい席ではないとか、席に関してはちょっとアレでしたが、まぁそこ含めて大手のイベントとは違う、トークの内容ですべてが帳消しになる、そんな会でした。

GRD IVを使うと「比較（明）」写真がお手軽に撮れるので、私も折を見てまた挑戦したいなぁと思います。

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