機動戦士Gundam GQuuuuuuX Biginning (IMAX) @ 109シネマズゆめが丘

本当はゆっくり夜の回で観ようと思ってチケットも取っていたのですが、Xなどに流れてくるネタバレスレスレのポストに(これは被弾不可避)と直感し、昼の回のチケットを追加で取って観に行きました。昼の回の直前予約でもIMAXかつ 109シネマズのエクゼクティブシートが取れちゃったんですけど、ガンダム作品にしては客の入りが少なくないですかね…話自体はとても面白いと思うので、ちょっとプロモーションの仕方が拙かったのではないかなと思います。

ただ、少しネタバレさせれば客の入りはグッと増えたような気はしますが、それだとネタバレという面で面白さ3割減になっちゃいますからね…。もっとも今回、イタリア公式が盛大にやらかしてくれたので、そこで被弾してしまいましたが…。

以下、ネタバレを含みます。

内容としてはイタリア公式がやらかした通り、「宇宙世紀パラレルワールドもの」でした。0079 の連邦のV作戦の偵察に行く任務で、ジーンを置いてけぼりにして(←これなにげに重要・笑)、アムロがガンダムに乗る前にシャアがガンダムを奪取していたら…という話。

宇宙世紀ものは後付け設定が複雑に入り組んでいて、今から追加で新しい話を組み込もうとしても「そんな新しいものを入れる隙間は空いていない」という、21世紀初頭の小型デジタル家電の実装のような状態になっています。しかしパラレルワールドとなれば話は別。いくらでもアナザーストーリーを描けます。

もっとも、今までガンダムにアナザーストーリーがなかったわけではありません。映像化されたものだけでも古くはガンダム「めぐりあい宇宙」のガンキャノン2機やコアブースターの存在、Zガンダム新訳劇場版のラストのカミーユの扱い、そして最近だと「ククルスドアンの島」など。ですので今回の「if」を「邪道」と一概に斬れない状況にはあります。

本編は 宇宙世紀0079 を描いた「Biginning」編と、0085を描いた「GQuuuuuuX」編に分かれていますが、「ビギニング」といえば「めぐりあい宇宙」のED曲だったり、ビルドファイターズでの「ビギニングガンダム」など、ガンダム世界ではよく用いられてきたワードではあります。

冒頭からコロニー落としのシーンが現代水準の高画質で観られたことにまず感動。ガンダムUCでも描かれましたが、本作では映画館で上映されることを前提にレイアウトされているようで、だいぶ画面のアスペクト比を生かした迫力ある絵になっていました。

次にシャアの声優がしれっと池田秀一氏でなくなっていたのに驚きました。しかもUCにおけるブライトさんのように、前役と似た声質というわけでもない全く違う声。池田秀一氏はしんどそうなので(空気清浄機エアドッグのCMを見てももうシャアの声が出ていない)シャアとしては引退だなとは思っていましたが、斬新すぎるでしょ。

主人公とその近くにいる子が「黄前久美子」と「ヴァイオレットエヴァーガーデン」なので、どれくらい違和感があるんだろうかと思いきや、黄前ちゃんは多少風味を残していたものの、ヴァイオレットちゃんの方は全くヴァイオレットではなかったですね。石川由依さんは声質の幅が広いからなぁ。

安彦キャラと、今回新しくデザインされた竹キャラの馴染ませかたも巧みでしたね。シャリア・ブルなんかも0079 と 0085 では少し風味が違うように感じました。

メカに関しては今回「手と足の可動域を広く」というオーダーがあったようで、その効果はもう最初から現れていて、冒頭のサイド7への偵察でザクがコロニー外壁に着地してハッチのノブを回すシーン、股関節のあたりの作画のウソがほとんどなくなっていました。あのウソのせいで腰が軟質素材でできたザクのプラモデルまで作られちゃう始末でしたからね。ただ、ザクの膝から下が「境界戦機」のメカのように逆弓形になってるのはちょっと好みではないかな。

主題歌「米津玄師」というのは申し訳ないけどちょっと「スタジオカラー」作品では食傷気味で、それゆえ直前まで伏せられていた挿入歌:星街すいせい「もうどうなってもいいや」が輝いて聞こえました。一番盛り上がるところでかかりますからね。あれはいい。星街すいせい、最近聴いたなと思ったら「トラペジウム」OPでしたね。

本作が「水星の魔女」の前に企画されたものだと聞くと若干混乱してしまうのですが、水星の魔女でウケた部分は巧みに取り入れているように感じました。また、今回の戦闘シーンは「グランバトル」という、水星の魔女に続く模擬戦ですが、いくらガンダムといえども、輸出が重要となるコンテンツでは戦争を正面切って描くことはもうリスキーでできないということなのでしょう。どこの国でどんな地雷を踏むか分からないですからね。一方でどの国でもあり得る普遍的な要素としては「警察」があって、警察とのバトルは安心して描けるのかなと思います。

ニュータイプ論についてもわりと触れられていて、主人公マチュがララアが出てきそうなあの世界に引きずり込まれたあと「分かんないけど、分かった!」という、何かを理解したような描写がありました。それとあの世界の虹色の模様を実際の絵としてストリートアートにしてしまったのも斬新ですね。あれは劇としてのイメージじゃなくて本当に見える現象だったんだと。

見終わって俯瞰して考えると、ジ・オリジンが「前夜・赤い彗星」と「ククルス・ドアンの島」までしか映像化されなかったことが妙に付合してきますし、アムロの中の人が不祥事を起こして登場させにくくなったことも本作の方向性と符合していて神がかっている(ちょっと不謹慎な言い方ですが)と思いました。

 

ガンプラの出荷量も今回ものすごいようで、「映画を見て感動して帰りに売店でガンプラを買う」という流れが普通に行われていて感動しました。本来あるべき姿はこうですよね。「閃光のハサウェイ」の頃だと各劇場でガンプラの割り当てが数個しかなくて、せっかく映画で気持ちが盛り上がってるのに勿体無いことして…と思っていました。今回GQuuuuuuXのガンプラは次から次へと補充が行われていて、初日最後の上映の前でも買うことが可能でした(最終上映の後だと売店が閉まってしまうので買えません)。

しかし IMAX で観るバルカン砲の音は素晴らしかったです。ズボンの裾が空気振動で震えるのを感じました。あれを都市部の自宅で再現させるのは不可能でしょう。劇場に観に行く価値がありますね。

 

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