昨日、ちょっと驚いたニュースがありました。国内ではエレコムなどが販売する「ナトリウムイオンバッテリー」が、航空機の機内持ち込み、預け入れとも不可になったというニュースです。正しくは今回不可になったわけではありません。以前から不可だったものが明確化された、というのが事実です。
PC Watch:「発火しにくいナトリウムイオンバッテリが機内持ち込み・預け入れとも禁止。エレコムがお詫びと注意喚起」
しかしここで明らかになっていないのは、なぜ燃えにくく安全であるはずのナトリウムイオンバッテリーがこのような扱いを受けているかです。公表情報が少ないため、以下は現時点で考えられる理由ですが:
- 航空機に持ち込み・預け入れ禁止になっている理由を詳細に説明することは悪用の抑止になるため。(ソフトウエアの脆弱性をセキュリティパッチが公開されるまで公表されないのと同じ理屈。)
- 「発火しにくいバッテリー」は、裏を返せば過酷な環境でも安定的にエネルギー放出ができるという意味です。すなわち、もしなんらかの理由で発火してしまった場合もまた、「過酷な環境でも化学反応が進む」わけであり、消火が困難であることを意味します。
- ナトリウムイオン(Na+)を使用しているので、消火の方法がリチウムイオンバッテリーとは異なるようです。バッテリー内の材料が熱分解した際に、どのような化学的挙動を示すかについてはまだ未知数な部分が多く、うっかり水をかけて良いかのどうかの結論は出ていません。仮に正しい消火方法があったとして、いざ燃えているモバイルバッテリーを見て、それがリチウムイオンバッテリーなのか、ナトリウムイオンバッテリーなのかを判別することは困難です。
- ナトリウムイオンバッテリーに最適化された消化手段が、航空機に装備されていない可能性が高いです。
おそらくこういった理由なのではないかと思います。
しかし、「過酷な環境でも安定動作」というのがいざ火災になると裏目に出る可能性があるのは皮肉ですね。
ユーザー側としても、「いやいや安全なバッテリーって言ってるんだから大丈夫でしょう?」というような軽い気持ちで持ち込むと、洒落にならない事態に発展する可能性があることは認識しておいた方が良いと思います。
そしてもう一つ、この件についてイヤなことがあります。それはエレコムが「以前から持ち込み不可だったナトリウムイオンバッテリー」を、堂々と「機内持ち込み可能」と称してパッケージにも明記して販売していたことです。
これに対するエレコムの対応は以下の通りなのですが:
ウェブサイトの記載を順次修正するとともに、市場流通品のパッケージ表記についても順次切り替えを進めます。しばらくの間は、「航空機内持ち込みOK」などと記載された旧パッケージと新パッケージが混在する場合があります
私はこれはちょっと呑気ではないかなと思いました。明らかに安全に関わるルールを理解せずに間違ったことをパッケージに書いて販売しているわけですから。
これでエレコムが関連ルールに照らし合わせたチェック体制が整っていない会社だということも判明してしまいました。私は以前から同社のエレクトロニクス周りの信頼性に疑問を持っていましたが(後出しじゃんけんで240V対応ACアダプターを海外使用不可と言ってみたり、LANケーブルの規格を独自解釈したりとか)、今回の件もまたそれを裏付けるものになりました。
ELECOMは国内他社に先んじて製品化したことに酔っているのかもしれませんが、こんなポエムなんか語ってる場合ではないと思いますがね。


コメント