注文した土屋カバンのランドセルは、工場隣接の店舗で見て即決だった。なぜ土屋カバンが琴線に触れたのか、そのあたりの能書きを書いてみたい。
まず、今売られているランドセルの多くは「日本製」の表示がある。しかし「日本製」を表示するためには最終組み立てを日本で行えばいいわけで、穿った見方をすれば初期工程は中国などで行っても問題ないはずだ。(材料となる革の原産国は元々日本国内での調達量は少ないと推察されるため、今回の話題からは除外する。)
初期工程から日本で製造していればそれなりのアピールができるはず。しかし大抵のランドセルメーカーはそういったアピールをしていない。一方、土屋カバンはショールームの向こうでランドセルを組み立てている工程が見えるため、安心して日本製だと言える。金具など細かいパーツまで日本製かというと疑問が残るが、少なくともメインの縫製は日本製だ。
やはり日本人が作ったものは、なんでもそうだが、アジア圏の諸外国製に比べて平均的にしっかりしていると思う。日本人が作ったと確認できる。これが理由その1。
次に素材。土屋カバンではほぼ同一形状で、クラリーノ、牛革、コードバン(馬革)のランドセルを作っている。軽さで選ぶならクラリーノ(合成皮革)、耐久性と風合いのバランスで牛革(一番人気)、耐久性より風合い優先でコードバン、というのが大雑把な分類。クラリーノと言っても、その辺で売られているクラリーノ使用ランドセルとは明らかに違う仕上がりだし、牛革やコードバンはその上さらに風合いが素晴らしい。
我が家では風合い優先で牛革かコードバンに絞ったが、最終的にはスベスベがいいというムスメの要望でコードバンになった。コードバンには艶有りと艶消しがあるが、艶有りは人気商品らしく速攻完売になったようで(11月上旬には完売?)、自動的に艶消しになった。たぶん艶有りがあったらムスメは艶有りを選んだだろう。
店員によると、コードバンはシボ加工されていないため、使い込むと革の財布と同様の劣化を示し、味が出てくるのだという。まぁ味が出てきたところで小学校卒業になる気がしないでもないが、この素材感がムスメの記憶となって残ってくれることを期待して本革を選んだ。実は私も妻も、子供時代に自分が使っていたランドセルの素材感を覚えていて、「ああ、結構いいモノを用意してくれてたんだ」という親心を感じたというのもある。これが理由の2つめ。
理由の3つめは良心的な価格である点。クラリーノで3万円台、牛革で5万円前後、コードバンで6万円前後の価格は、量産品と比べても法外に高いわけでもなく、むしろ職人の手作りを前面に出したランドセルの中では安い方である。品質が伴わず、無闇に高いだけではあれだけの集客はないはずだ。
理由の4つめは口コミ。土屋カバンのSEO戦略が同業他社比で抜きんでているのはネット検索結果を見れば明らかだし、Webサイトの美しさは鞄屋の知識の範囲を超えている(=外注)と思うが、それを考慮しても東京以外の地域から、駐車場に入れないほどのお客さんが来るというのは尋常ではない。単に高級なランドセルが欲しいのなら高島屋でも松屋にでもいけばOKなのだが、東京と埼玉の県境付近にある工場の一角にこれだけのお客さんが来るのは、それだけ認めている人が多いに他ならない。
理由の5つ目は…これは現時点ではという限定付きだが…あまり知られていない点。前項でSEOや口コミのすばらしさを書いたが、それでもウチの周りのリアルワールドでは「土屋カバンのランドセルがいい」という話は聞かない。たぶんウチの地域ではクラスでも2~3人程度しかいないのではないだろうか。やはり持ち物は人と違うものがいい(と親が勝手に思っているだけだが)。これがメジャーになってしまっては価値も半減である。
なお、一般的なクラリーノなら900g前後すら存在する中、土屋カバンの本革ランドセルは1,200gもある。軽い方がいいと判断する方もいるようだが、私は中に詰める教科書類の重量や、背負い心地まで考慮すれば300gの差など誤差の範囲だと思う。むしろランドセルが嫌いにならない範囲で、少し重いのを背負って筋力を鍛えて欲しいくらいだ。
以上のような理由だが、たかがランドセルにそこまで考えるのかよ、という向きもあろう。そう、ランドセルが大事なのではなく、ランドセルを背負って何を学んでくるかが問題なのはもちろんだ。引っ込み思案なムスメのことだから、ランドセルに負けてしまうかも知れない。だが、こういったところにイチイチ拘る親の姿勢は、きっと何らかの影響を与えると思う。
コメント
縫製やら生地がいいのはわかったけど、
値段は高いけどランドセルは重い、
機能面でも他メーカーより劣る。
まあ、見た目はいいし、
優越感に浸れるのは事実。
だけど、たかが小学生のランドセル。。
親の見栄の世界かも。。
ランドセル検討シーズンですね。
経済力がなく勉強机すら買ってあげられないほどの
ウサギ小屋に住まわざるを得ない身分としては、
ランドセルくらい贅沢してもいいじゃない、
という気持ちはあります。
また、ブランドバックを重さや機能最優先で
選ぶ人はいないと思います。
うちの子(今5年生)も土屋カバンのランドセル使ってます。
うちの子のは、クラリーノの内装や背あてがパステルカラーのものですが、今でもしっかりしてるし子どもも今でも気に入っています。下の子が来年入学なのですが、下の子にも土屋カバンでランドセを買ってあげたいと思っています。
6年生になってもしっかりしてそうなので、どうやって保管しようか悩んでいるところです(笑
ミニチュアに作り直されるのも勿体ない気もしますし…