今夏にリリースされるというMac OS Xのニューバージョン、”OS X Mountain Lion”は、iOSデバイスでお馴染みの「iMessage」やiCloudに自動同期する「メモ帳」などが実装されるというが、私が注目したのが「AirPlay Mirroring」機能。対応機器の画面を、Apple TVを介してお茶の間のテレビに大写しにする機能だ。
我が家ではパソコン(iMac)はリビングの隣に置かれており、パソコンの位置からテレビは見えるのだが、逆にテレビを見る位置からパソコンの画面は見えない。そのため、パソコンやiPhoneからしか参照できないコンテンツがリビングで話題になったときは、iPhoneの小さな画面を皆で覗き込むか、パソコンの画面が見える所まで民族大移動するしかなかった。
また、Webブラウザで参照できるネット上のコンテンツやYouTube動画がリビングで話題になったときも、iPhoneやiPadを皆で覗き込むか、もしくはWiiやPS3、またはテレビ内蔵のWebブラウザでアクセスするしかなかった。これらの機器にはキーボードがないので、Webアクセスに必要な文字入力が大変面倒で実用にならない。PS3にはマウスやキーボードが接続できるが、そもそもリビングにマウスやキーボードを置いておく場所はないし、まだ食卓が散らかっている食後のまったりタイムでキーボードを使う場所はない。
そんな諸々の問題を解決するのが、Apple TVという小さな黒い小箱である。出た当初は地味な製品だったが、iOS 5に搭載された「AirPlay Mirroring」機能の登場で活躍の場が一気に広まった。iOS 5を搭載したiPhone 4SやiPad2で操作した画面をそのままワイヤレスでリビングの大画面に映せるので、iPhoneの操作性そのままで大画面でネットアクセスできるのである。
Apple TVをリビングのテレビに接続し、一通りの初期設定を済ませると、同じLAN内にあるiPhoneやiPadのホームボタンを２回押して現れるタスクスイッチャエリアに、見たことがないアイコンが現れる。これはiPhone 4Sの画面例だが、ここをタップするといまiOSデバイスに表示されている画面がテレビに表示される。
解りにくいが、テレビの大画面
ここで、もしApple TVの電源が切れている場合には、勝手に電源が入るのが凄い。技術的にはワイヤレスWake On LAN(WWOL)が実装されていると言うことだが、汎用のWWOLの実運用はなかなか難しい場合もあるようだ。現時点ではAppleの世界でcloseしているがゆえに実現できる機能なのかも知れない。
ただ、WWOLまでできておきながら、HDMI-CECには非対応なのが惜しい。HDMI-CECに対応していれば、テレビの電源が勝手に入って入力切り替えまでできるはずなのだが、実装されていないのは北米でのHDMI-CECの普及状況と関係するのかも知れない。
話を画面に戻すと、画面全体の解像度は720p、すなわち1280×720画素だが、iPhoneの画面が表示されている領域はその一部である。iPhoneサイトは文字が大きすぎ、PCサイトでは文字が小さすぎると感じる。
そこでiPhoneを横にしてやると、表示領域が大きくなり見やすくなる。PCサイトを表示してちょうどいいくらいだ。PC版Yahoo Japanのトップページでもキッチリ文字が読める。
無線LANで伝送しているため、レスポンスとしてはコンマ数秒の遅延はあるが、iPhone上での操作はほぼリアルタイムに反映される。操作はテレビ画面に対してではなく、あくまでiPhoneに対して行う。
ミラーリング中は、iPhoneのステータスバーが青くなる。これにより、自室で使っているiPhoneの画面がうっかりリビングで映っていた、なんてことは防げる。
なお、AirPlay Mirroring機能を使うにはiPhone 4SまたはiPad 2が必要であり、iPhone 4以前や初代iPadは残念ながら非対応である。我が家もiPadは初代なので、ミラーリングできない。これは無線LANに画面イメージをリアルタイムで送出する仕組みが過去機種に備わっていないか、または処理能力的に厳しいためと聞いている。
このAirPlay Mirroring機能が、今夏からMacにも搭載される。色々と便利に使えそうだ。
もうこの機能だけでApple TVの元が取れた印象だが（そもそもiMacにHDMI機器を接続するアダプタより安いってどういうこと！？（笑））、機能は他にも色々ある。次回、他の機能を紹介。でもビデオレンタルにはあまり興味がないので（笑）、それ以外を。
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