ジョウバンセンスゴイカタイアイス

出張で特急ひたち号に乗った。発車して間もなく車内販売が来た。東海道新幹線でも廃止された車内販売が残っていたことに驚いたが、もっと驚いたのはシンカンセンスゴイカタイアイスが売られていたことだ。新幹線でもグリーン車なら買えると聞いたが、常磐線のサービスは新幹線を上回るということか。シンカンセンではないからジョウバンセンスゴイカタイアイスか。

 

スゴイカタイアイスはスゴイ固かった。その固さは保冷バッグのドライアイスに起因するらしいが、自販機やNEWDAYSではお目にかかれなくなったシンカンセン車内販売のあの固さそのものだった。

その固さと格闘を始めたのと時を同じくして、前の席の男がノートパソコンのキーボードをビシャビシャと感情任せに叩き出した。よせ、彼はVAIOじゃない、という往年のギャグが秒で頭に浮かんだ。表情は見えないがおそらく顔を真っ赤にして怒りのメールを打っているのだろう。若いことである。経験上、怒りに任せたタイピングは長続きしない。案の定、水戸を出て石岡までまだぜんぜん距離があるあたりでタイピングは終わった。アイスはまだ2割くらいしか減っていない。ノートパソコンの機種はレッツノートだった。どちらかといえばキーボードがうるさい部類のパソコンだ。

もっとも、その男がタイピングをやめたところで他にも2人ほど熱心にタイピングを止めない男がいた。金曜の出張の帰りにタイピングなんかせずに呑気にカタイアイスと格闘できる自分の幸せを内心祝った。もっともそこでタイピングしないから出世競争から脱落したとも言える。見渡せば上司は年下ばかりである。それでもまぁここまでよくやったんじゃないかと思っている。

シンカンセン…じゃなかったジョウバンセンスゴイカタイアイスは途中から加速度的に溶けて食べやすくなる。土浦を通過するまでには食べ終わってしまった。さてこのあとどうするか。この列車は品川まで行くが、品川まで行ってしまうとJR線最凶と言われる品川-川崎間を立って乗車しなければならない。上野で降りればまだ空いている上野東京ラインで座れるかも知れないが、もし座れなかった時のダメージは品川乗り換えより大きい。

考えがまとまらないうちに間もなく上野である。怒らずに淡々とタイピングしている二人はまだやっている。そこにいかにも太ったオッサンのイビキの爆音まで乗ってきた。これもう常磐線普通列車の方が静かなんじゃないかな。旅費を浮かすのに同じ区間を普通列車で移動したらいぼ痔になって手術した二十代の経験があるので、もう長距離のロングシートは乗らないけどね。

 

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