ソニーのVAIO事業の譲渡と、テレビ部門の分社化が発表されました。
最近のソニーはだいぶ復活の狼煙を上げていたように思うのですが、投資市場はそんなセンチメンタリズムには用はなかった、ということだったんでしょうか。
いやでも、確かに辛い戦いでした。VAIOの方はもう中の人の能力ではどうしようもないところまで来ていたと思います。中の人の能力が低いわけではなく、もう戦場が悪いとしか言いようがありません。
コモディティ化して誰でも作れるものと言えば液晶テレビですが、液晶テレビがB-CASカードという障壁によって国内メーカーが守られていたことと比較すると、いかにもPCは分が悪い。それは純国産トップのPCブランドであるVAIOですら、現状のラインナップを見ると変化球だらけであることから解ります。
もちろんきちんとした調査に基づくラインアップなのでしょうが、「こういうのしか売れないんだぁ…」というところに現在のPC業界の辛さが伺えます。なんかこう、クルマで言えば「VW GOLF」や「トヨタ・クラウン」、食べ物で言えば「半斤280円のブレッド」あたりに相当する製品が見当たらないんですよね…。そういうところはEMSの規模にモノを言わせたメーカーが持って行っちゃってるようにも見えますが…。
少し前なら「少し高くても品質でVAIO」という選択肢もあったんでしょうが、パソコン市場全体の品質の底上げが著しいので、いまはよほど尖ったマシン以外は「適当にDELLやレノボの安いのでいいや」ということになってしまっていますもんね。
(普通ならここで、「VAIOと私」という思い出話でも書くところなのですが、確かに私も以前VAIOに惚れた一人ではありますが、もっと熱い思いを持った方がごまんといらっしゃるので、気持ちを表明するのに気後れしているのは確かです。)
VAIO事業を始めた出井氏は、当時ITと通信の融合を説いたと言います。その意思はおそらく、タブレットやスマホによって担われたということなのでしょう。そういう意味では、門外漢ながら、なんで開発メンバーを安曇野に集めてしまった…という思いはあります。SOMCと一緒にやっていれば、また違った未来があったはずと思わずにはいられません。
譲渡先となる「日本産業パートナーズ」については、正直情報が少なくてよく解りません。ただ日本の投資ファンドのようなので、少なくとも米国に拠点を置くような投資ファンドよりは、日本人のメンタリティを理解してくれるものと期待します。
さて、BRAVIAことテレビ部門の分割は、おそらく平成17年(2005年)に制定された「会社法」の「会社分割」が適用されるものと思います。経営側にとって大変使いやすい法律ですが、労働者側にはこれといってなす術がありません。
分社化されたからと言ってすぐリストラ、ということはさすがにないと思います。数年内に黒字体質に持っていければ、テレビ部門はソニー本体への再吸収もありえるのではないかと思います。もちろん、その逆もありうるのが、会社分割の恐ろしいところなのですが。
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