GTAの思想だけを学べるだろうか

「一番問題だと思ってるのは、ユーザーが世界に通用するゲームをプレイしていないことなんです。」

例として、GTAが挙げられているが…
GTAみたいな暴力的なゲームは、日本では受け入れられないだろう。米国のような銃社会ではないし、世界でも屈指の治安の良い環境では、GTAの世界観に眉をひそめ、共感できない日本人は多いのではないか。もっとも、当の米国内ですら、GTAの暴力性には異論が上がっているようだが。

世界に通用している日本のアニメだって暴力的だし登場人物がバンバン死んでるやん、という意見もあろう。しかし暴力や死に関わるシーンを傍観するのと、自身が関わっているのは別のもの。よくテレビは体をふんぞり返して観るもので、パソコンは体を前傾して観るものと区別されるが、ゲームもパソコンと同様、前傾させて操作するものだ。ふんぞり返って暴力や死を傍観できても、前傾して暴力や死に関わらないのが、日本人の性質のように思う。

しかし日本が少子化で、銭を稼いでいこうと思ったら世界に打って出なければならないのは事実。世界に受け入れられるコンテンツを生むためには、日本の治安の良さが特殊で、世界の平均的なレベルというのを学ばなければならない…のだろうか。ポケモンのように比較的平和なコンテンツが世界に受け入れられた例はあるわけだが、ポケモンが世界で受け入れられたのは当初からの戦略によるものであるとは聞いたことがない。

日本が置かれている特別に平和な環境を理解しつつ、そしてその平和ってのは素晴らしいことなんだよと踏まえた上で、そうではない国に育った人たちの気持ちを理解し、彼らに受け入れられるコンテンツを作る。GTAの思想の深さを学び、暴力的な面は見習わない。クリエイターはこんな器用な育ち方ができるのだろうか。