ハンディカム:「実用充電時間」という政策

ハンディカムのバッテリー関係のエントリー三連発である。これで終わりにする。最後は思うところを書いてみたい。

まずBC-TRPの充電時間が異常に長いのは、本当にお安くできているチャージャーだからだと言える。これは商品企画としてオトクキットACC-TCH7を仕込みたかったからお安い中身で作ったのか、または逆に、利益率の高い商品としてBC-TRPを企画したものの、あまりにも性能のヘボさっぷりに「これでは競争力がない」と判断されオトクキットACC-TCH7が後から企画されたか。

いずれにせよ、オトクキットACC-TCH7は定価ベースで受ける印象ほどオトクではなく、実売価格がこのセットの真の価値を表していると思う。

それからActiFORCEという規格。おそらくソニー内のバッテリー屋がよかれと思って作り込んだ仕組みなのだろうとは思うが、ハンディカム本体の商品企画として本体内充電が主力になってしまったご時世では、「ActiFORCE」対応を謳いにくくなってしまったのかも知れない。但しハンディカムの本体内充電では、満充電までの時間で比較すれば、ActiFORCE対応の単体充電器AC-VQH10の充電時間にまぁまぁ迫る短さで充電できる。

ちょっとハンディカム本体の商品企画と、バッテリー担当の商品企画が統括されておらず、バラバラに突っ走っているような印象を受けた。ハンディカム本体に見向きされないようでは、ActiFORCEというスペックは意外と短命に終わってしまうかも知れない。もっとも、そうでなくとも、ソニーのバッテリーはコロコロ規格が変わるのだが。

そして「実用充電時間」という考え方。リチウムイオン電池というのはその性質として、満充電せず、80~90%くらいのところで充電を完了すると充放電回数において長持ちすることが解っている。そして急速充電する場合でも、80~90%で止める場合に比べて100%まで満充電する場合では、時間が倍近くかかることも解っている。

だから実用上の折り合いとして「充電時間が約半分になるなら、80%~90%充電あたりで使うのがいいんじゃね?」ということで、「実用充電時間」というアイデアが生み出されたのだと推察する。また、充放電回数において長持ちすると言うことは、それだけバッテリーにかかる負担も小さく、重大な事故(発煙発火など)も起きにくいのではないかと推察する。

とはいえ、相変わらずハンディカム本体は「実用充電完了」の表示をしないし、カタログスペックとしても連続使用可能時間は満充電をした場合に何時間使えるかの表示がされている。バッテリーに優しく、より安全で、実用充電を中心に使って欲しいなら、スペック表記も本体充電仕様も「実用充電」を基準にやらないとダメなのではないか。

チャージャーの充電時間表記として「実用充電時間」を中心に書いて、実使用時間は「満充電」を基準にするなどえげつない書き方をしていると、そのうちどこからか指導が入りそうな気がする。

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