空白地帯に登場した、テレビの音をちょっと良くするソリューション Olasonic TW-D7OPT

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現在の薄型テレビの音質は大変ひどい状況にある。元々スピーカーというのは薄型テレビの筐体に埋め込むのには向いていない。各社工夫しているようだが、ここ3~4年のテレビはコストダウンが著しく、私が聴いた限りにおいては東芝の初代「CELL REGZA」が何とか及第点で、他の機種の音質は箸にも棒にもかからんなぁ…という印象。とはいえ初代CELL REGZAは60万円~80万円、おいそれと買える金額ではない。

薄型テレビには音は期待しない、どうせ外付けの立派なシステムを組むのだからいっそスピーカーレスにして貰って結構、という意見も耳にするが、そこまでコストをかけられる人は少数。それにテレビが折角省エネになってきているのに、天気予報の音声を聞くだけで立派なアンプを繋いで何百ワットも消費するってどうよ、という思いもあろう。

テレビの音声を「ちょっとだけ」グレードアップしたいのだけど…となると、選択肢がほぼないことに気がつく。私が考える理想の外付けスピーカーの要件は、こうだ:

(1)テレビの電源に連動してアンプがON/OFFすること。または電源が不要なこと。
(2)テレビのリモコンで音量調節ができること。音量調節ごときで専用リモコンが必要など論外。
(3)テレビに見合った低消費電力であること。テレビ以上に食うなど論外。
(4)スピーカーがテレビの左右にぶら下げられる構造になっているか、テレビの前に置いて画面の邪魔にならないこと。
(5)サラウンド機能不要(あっても構わない)。
(6)当然だが、テレビのスピーカーより音質が良いこと。
(7)毎日聞いても、食事中に聞いても違和感のない音であること。
(8)価格はテレビとのバランスを考え出しても2万円。良い製品なら譲歩して3万まで出しても良い。

ここで(2)については学習リモコンを使うことで解決可能ではないか?という意見も頂いたことはあるが、近年の機能向上著しいテレビでは学習リモコンではキー割り当てが足りなかったり、仮に足りても必死に全キー使って「何とか割り当てました!」的な、使い勝手が二の次になってしまうことも多い。テレビに標準添付のリモコンは馬鹿にできないのだ。

実は上記(1)~(8)を満たすスピーカーは世の中に存在しない。これについては数年にわたり追求はしているのだが、電源連動タイプの多くのスピーカーは1万円以下と安価であり(6)を満たさず、逆に(6)を満たすとなると(1)(2)が犠牲になるという状況だ。電気店に行けばこれでもかとばかりのアクティブスピーカーが並んでいるというのに、ラインナップの空白地帯が存在するのだ。

そこで現在はBOSE MediaMate IIに市販の電流検知型連動タップを使い、テレビのヘッドホン端子に接続するスタイルで運用しているのだが、(7)にちょっと不満があった。MediaMate IIは1万円そこそこと安価ながら、スケールを越えた迫力があることで有名。食事中に見る天気予報のBGMすらズンズンと響き、いちいち大袈裟だ。最初に導入したときなどツマと「いちいちイイ音過ぎる」と苦笑したほどだ。ちょっとしたホームシアターシステム顔負けの迫力はあるのだが、毎日の生活の中で使うにしては聞き疲れする。

それでも他にパーフェクトな選択肢がない以上、もっとも満点に近い「MediaMate II+電源連動タップ」を、(7)に少し我慢しつつも使うほかなかった。

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そんなタイミングで現れたOlasonic TW-D7OPT、これが実に「市販スピーカーの空白地帯」を埋める、上記(1)~(8)を満たすパーフェクトな製品であるように思えたので、早速試用を申し込んでみた。

本製品はスピーカー部のほか、アンプ部、リモコン、ACアダプター、ケーブル類で構成されている。アナログ音声入力ケーブルや光ケーブルまで付属しており、本機を使い出すために必要なケーブルは一通り揃っている。

Olasonic TW-7シリーズは過去にもUSBスピーカーの「TW-S7」、ウオークマンをドック接続できる「TW-D7WM」が登場しているが、共通しているのは色こそ違えど、この卵形のスピーカー。エンクロージャー内の定在波の排除と強度の向上を目指したとのことである。スピーカーユニット正面にあるグリルは外すことはできず、音を拡散させるデフューザーの役割を果たす。このタマゴを安定して立たせるためにシリコン製の台座が付属し、設置角はある程度自由にできる。(横に寝かせた状態でも設置できるようだ。)

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背面にはパッシブラジエターが装備されている。正面のスピーカーユニット背面から放出された音=タマゴ内の音波に共振し、低音を増強するためのものだ。

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コントローラ部。アンプもここに入っているものと思われる。アナログ入力端子はウオークマン類の接続を意識したのか側面にあるが、ここを普段テレビで使う場合の見た目の悪化を抑えるためかL字型ケーブルが付属する。

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ACアダプタ。コンパクトな部類だが、トラッキング防止の絶縁材(プラグの歯の根元を絶縁し、ホコリが詰まった場合の焼損リスクを低減する)が付いていないのが惜しい。

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付属リモコン。セッティングが終わった後は、アナログ接続であればリモコンレスの運用が可能。詳しくは後述する。

さて、コントローラを操作してみよう。電源を入れると目を引くのは青く光る音量インジケーター。ボリュームを調節すると全体が点滅するので、遠くからリモコンで音量調節した場合でもリモコンが効いていることが視認しやすい。音量の調節段階数はこのLEDのセグメント数、ということはなく、かなり多段に(数えていないが数十段はありそう)音量調節ができる。

他にあるのは光/アナログ入力のセレクターと、バスブースト、アッテネーター、オートパワー機能のON/OFFくらい。バスブースト、アッテネーター、オートパワー機能はリモコンでのみ設定が可能だ。特に操作で難しいところはない。ただ、ONにしたときだけ音量がアップするアッテネーター機能は何のためにあるのか、説明書を読んでもいまいちピンとせず、疑問が残った。たぶん音量ボリュームとアッテネータが別回路になっている、内部回路の事情が機能として表に出てきてしまったのだろうか。

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テレビに接続して試聴してみた。テレビ内蔵のスピーカーと比較すると、パッと明るく、抜けがよい音質が印象的。遠距離での聴取でも明瞭度が高い。単に高域寄りという訳ではなく、低音とのバランスがいい。タマゴ状の見た目からオーガニック的なものを連想してしまうが、その印象同様、それなりにワイドレンジなんだけど、尖ったところがない。サシスセソの発音でもきついところがない。

BOSE Media Mate IIと比較すると、BOSEの方は明らかに周波数特性に凹凸があるのを感じる。ハマれば楽しいのはMedia Mate IIの方だが、オールラウンドにそつなくこなすのはTW-D7OPTの方だ。低域の出方はMedia Mate IIの圧勝だが、それが普段の聞き疲れの原因の1つでもあるので、普段使いにはTW-D7OPTが向いてそうだ。

光接続とアナログ接続(テレビのヘッドホン端子に接続)の音質も比較してみたが、光接続の方が明瞭度がアップし、一枚膜が剥がれたような印象を受ける。だが光接続してしまうとテレビのリモコンで音量調節ができなくなってしまうのが難点だ。

一方でアナログ接続の場合はテレビのリモコンで音量調節ができる。オートパワー機能をONしておくと、テレビの電源が切れると3分後に本機の電源が切れるので、本機のリモコンに触れずに運用することが可能だ。(光接続でも1分後に自動的に電源が切れる。)もちろん再度テレビの電源が入れば本機の電源も入る。自動電源ON/OFF時のポップノイズ(ブチッという音)は小さめで、オーディオ機器として設計に気を遣っていることを伺わせる。

私の要求をかなり高い次元で満足するOlasonic TW-D7OPT。だからこそ、自腹で購入することを本気で検討するに当たって、いくつか気になった点を挙げておきたい。

    ・卵形スピーカーのボディの艶。高級感があるが、本木の小ささを生かしてテレビ画面の前に設置すると、画面の反射光が気になった。(慣れの問題かも知れない。)

    ・アナログ音声入力のゲインの低さ。接続するAV機器の30~40%の出力で接続するよう説明書には書かれているが、テレビの音声出力で35%も出したらなかなかの爆音である。万が一ヘッドホンプラグが抜けたときを考えると、アナログ入力端子のゲインはもう少し高く(テレビの最大音声出力の10~15%程度で実用になるような設定)てもいいように思う。

    ・本体のきらびやかなLED類。アナログ入力にテレビを常時接続する場合、音量調節含め本体のLED類はまったく不要なので、何かカバーがあると良いと思った。

    ・卵形スピーカーの安定性。市販の転倒防止ジェルも使いにくい形状なので、何か地震に備えた落下防止ソリューションが何かあると良いと思った。

    ・スピーカーケーブル、アナログ音声入力ケーブルの長さがギリギリ。我が家のテレビは42インチだが、46インチ以上のテレビに繋ぐ場合には、本体アンプ部の置き場所の自由度は低いだろう。それとは逆に、付属の光ケーブルの長さにはたいへん余裕がある。

デジタル放送の音声は圧縮こそしているものの、実はかなり高品質だ。テレビ内蔵のスピーカーでしか聴いたことがないのであれば、本機を接続するとデジタル放送の音声のポテンシャルに驚くだろう。

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「空白地帯に登場した、テレビの音をちょっと良くするソリューション Olasonic TW-D7OPT」への1件の返信

  1. こんにちは、いつも楽しく読ませてもらってます
    先日、私も電気屋さんでテレビの事を聞いて来たのですが(買い替えです)、担当してくれた店員さんは各メーカさんの特長とかを簡単に説明してくれて、その中で音に付いて良いのはシャープのアクオスと言われました。高いモデルのものを見れば他にもあったのかもしれませんが、値段と音のバランスはアクオスのARSS(アラウンドスピーカーシステム)が他社さんより良いでしょう、との事でした。アクオスの液晶、私の周りではイマイチな評判なので悩み中です。(やはり、液晶テレビのスピーカーは良く無いと言っていました)

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