幸い、家族に深い悩みがある訳ではないのですが、
書評で見かけて面白そうだったので読んでみました。
内容はQ&A形式で進みます。本書に挙げられた設問は完全には現実のものではありませんが、著者が臨床40年のカウンセリング経験で出会った実例を元にしたフィクションです。ですがその創作はあくまで個人を特定しにくくするためのものであり、問題のテーマ自体は変わっていません。
ネット上に見られる人生相談にはそれはそれなりの良さがあるのだが、責任をとらなくてもいいという身軽さがある、と筆者は言います。そこに初回カウンセリング料1回:10,500円を設定する筆者がクライアントの「重み」を体感した結果が、本書に結晶されています。それは時に冷徹であり、時に自分自身より自分を見透かされているようであり、そして暖かい。
悩みはないと思いつつも、読んでみるとそういえば自分もこういう悩みはあった、と思い当たることも多々ありました。自分の中ではそんなことで悩んでいるのは自分くらいのもの、と咀嚼していたのですが、本書を読んで、ましてや経験40年のカウンセラーに「普遍的なこと」としてバッサリやられたのはある意味衝撃でした。自分が特別な悩みを抱える人間だと思ってただけだなんて、まるで中二病じゃないか!(笑
全編を通じて、自分の心の動きを知り俯瞰することが、悩みから解放されるのに有効であるという印象を受けました。しかし冷静に外から自分を分析するのは難しいもの。
「あなたの悩みはこの本のどこかに見つかると信じています」(本書 帯より)
確かに、心が少しほぐれた気がします。
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