iPhone 15 Pro + iBasso DC04PROでバランス出力を聴く

iPhone 15 Proになってから、Lightning ヘッドホンアダプタが使えなくなったので、USB-Cヘッドホンアダプタ MU7E2FE/A を買いました。1,380円、まぁ中身を考えれば良心的な価格です。

普通はこれで不満はありませんが…

 

そういえば手元のMDR-1Aにバランス入力機能がありまして、これを活用したことがないな…というのを思い出し、まずはケーブルということでサービス部品扱いの「1-912-475-21 バランス接続ケーブル」を購入しました。

 

これはMDR-1A用というよりは後継機のMDR-1AM2に付属していたケーブルで、上を見たらキリがないヘッドホン用バランスケーブルの中で、この価格でこの品質を出せるのはこの製品だけです。もうディスコン気味なので、現在ですと定価ではサウンドハウスでしか買えないですかね。Bさんも4年前に同じチョイスをされてましたね。「やっぱそうなるよな」という感想。

 

そしてこっちがこのエントリの主役。iBasso DC04PROです。いわゆる「ドングル型DAC」に属する製品で、純正のヘッドホンアダプタより高音質を実現するものです。ヘッドホンアンプまではちょっと手が届かないので、実用的なところでバランス出力が体験できる製品ということで選びました。このDC04PROは3.5mmステレオ出力ジャックと4.4mmバランス出力ジャックがあり、聞き比べができます。(同時出力はできません。)

 

早速聞いてみます。エージングは10時間くらいしました。通常のステレオ出力とバランス出力を聴き比べてみると、バランス出力の方が音場が広く、見通しが良く、音の輪郭もはっきりしていました。一聴で分かる差です。

もっとも、バランス出力というのは通常は分けなくても実用上差し支えなのない信号を2つに分けて別々のアンプで増幅するので、そのアンプの個体差がL/Rおよび+/-の差となって、音場が広く聞こえるのかなぁという気もしました。つまり、元のソース以上に音場が広くなっているのではないかと思っています。まぁそういった作られた音である疑問は拭えませんが、聴けばバランス出力の方がゴージャスなのは確か。

ちなみにApple純正のヘッドホンアダプタと本機のステレオ出力を比較した場合、当初Appleだけ聴いている分には不満がなかったのですが、本機を聴くとAppleの音は曇ってるなぁと感じるようになってしまいました。筐体の大きさもけっこう違うし、物量の投入量も違うので、Appleの小さなアダプタがプアな音になってしまうのは仕方ないかと思います。但し、Appleだけ聴いている分には「こんなもんかな」という感じで、気がつかないレベルです。オーディオあるあるですよね。ほかの機器を聴くまでは不満はないんです。

 

なおiPhoneから本機は外部オーディオ機器として扱われ、接続するとiPhone本体の音量ボタンは無効になり、音量調節は本機側面のボタンで行うようになります。ヘッドホンというよりはAirPlay機器に近い扱いに見えました。

それと、本機のLEDは赤がスタンバイ(音を出していないとき)、緑がPCM、青がDSDなのですが、iPhoneではどうやっても青(DSD)で信号を本機に送り込むことができませんでした。サードパーティ再生ソフトを使えばできる…という話も見かけたのですが、ダメでした。ハイレゾをそのまま本機に流し込みができず、残念。

 

iBasso社が公開しているブロック図から本機の動作を推察してみます。

真ん中で光ってるCS43131というのがシーラスロジックのヘッドフォンアンプ内蔵オーディオD/Aコンバータなのですが、普通のステレオ出力でしたら中にアンプが2ch入っていますのでこれ1個あればOKです。しかしバランス出力するとなると片側2出力が必要ですから、CS43131を2個使いにして、さらにそこにRT6863という外付けの2chオペアンプを2個使いして片側2出力、合計4出力を得ているようです。RT6863の後段にセレクタがあり、CS43131の出力も入っていますので、おそらく3.5mmステレオ出力はCS43131の音、4.4mmバランス出力はRT6863の音が出ているものと思われます。

有線で聴く機会もなかなか少ないですが、ちょっといい音なので積極的に使いたくなりました。

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