MacOS Sonomaの日本語入力が「ことえり」とは別次元すぎて、ATOK(ATOK Passport)を辞めた話

きっかけは、MacBook Airでした。以前から新幹線で移動する際などにネットが接続できないと「契約情報が確認できない」としてATOKが使えないことがありました。最近は新幹線で Mac を使う機会もなくなったのでそれは良いのですが、いつの頃からか自宅で使っているだけでも「契約情報が確認できない」エラーが出るようになりました。

iMac M3 の方はそのエラーは出ないのに MacBook Air M3 は出るのはなんなんだろう…と考えましたがいまひとつ原因が分かりませんでした。違いと言えば iMac は有線LANとWi-Fiの両方で繋がっていますが、MacBook Air は Wi-Fi でしか繋がっていないことくらい。

元々ジャストシステムのこういった「契約情報の確認にディレイを設けず、一定時間毎に契約情報が確認できない場合は、即時ATOKが使えなくなる」実装が嫌いでした。パソコンは必ずしもネットにつながっているわけではないのですから、ネットがオフラインになっていることに起因する「契約情報が確認できない」事象は未契約の判断基準にすべきではないのです。

そういったことがあり、ATOKを辞めるか…という検討を始めました。

ATOKを辞めるとなると最有力候補は macOS の標準装備の日本語入力プログラム。久々に使ってみたところ、意外なほど変換精度が向上していることに気がつきました。さすがに売りである「ライブ変換」はクセが強すぎて速攻でオフにしましたが、それで打ってみると…何これ? 俺の知ってる「ことえり」時代の日本語入力プログラムと全然違う…!

macOS Sonoma(2023年9月提供開始)のフィーチャーを見ると、以下のような記載があります。

これが「キーボード」の機能の一部であるところが Apple らしいなと思いますが、実際に使ってみても、以前ほど ATOK との変換精度の差を感じません。このブログは時々誤変換の箇所があり読者からの指摘を受けますが、実際に macOS Sonoma の日本語入力プログラムで書いても誤字の指摘回数が増えることはありませんでした。そもそも、「デバイス上の機械学習言語モデル」というのがいいじゃないですか。M3プロセッサがローカルでの機械学習処理に優れているといってもいまいち実感がありませんでしたが、一番使うであろう日本語入力でそのパワーが発揮されているとなれば嬉しいじゃないですか。

 

ATOKの専売かと思っていた変換中の意味ガイダンス機能までいつの間にか装備。ますますATOKとの差を感じにくくなっています。

難点を挙げるとすればカスタマイズの余地が少ないこと。ATOKは全てのキー操作についてカスタマイズが可能ですが、macOS日本語入力プログラムの方はたいしたカスタマイズ項目がありません。一番面食らったのはカタカナ変換のショートカットが慣れ親しんだ control + I ではなく、controk + K だったことですが、これは設定で「Windows風のキー操作」をONにすることで解決。ATOKからのユーザー辞書移行については一筋縄ではいかないのですが、macOS日本語入力プログラムは iPhone での辞書登録が iCloud経由で同期されるので、Mac側で改めて追加しなければならない単語は10個もありませんでしたので手入力で追加登録しました。

ただ、ここまでやってもmacOS日本語入力プログラムに残った不満点が3つあります。もしかすると私が使いこなせてないだけの可能性がありますので、解決法をご存知の方は教えていただけますと幸いです。

1。全角のピリオドが一発で打てない。この行の行頭みたいに「1。」となってしまう。設定で変えることはできるのだが、変えてしまうと文末の「。」が打てなくなってしまう。(解決:「1。」を入力して「。」の部分を変換して「.」にすると学習されて次回からは「1.」で変換されるようになります。ただしATOKは最初から「1.」で入力されるので、変換操作は不要でした)

2.ユーザー辞書登録した単語が必ずしも候補の先頭に出てこない。具体的には「…」を「てん」という読みでユーザー登録しているのですが、行頭で入力する場合は「…」が筆頭で出るのに、文中で日本語文字に続いて入力する場合は「…」が候補の9番目に来ることが多い。文中でも記号の後であれば筆頭で出てくる。(追記:「…」は最初から「てん」で登録されており、ユーザー登録の必要はありませんでした)

3.変換確定で「enter」を2回押さなければ確定しない場合がある。ほとんどのケースでは発生しないのですが、やはり文の途中に追加入力しているときなど、なぜか変換の確定が二度手間になることがあり、入力のテンポが削がれる。

不満点はこの3つくらいで、年間3,960円のコストが0になる代償とすれば、まぁ受け入れられるかなと思って ATOK Passport を解約しました。以前は ATOK がないと困ったので ATOK 税を払い続けてきたのですが、残念ながら macOS 側の進化で、私の文章執筆量では ATOKのコストの意味は見出せなくなってきました。OSがサードパーティのユーティリティの機能を食ってしまうのは歴史上よくある話なので仕方ないかと思います。

大量に文章を入力する方、ガチガチにカスタマイズした環境でないと日本語入力ができない体になってしまった方は抜けられないかと思いますが、macOS Sonoma の日本語入力精度が「ことえり」時代とは別次元になっていることは、OS標準装備ですし一度体験しておいても損はないかと思います。「重い」という話も聞きますが、M3 Macsではむしろ軽いくらいです…パワーは正義、みたいな話ですみません。

なお、この話題を書くと必ず「Google日本語入力」の話題が出てくるのですが、Google日本語入力はどうもいまひとつプライバシーの問題があるような気がして気持ち悪くて使う気になれないんですよね…(個人の感想です)

そういえばMacでは WordPressの記事入力画面で、日本語入力の変換中の文節表示のアンダーラインが見えないという問題がありましたが(ATOK / macOS日本語入力問わず)、WordPress側の更新があったのか、ほぼ解決していますね…。ただ相変わらず、未確定文節が2行に跨る際には文節を変化させる際のアンダーライン表示はうまく機能しないようです。

 

コメント

  1. まるぼうず より:

    ATOKから卒業されましたか・・・
    さほど大量の文章を入力することもなく、カスタマイズもしていませんが、MS-DOSのころからATOKなので、もう指がATOKになってしまっています。
    MacのIMEも挑戦したことがありますが、どうしても慣れませんでした。
    還暦近く適応力が下がっているのも原因だとは思いますが。

    Sonomaへのアップデートは見送ったので、Sequoiaで再挑戦したいと思います。

    私が死んだときに家族がサブスクを解約できるようにしておかなきゃ(^^ゞ

  2. 通りすがり より:

    こんにちは。
    たまたま拝読したので、知ってることをお伝えします。

    1。←これですが、Option + 。 で『.』を入力できます

    … ← これも同様に Option + ; で『…』になります

    Enter2回押しで変換確定は、おそらく文節を区切った変換をした際の挙動じゃないかなと思います。Enter1回目でその文節の変換を確定し、次の文節にカーソルが移動していると思います。これはIMEのクセだと思います。

    • Kumadigital より:

      ありがとうございます。他の方からもSNSで同様のショートカットキーを教えていただきました。

      Enter2回押しは、なるほど、確かに分節を区切った変換の際に再現しますね。設定で「Windows風のキー操作」をONにしたら、その挙動は出なくなりました。

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