「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の4Kリマスターセットを買いました。ミンメイサイン入り台本、美樹本晴彦イラストアクリルパネルなどがついた「特装限定版」を買ったのですが、これがまた先日のSEED FREEDOM のガンプラつき限定版…とまでは言わなくても、超合金の横浜ガンダムくらいの箱の大きさはあるシロモノ。何がこんなに大きいのかと開封してみると、原因は台本でした。電話帳か!というくらいの厚さのズッシリした台本。
軽く読んでみたのですが、なんか文体に既視感があります。自分はこれを読むのは初めてではない…と記憶を探しながら、情報をあたってみると、「月刊アニメディア 1984年 9月号付録」で台本がついていたのでした。それを持っていて、読んだ記憶があります。ただその付録の台本は台本6ページを1ページに割り付け印刷したもので、厚さは「付録」に相応しいレベル。それと比べると今回の台本は、理屈上は6倍の厚さがあるわけです。なお付録の台本は完全に紛失しました。実家の片付けで捨てられてしまったかもしれません。
しかし今回の電話帳レベルの台本はちょっと困惑しましたね…また厚い本が増えてしまった…いや、買ったの自分ですけど。
それでこちらがBlu-ray Disc 本体。近年のタッチの美樹本晴彦氏の絵で描かれています。
今まで「愛おぼ」は2度Blu-ray化されていて、2012年のPS3ゲーム同梱版の「Hybrid Pack」と、2016年版の廉価版です。ただ2016年版は単なる廉価版ではなくて、2012版では描写がぼかされたエログロ場面がそのままになっていたり、オープニング前に状況説明のテロップが入ったり、オーディオコメンタリーが入ったり、エンディング映像が付加されていたりします。
実は私、その2016年版を2023年に買ってしまったんですよね…まさかこれに続く新リマスターが出るとは…。
そして今回の4K Ultra HD版ですが、ディスクは2Kと4Kの2枚が同梱されており、どちらも元フィルムからスキャンをやり直したリマスター版です。またHDR化に伴い、輝度のエンハンスや追い込みもやっているようです。
ケースのジャケットは2016年版がキービジュアル、4K版が早期キービジュアル(ディザービジュアルかも)になっています。
4K版はダブルジャケットになっていて、裏は化粧箱のデザインと同じになっています。
さてでは早速再生してみます。
一番最初に差異に気がついたのは、ゼントラーディ人の字幕が揺れないことですね。通常のシーンは確かに2016年版より綺麗になっているシーンが多いです。上のミンメイのデートシーンはかなり画質も良くなり、色のりもリッチになっていました。ただし、元からボケている映像はあまり向上幅は大きくありません。高解像度スキャンをやり直した上に、少し前に出た「マクロスゼロ」のリマスター版でも採用された、詳細非公開の技術「FORS AI」で処理しているようです。
これは平均的な画質のシーン。2016年版よりは綺麗ですが、まぁそこそこです。
透過光処理は輝度を追い込んで、映画全般を通じて目が辛くならないギリギリのレベルまで上げたとのこと。
「愛おぼ」でついチェックしちゃう、落書きカット。
河森監督がミンメイにサインもらおうとしてましたね。懐かしい。
全編「美樹本晴彦」と言われがちな本作ですが、改めてみると作画監督・平野俊貴(平野 俊弘)タッチの絵もちょこちょこ入っていますね。のちに「メガゾーン23」とか「いけないマコちゃん」で展開される、あのキャラの絵です。ちなみにボドル・ザー艦が崩壊するシーンは庵野秀明氏が作画したとか。
4K版でも同じマスターらしく絵の傾向は一緒なのですが、4K版の方がよりフィルムの質感が表れている感じはしました。また、圧縮ノイズの少なさも4Kディスクの方が有利ですね。映像の解像感が上がるということはありませんでした。
なお 2K, 4K どちらのディスクも、再生時はトップメニューから始まりました。2016年版はいきなり本編再生が始まりました。
「天使の絵の具」エンディングはSD解像度のマスターしか存在しないとのことで、画質は辛め。なお今回、映像特典として「Flash Back 2012」から抜粋した「天使の絵の具」のPVが収録されていますが、なぜ抜粋…? Flash Back 2012ごと入れてしまっても良かったのでは…?
なお4K版の再生は我が家唯一の4K Ultra HD プレイヤーである PS5 で行いましたが、普段繋いでいる DELL の液晶モニタでHDR再生がうまくいきませんでした(ミンメイのウエディングドレスが白ベタで見えなくなるなど)。よって、よっこらせと PS5 本体を運んで、昨春に買った 65inch 4K ビエラ に繋いで再生しました。なんか、VIERAに常時繋いでおける、PS5ではない Ultra HD 再生環境が欲しいなぁ…。まぁ PS5 はコマ送り再生は圧倒的に便利(融通がきく)なんですけどね…。
補足:PS5 を DELL のモニタに繋いだ上で、PS5側でHDRのキャリブレーションをやり直したら正常に表示されるようになりました。
うちはフロントサラウンド環境しかありませんが、ヤマハのサウンドバーで正面中央で聴けばちゃんとバルキリーが右へ左へ上方へ抜けて飛んでいきます。LPCM/DTSどちらでも抜けていきますが、DTSの方が抜けてゆく距離が長い感じです。
そんなわけで画質的には完全に2016年板の上位互換と言っていいのですが、特報や予告編が収録されていないんですよね…。予告編の収録と、Flash Back 2012の完全収録で、商品としては完成するはずなんですが。
付録の冊子で河森監督も言っていましたが、この描き込みの技術はロストテクノロジーになってしまっているのだそうです。確かに、現在だとキャラだけならこれに近い書き込みのアニメはありますが(ヴァイオレットエヴァーガーデンとかユーフォ3期の一部シーンとか)、メカ込みで手書きとなると言われてみれば皆無ですね。
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