FUJIFILM X-HF1

各所で話題の富士フイルム X-HF1 ですが、私も感想を書いてみたいと思います。

4:3センサーを縦位置で使い、その画像を2枚並べて合成すれば一般的な一眼レフと同じ3:2比率になるという着想は「その手があったか」と思いました。すでにスマホでは縦位置写真がデフォルトなので、親和性という観点では十分アリ。そして単なる組写真ではないのが、「静止画+動画」という組写真が撮れること。やりますね。

フォルムはXシリーズとしてのものを踏襲していますが、一回り小さく、現物を触ったわけではないので断定はできないのですが、どことなく「名前だけXシリーズ」のような雰囲気を感じます。はっきり言ってしまうと、トイカメラの香りがします。

他のXシリーズとバッテリー(NP-126S)や画面上のフォントなどの共通性はありますが、生まれ(設計)は全然違ってそうな雰囲気。どちらかというと同社の「チェキ」の系譜なのではないでしょうか。背面のSTILL / MOVIE切り替えのスイッチなどは過去のXシリーズでは見なかったものであり、これもXシリーズとは中身が違うことを物語っています。

JPEG専用機であることもまた、ダメ押しでそれを裏付けます。フジはフィルムシミュレーション機能を使ってナンボなので、JPEG専用機であっても私は問題はないと思っています。

操作系の大半は液晶のタッチパネルを使うようになっており、小さな液晶で操作系を極力完結させようとするところは、まるで GoPro を触っている気分になりそうです。

フィルム巻上げレバーを模した操作部材がついており、モードによってはこれを動かすまで次のコマが撮影できないという縛りを設けることも可能です。果たして何の意味があるのか?うまく言葉にできないのですが、フィルム時代には必然だったレバーが形だけそのままで電気的に機能をシミュレーションされてるだけ(しかも必ずしも必要ではない)というところに違和感を覚えます。同様のものに車の「バイワイヤ技術」がありますが、あちらは他の車両との操作の一貫性を保つことで安全性を担保するものであり、性質が異なります。

そして「期限切れフィルム」フィルタについて。富士フイルムは会社としては使用期限内にフィルムを使ってもらうことを企図しているはずですが、それをあえて「期限が切れたフィルム」の描写を商品化してしまうところがすごい。食べ物に例えれば「ポテトチップス 期限切れコンソメパンチ味」みたいなものですから。サバ缶は期限が切れてからが美味しい、というメーカーの中の人の話は聞いたことがありますけど…。あと「ライトリーク」というフィルタもあるようですね。これも「ウッカリフィルムを巻き上げる前に裏蓋を開けてしまった」現象を再現しているように見えます。これは客(ユーザー)の失敗をシミュレーションしてるわけで、これはこれで攻めすぎ。

お値段は約10万円のようです。チェキ(instax)とXシリーズの隙間を埋める製品に見えますが、「10万円あったら次はこれが欲しい」と思われるポジションを確立できるかどうか、ですね。自分だったら「10万円あったら欲しい商品の9番目とか10番目」くらいになっちゃうかなぁ…。

コメント

  1. 通りすがり より:

    いつも楽しく拝見させていただいてます。この場合の「ライトリーク」はフィルムカメラの各部の密着度が経年劣化して光が漏れるのを模しているのだと思います。

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