2,110万画素。35mmフィルムの解像度は一説には1,600万画素相当と言われてきたので、ついにそれを超えてしまったかと感慨深い。
デジタルカメラの進歩は、画素数を向上させることで１画素当たりの感度が低下しノイズが増えるものの、それをまた画素数の向上による精細感の向上で逃げ切ってきた。画素が細かくなれば、ノイズも細かくなると言うロジックだ。
しかも今回搭載された2,110万画素センサーは、センサー表面のマイクロレンズの受光領域を拡大して感度を向上させている。単に精細化するだけではなく、感度向上も併せて実装してくる点にキヤノンの本気を感じる。
ISO=1600, f=4.0, 1/3200sec
EF 70-200mmF4L IS
画素数競争なんて無意味だとは思っていても、ちゃんと前機種より高画質になっているのを見せつけられると、言葉を飲み込んでしまう。
2,110万画素というのは下世話なほど細部まで写る。たとえばこのなんてことないスナップで、波打ち際をカップルが歩いているのが見えると思うが…
赤丸内で拡大したようにヒールを履いているというところまで写っていたりする。
本機を購入された皆様は、くれぐれもこの恐るべき解像度を正義のために利用して頂きたい（笑）。
しかしこの2,110万画素をキッチリ結像させるには努力が必要になることもある。一瞬「こんなもんかな」と思える解像度の撮影結果でも、キッチリとカメラを固定して撮影し直すと、さらにクッキリと結像したりする。ISのお世話になるようなシャッタースピードや、よく言われる1/(焦点距離)程度のシャッター速度では、手持ち撮影で2,110万画素を写しきることはムリな印象だ。
ISO感度はAuto設定で100～3200まで自動設定されるが、Autoの上限としてどこまでの範囲を自動選択するかはユーザが選択できるとなお良いと思った。
ISO=3200でもノイズの出方が自然
ISO=3200, f=4.0, 1/320sec EF70-200mm F4L IS
また、ISOがAuto設定の場合、絞り優先モード(Av)やプログラムオート(P)においては、シャッター速度とISO感度の両方が自動設定されるわけだが、ここで設定されるシャッター速度が、2,110万画素を手持ちでキッチリ結像させるためには少し遅めのシャッターのように思えた。（つまりAutoで自動選択されるISO感度が、手持ち撮影にとっては少し低いように感じた。）
まぁこのあたりはノイズとのトレードオフの考え方なので、脇を固めて撮影するなり、自分でISOを手動選択するしかない。そういう意味では撮影条件をプリセットできるメモリーがC1～C3の３つあるのはありがたい。C1～C3に何を設定したかはパッとは解らないので、何を設定したか、何らかのメモを持参する必要は出てくるだろう。
本機の色調はデフォルト設定ではおとなしめ、シャープネスも控えめなので、コンデジやKissからのステップアップだと、あれっと思うかも知れない。このクラスは一般的に味付けよりナチュラルさが好まれるためだが、Kissのようなちょっとカリカリで濃い目な色調がお好みであれば、ピクチャースタイルをカスタマイズすればいい。
ISO=3200, f=11, 1/160sec
EF70-200mm F4L IS
また、カメラ内で生成されるJPEGと、RAW撮影してPCで現像したJPEGでは画質にちょっと違いがある。RAWの方が画質がいいのは当然なのだが、カメラ内JPEGとの画質差が今までのEOSより大きいような気がする。この辺りについては以前検証した内容を参照頂きたい。
「高輝度側・階調優先」機能をONしたときの液晶表示は、40DではISO感度値のゼロの部分が小文字表示（たとえば400→4ooなど）されることで示されていたが、本機では「Ｄ＋」という表示になっており、より一般的になった。
バッテリーの持ちだが、400枚程度JPEGで撮影したところで残量は50%程度だった。バッテリーの残量表示は割とリニアなようだ。
機械としての質感やフィーリングはNikon D700に及ばない点があるのは事実だが、撮影者の期待に応えてくれる本機の懐の深さは、なかなかのもの。長く不満を感じずに、愛用できそうに思う。
ここまでお読み頂いた皆さんは「動画は？」と思われたかも知れない。実は動画についてはレビューが書けるほど使い込めていないので、後ほどとさせて頂きたい。
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