Zeiss Touit 2.8/12レビュー:ボディ側電子補正をOFFするとこうなる

今回のTouitシリーズで意外だな、と思うのは、ボディ側の各種電子補正に対応していること。NEXシリーズ(Eマウント)ではレンズ側に補正量のプロファイルを持つ仕組みのようで、レンズ側が対応していれば、ボディ側のバージョンアップなしに利用することができます。(もちろん、ボディ側もそもそも電子補正の仕組みを持っている必要はあります。)

Zeissってそういう電気的な補正を利用しないストイックなメーカーかと思っていたのですが、規格があれば意外と「乗ってくる」メーカーなのだなと。今までやらなかったのは、まぁ設計時期の関係というのもあるでしょうが、AFも然り、規格が開示されていなかったことに起因していたのでしょうね。

では、そういった電子補正が絵作りに与える影響はどれほどのものか。
ちょっとサンプルが1組で申し訳ないですが、比較してみます。

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最初の2枚は、クリックで拡大可。



これはレンズ補正の「周辺光量」「色倍率収差」「歪曲収差」をすべてOFFにした状態。これだけ見せられても特に不満はないはずです。十分優秀なレンズです。



これはレンズ補正の「周辺光量」「色倍率収差」「歪曲収差」をすべてONにした状態。NEXの出荷時設定ですから、こちらの絵で撮られている方が多いと思います。三脚を使っていないので1枚目と画角が厳密にあっておらず申し訳ありません。言い訳をさせてもらえば出張の行きしなで撮ったので焦っていたのです(笑。

一目でわかるのは左下の暗部表現ですね。ここは他の3隅と比較すると周辺光量の補正量が多めのように感じられます。このあたりはNEX本体の補正アルゴリズムの関係なのでしょうね。色倍率収差もスッキリ消えます。元々収差の少ないレンズですが、電気的に補正するともう有無を言わさない感じでスッキリ消えます。

湾曲もさらに真っ直ぐに、そりゃもう爽快なほど真っ直ぐです。きわめて現代的で、何を撮っても面白いでしょう。ただ、補正前の映像にもそれはそれで味があり、1粒で2度おいしいというか、使い分けするのも楽しそうです。

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電気補正には賛否両論があるのは承知していますが、電気的に補正するのは補正用レンズを何枚か入れるのと比較して本当に悪いことなのか?ということは冷静に判断する必要があると思います。

ただ、このソフトウエア補正が究極に進化すると、ある程度チープなレンズで「ツァイス風味」な映像を得られるようになったり、レンズを変えずに設定で「ツァイス風味」「ソニー風味」「フジノン風味」などという絵作りが切り替えられるようになる未来が来そうな気がします。

そういう時代で独り「レンズのみで頑張る」という選択もあるのでしょうが、少なくともツァイスはそうではなく、アグレッシブに最先端技術を取り込んでいくメーカーなんだなと認識を新たにしました。

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なんかAmazonのメーカー登録が「カール事務機」になってるようですが…(笑

コメント

  1. masa より:

    とてもシャープな描写をするレンズですね、さすがZeissといったところでしょうか。
    ソフトウェア補正もこれからどんどんすごくなっていくんじゃないですかね、Lytroの様な例もありますし開放値が暗いレンズで撮影したものを大口径で撮ったように見せかけるような後処理とか出てきても不思議ではないように思います。

  2. Kumadigital より:

    そうそう、そういった安レンズである程度できるように
    なっちゃうんでしょうね。実際、現在のコンデジの
    補正前の映像はなかなかすごいものがあるらしいですし。

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