六本木 豚組「しゃぶ庵」 閉店

「せいざん」のときもそうでしたが、相変わらず決断の早い中村仁さんが経営する六本木「豚組しゃぶ庵」が今年10月を持って閉店するとのことです。おそらく今夜は閉店を惜しむ記事がたくさん出るのではないかと思いますが、自分も何度か食事させていただいたものの、実は感慨にふける気分にはなれません。確かにあそこでしか得られなかった出会いもありましたし、料理も値段も一流でしたが、なんでしょう、中村さんが起業家気性特有の「状況の変化を楽しんでる感じ」と言ったら失礼かも知れませんが、少なからずそういう気持ちが感じられ、お客さんだけが一方的に悲しむのってどうなのと思ってしまったのです。

氏が次にどんな一手を打ってくるのかは楽しみではありますが、既存のものをスクラップすることに関しては、まぁそうするよな、という感想しか抱けません。閉店を告知するエントリーを読んでも、深く頷くばかりで不思議と寂しい気持ちが沸かないのです。

Twitterで予約を受け付けた日本で最初の飲食店、という立ち位置を嗅ぎつけて集まり始めたその手のクラスタの方々が、どんな空間、どんな料理を欲しているのかを的確に具現化したのは中村さんの手腕でしょう。ただ、中村さん自身もおっしゃっているように、豚しゃぶは自宅での再現性が高い料理であるのも確か。当面は家庭での再現が難しい「とんかつ」にリソースを集中するとのことです。私と比べて年齢が5日だけ若い中村さんが、綿密に仕込んだ点と点を繋いで形にしてゆく姿はとても刺激的で、自分もボーッと生きていてはいかんなぁという思いにさせられます。

 

コメント

  1. ちょ より:

    客も従業員も一期一会なんですね、一方的な。

    • Kumadigital より:

      そうですねー、店員さんに顔を覚えられるほどは通いませんでしたね…。

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