流行りすぎているゆえこの作品についてのエントリを書くのは気が引けるのですが、第1話、および、中盤の(蜘蛛のあたりの)総集編を見た限りで「何が面白いのか分からない」という感想をTwitterに呟いてしまったので、訂正の意味でエントリーを書いておきます。日本で公開された映画で最速の興行収入成績と言うことで、それだけ支持されているのだから自分の方がおかしいに違いないと考え、いまアマプラの1カ月お試し中なのを利用して、プライムビデオで全話(26話)見ました。
それで、全話見たら、面白かったです。印象が全然変わりました。
映画版もPG12指定で、子供に見せても良いが大人の助言が必要…というレベルの残酷描写はあるのですが、主人公の生き方に、人として大事なことが網羅されているのが特に良かったです。それは、
親切をされたら、感謝の気持ちを伝えること。
誰にでも敬意を払うこと。
ひたむきに努力すること。
努力には成果が生まれること。
自分を鼓舞すること。
罪を犯したら、謝罪すること。そして償うこと。
辛くても生き抜くこと。
字面にすると軽薄ですが、主人公が発するセリフに乗ってくると、心に染み入るのです。これは大人でも面白いですけど、子供にこそ見せたいですね。(残酷描写のみ気になりますが。)
基本的には鬼退治の話なのですが、鬼の多くは元人間で、それぞれに事情があります。中盤の強敵、累(声:バナージ・リンクス)は子供ながら家族それぞれがなすべき役割に固執し、次々に人間を捉えては鬼に仕立て疑似家族を形成していくのですが、炭治郎に成敗される瞬間、自分が行ってきたことを真摯に反省し謝罪する言葉を発しながら絶命します。でも聞いている方からすれば「そうは言ったって、オマエだって人間だったころに病弱で苦しんでいたし、そういった体に生んだ親への恨みだってあるだろう?」とも思うのですが、そんな恨みつらみは発せず、謝罪と反省だけをしながら消えてゆく姿に胸が締め付けられる思いでした。
また、下弦の鬼と言われる、精鋭集団12名中の6名の鬼が、終盤上司のような鬼に惨殺されるシーンがあるのですが、この描写は大人にこそフックしますね。会社勤めしているとあの上司のような鬼っていますよね。何を言っても、どう言い訳しても、殺しにかかってくる鬼上司。あの理不尽さ、無念さは勤め人経験の長い人にこそ響くはず。
作画面でも破綻するところなくCGとの融合がとても高度で、唯一主人公の瞳が多角形というところがポリゴン足りないように見えて仕方ないのですが、あれはああいうデザインであってポリゴン足りないわけではないですね(笑。
劇場版は完全にテレビ版の続きのようですが、それでも原作の23分の8までの内容とか。となると、映画の続きをテレビで放映するという珍しいパターンになりそうですね。
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