家庭用の望遠鏡に技術革新が来ています。いわゆる「スマート望遠鏡」と呼ばれるものですが、直接肉眼で見る機能を省き、モニター(スマホ)経由で見ることで、従来と比較にならないほどの小型化、高感度化を果たした望遠鏡です。おそらくですが、撮像素子(CMOS)のサイズが人間の網膜より小さいため、光学系もさほど大きくなくて良い、という事情もあるのではないでしょうか。
今回出たのはこれ、ZWO社製 Seestar S30です。
今までSeestar S50という機種があったのですが、それの改良・廉価版になります。価格は6万円前後。大きさは想像できる通り、テーブルトップサイズです。それではこれでどんな感じの星が見えるのか、サンプルを見てみましょう。
おいおいおいおい…こんなのウチの望遠鏡でも撮れないぞ。いや、ウチの場合望遠鏡が悪いんじゃなくてカメラが普通のカメラであって「天体用カメラ」(赤外線カットフィルターを取り外した星景撮影用のカメラ)ではないためにここまでは撮れないんですが、6万円でこの写真が撮れるのは相当にヤバいです…。
ウチにある望遠鏡はこれ,Vixen の A80M という廉価版の望遠鏡です。仕舞ったら最後、出すのが面倒で絶対使わなくなると思って、購入以来出しっぱなしです。ご覧の通り結構場所を食います(笑。
この A80M の焦点距離は 910mm で Seestar S30 の6倍、集光力は肉眼の131倍で Seestar S30 の7倍以上あるのですが、焦点距離や集光力が優れていても星を視界に導入できなければ意味がないし、赤外線も取り込めるカメラでなければ意味がないでしょう?という訳です。そこで Seestar S30 のようなスマート望遠鏡は、星座自動認識や内蔵専用COMS、スマホの利用で「実際の撮れ高」を確保した訳です。こんな大きな望遠鏡で四苦八苦する撮影を、都市部のベランダにポン置きで撮れてしまう望遠鏡こそ技術革新と言えるでしょう。
Vixenが今まで努力してこなった方角から攻められてしまって、すぐに技術が追いつかないことから代理店になったものと思われますが、裏を返せば Vixen が代理店になっているということは眉唾物ではなさそうです。
それで価格が60万とかしたら「お、おう…」となるところですが、価格も約6万円。私の A80M も本体+三脚でそれくらいでした。
弱点としてはスマホ(および、おそらくクラウドも?)を使うことから、製造元が倒産したりOSのバージョンアップに追従できなくなったりしてソフトが使えなくなると、文鎮と化すことですかね。製品寿命は長くても10年あればいい方なのかもしれません。
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