実家のカメラの話

キヤノン オートボーイ3(たぶん)である。キヤノンの資料によると1986年(昭和61年)6月発売、ウチにはいつからあったのか記憶にない。初期ロットだとしたら今年で21年目だ。

単焦点なので映りは悪くない。むしろL版プリント程度だったら、下手なコンパクトデジカメより綺麗なくらいだ。

俺の両親は団塊より少し上の世代で、時々旅行に出かけるのが楽しみだ。もちろんこのオートボーイを持って行くのだが、最近は「周りを見ても8割方デジカメ」(母談)らしく、フィルム式カメラを使っているといい加減恥ずかしいらしい。

母の世代にデジカメを使わせるのは本当に難しいと思う。田舎ではデジカメプリントはどうするのか。焼き増しは。メモリーがいっぱいになったらバックアップは。バックアップからの焼き増しは。

考えるだけでも気が遠くなる。

しかし俺はそんなことには一切触れず、MacBSさんを例に挙げ、「今はね、解ってる人こそフィルムを使ってるんだよ」と説得してみた。しかし、母のデジカメに対する慕情は今更消えそうもなかった。

「3万円くらいあれば買えるのかしら」と母が言う。3万円…俺の中に「PowerShot A570 ISとエネループ充電器セットと1GB SDカード」のトリオをお勧めする高田社長ばりのセールストークがコンマ数秒のうちに浮かんだが、母は続けてこう言った。

「でも36枚撮りフィルム買ったばかりだから、まだデジカメはいいわ」

…後頭部を鉛インゴットで殴られた思いがした。これが「塩をなめるような生活」(本人談)をしながら息子2人を大学に行かせた親の経済感覚なのだろう。いかにデジタル機器に対する自分の感覚が麻痺しているかを深く考えさせられた。

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