アーティストが増えてきたので今一度ハイレゾ音源を聴いてみる

ソニーから新しいハイレゾウオークマンも出たことだし、ヘッドホンなどの周辺機器もハイレゾ対応を謳うものが揃ってきてにわかに活気づいていますが、肝心の音源はどうなっているのかと久々にmoraを覗いてみると、

highreso

おお、結構配信アーティストが増えているんですね。

ただ、そのハイレゾ音源がどのように生成されたかは一考の余地ありで、MacBSさんが語られていることに私も概ね同意です。moraに掲載されている各アルバムごとの情報を見ても、

syutsumoku

このように数字を挙げて具体的に書かれているのは希で、多くのアルバムは「まぁ古いから補完(アップサンプリング)だろう」とか「最近の録音だからハイレゾ録音だろう」というおおよその当たりを付けて、そして販売元の企業を信用して「真のハイレゾかどうかはよく解らないけど音がいいであろう音源」を購入することになるわけです。

しかし私の手元のウオークマンF885もハイレゾ対応機なので、久しぶりにデモ曲以外でハイレゾで音を出してみるかと、いくつかハイレゾ曲を買ってみました。ただ、比較したかったので、自分がAACで持っている曲で、かつ、CD音源からのアップサンプリングではない「だろう」と思われるもの限定です。というわけでKalfinaのアルバム1枚と茅原実里のシングル1曲を買ってみました。

ath-a5x

ただ、ヘッドホンも問題で、ウオークマン付属のNCイヤホンはハイレゾ非対応らしく、ほかに手元のヘッドホンで20kHzを軽く超える周波数帯域を持つものとなると、16年選手になるAudio-TechnicaのATH-A5Xしかありません。スペック表によると28kHzまで再生できるようです。まぁこれを使って試聴してみます。もっとも最近のソニーのハイレゾ対応ヘッドホンは100kHzまで再生できるようですが。(余談ですが私の耳はたぶん14KHzくらいまでしか聞こえません。)

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Kalfinaと茅原実里、従来音源とハイレゾ音源を比較試聴してみましたが、従来音源だけ聴いている分にはあまり不満はありませんが、ハイレゾ音源と比較すると音のエッジが尖っており、ざらついた(荒れている)印象があります。細かい音の分離もハイレゾ音源の方が上です。

ただ、Kalfinaのような曲調だとハイレゾの方がいいですけど、茅原実里「この世界は僕らを待っていた」あたりだとどっちがいいかは微妙。ブラインドテストしたら従来音源の方がいいという人が多いかも知れません。薄味の上品な和食(ハイレゾ)と、ファミレスの洋食(従来音源)で、ファミレスの洋食の方を食べたくなるときもありますよね。

逆にロックなど音の「荒れ」を音作りに利用するのであれば、ハイレゾ音源である必要はまったく感じられません。アーティストによってはあえてハイレゾが使える環境下でも、音質を比較した上で従来フォーマットでのレコーディングをされる方もいるとか。

何よりハイレゾ、データ量が洒落にならないです。1曲あたり100MB超え、1アルバムだと1~2GBに達します。16GBのウオークマンではアルバム10枚くらいしか入らないかも知れません。iPodが築いた「手持ちの曲が全部ポケットに入るのなら出かける前の選曲作業という呪縛から解放される」というパラダイムは、ハイレゾによってiPod登場以前まで戻されてしまうのかも知れません。

いずれにせよ、moraなどで販売されているハイレゾ音源は各販売元が品質を保証しているとはいえ、録音された時期を考慮するとアップサンプリングが主流であることに疑いようはなく、録音段階からハイレゾとなるのはこれからなのでしょう。今後リリースされる曲でハイレゾと従来音質が同時リリースだったら悩みますね。データ量で2ケタ、価格は2倍(1曲の場合)違いますからね。思い入れのある、かつ繊細な曲のみハイレゾを買うという感じになるでしょうか。

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