SIGMA DP Merrill:解像度番長時代の終焉

DP MerrillのパッケージにはアプリケーションCD-ROMは付属しない。その代わり、最新版のSPP(SIGMA Photo Pro)をインターネットからダウンロードして使うように書かれた紙一枚が付属する。そこにはDP Merrillの性能を発揮するためには、X3Fで撮影した上でSIGMA Photo Proでの現像を強く勧める、とある。

通常ならばカメラ内に強力なプロセッサ…たとえばキヤノンだったらDiGiCとか…を搭載して処理するところ、そこはパソコンのCPUに丸投げするという思想だ。このあたりは巨大メーカーでないので、面白いカメラを成立させてくれた代わりにユーザーが我慢を強いられる部分。

にしても、Merrill世代のFoveonセンサーは1600万画素×3板=4,800万画素だが、以前にも書いたとおり、Foveonは世代が進むほどベイヤー配列センサーの画質に近づいているというのは皮肉な話である。画素が充分小さくなると、Foveonがベイヤーに対して有利とされている「色ズレ」の影響が小さくなる。

だから「いかにもFoveon」な絵を出すためには、単に解像度番長ではダメなのだ。
色とか、階調とか、そういった部分で差別化をしないと…。

実は「ガンダムフロント東京 ガンダムUC展」に掲載した写真は、すべてDP1 Merrill / DP3 Merrillで撮影した。FlickrのExif情報を見て貰えれば解ると思う。あの写真の多くはX3Fで撮影してSPPで現像したものだが、「ああ、いかにもFoveonという絵だ」という印象はあるだろうか? 正直私にはガンダムフロント東京の写真にはFoveon臭さをまったく感じない。普通に綺麗な写真だと思う。あの写真を見て「おお、DP Merrill買ったか!」と気がついた方がどれくらいいただろうか。

だとするならば、なぜあえてISO400が実用上限、バッテリー1本で数十枚しか撮影できない不便なカメラを使うのか。ISO3200まで実用になって、バッテリーが一日持つNEX-5Rで全然問題ないのではないか。

どうしたらいかにもFoveon、いかにもSIGMAという絵が出せるのか。
少なくともカリカリの絵だけではそうはならないのは確か。
ではどうするか。それはこれから試行錯誤が必要。そのあたりが趣味性が強いと言われる所以。

Merrill世代のDPを使って思うのは、そんなこと。


2013/4/28 富士山五合目にて / DP1 Merrill / JPEGで撮影


2013/4/28 富士山五合目にて / DP1 Merrill / X3Fで撮影、SPPで現像

コメント

  1. 技術C より:

    Foveonセンサーというのは他社の技術屋から見ると邪道の極み、と言うか、とっくに終わってる技術なので、、、
    最下層に光が届かなくてRAWレベルですでに電子補正の人工着色なんですよね
    写真というよりCGに近いのでPCでレンダリングしないと使い物にならないのです
    それを逆手にとって後処理で誤魔化してるようなところもあります
    得意の解像感にしても他社さん製品ですがNEX7あたりが実は世界最強素子だったりします

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