dp2 Quattroの謎

以前、カメラの画素数は、画質に直結すると考えられていました。しかしケータイ電話のカメラすら1,000万画素を越えるようなセンサーを積むようになった頃でしょうか。「画素数の向上は必ずしも画質向上にはならない」という知見が生まれ、その声に応えるように、GR DIGITAL シリーズや、PowerShot Sシリーズのような「画素数控えめ、解っている人だけが買う」カメラが現れました。

これは結局、センサの画素数が増えると相対的に1画素あたりの受光面積が小さくなり、自然界に存在するノイズに対して映像信号が相対的に小さくなり、ざらついた映像になってしまうことに起因しています。だから、画素数はある程度に抑えたほうが、見栄えが良かったり、暗所での使い勝手が良かったりするのです。

一方、これとはまったく別の話ですが、Foveonセンサーというのがありまして、それはRGBの画素をセンサの厚み方向に縦一列に並べることで、一般的なベイヤー配列では得られない「画素数の割には圧倒的に解像度が高い」映像を生み出しました。その一方で、Foveonセンサーにおける2層目となる緑、3層目となる赤に届く光はどうしても1層目よりは弱くなってしまい、その結果、「晴天番長」と呼ばれるような「晴れていれば圧倒的に高画質、でも飲み会の席では実用にならない」カメラが出来上がりました。それがSIGMA DP/SDシリーズです。

SIGMAとしても、どうしても暗いところで撮れるカメラにしたかったのでしょう、ある改良を施します。それが今回リリースされた「dp2 Quattro」に搭載された”Foveon X3ダイレクトイメージセンサー「Quattro」”です。Foveonセンサーで光の届きにくい2層目(緑)、3層目(赤)の各画素の大きさを2倍にしました。当然、緑と赤の解像度は、青の半分になります。考え方は冒頭に書いた、画素数を抑えて高画質にするという発想です。

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(SIGMA Webサイトより)

デザインに関しては今回敢えてスルーです。とにかく良い意味で突っ込みどころ満載なので、別の機会に触れたいと思います。

しかしいままでFoveonはベイヤー配列と比較して「RGBが縦に1:1:1で並んでいるから凄いんだ」的な説明をされていたかと思います。でも今回、その売りを捨ててまで感度向上を果たした(はずの)ようですが、それは本当に従来のFoveionのコンセプトに心酔してきた「理詰めのユーザー」に対する答えになり得るんでしょうか。

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(SIGMA Webサイトより)

今回は「30%の解像度向上」とのことですが、それはDP Merrillシリーズの「1,560万画素×3層」の30%増しと捉えると、「2,000万画素×3層」の解像度が出るということのはず。Quattroセンサーの「2,000万画素+490万画素+490万画素」で、どうやって「2,000万画素×3層」相当の性能を達成したのでしょうか。

この謎を解明するカギが書かれたサイトがあります:

「フォビオンセンサーの厄介さ」

上記のサイトにパテントベースのFoveonの各色の感度曲線が記されていますが、BとGの感度曲線がかなり近いことが解ります。

従来公開されていた「R/G/Bが綺麗に縦一列に並んだ概念図」で考える限り、今回のQuattroセンサーが生んだ「革新」は完全には説明不可能と言えるかも知れません。

従来の概念図は事実を簡略化しすぎており、実は「表面に近いBは、実はBに最もよく反応するG/B兼用センサーだった」ということであれば、研究開発の過程で「FoveonにおいてはB層だけ4倍あれば、ほぼ4倍の精細感を生める」という知見が得られた可能性が高いと考えます。

実機はCP+の目玉となるでしょう。
楽しみにしたいと思います。

ええ、そうでしょう、そうでしょうとも(笑


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