2/6に同社過去最多となる機種数のデジタルカメラを発表したキヤノン。その中でミラーレスEOSの3代目となる「EOS M3」をブロガーイベントで試す機会を頂いたのでレポートする。
電子ビューファインダーEVF-DC1を装備したEOS M3。このEVFは単体で買うと定価33,000円(税込み35,640円)もするが、今回25,000セット限定でかなりお安く提供されるとのこと。聞いたところ+3,000円ほどの差額で価格設定されるとか。
私もミラーレスはEVFなしの機種から手を染めたが、結局はEVF付きの機種に買い換えてしまった。邪魔なようだが、必要性に駆られることは間々ある。ましてやこのファインダー、236万画素もあって見栄えが良い。
ファインダー内をiPhone 6で覗き込んで撮影。大変滑らかな表示だ。
ちなみに高速になったと言われるAFだが、確かに速いが、迷わずに目的のピン位置にスッと移動するので、派手にレンズが動くEOS M2の方が一見速いような錯覚も受ける。でも実際に速いのはもちろんM3の方だ。ちょうど最近のスポーツカーが「難なく、苦もせず、速い」というのと似ている。
シャッターボタン部分の微妙な傾斜は初代EOS Mから続くアイデンティティ。この微妙な角度が一眼レフから乗り換えても違和感の少ない操作感を生むと聞いたことがある。
そしてその下には大きく張り出した革張りのグリップ。多少重たいレンズを付けても安心して振り回せるようになった。グリップレスの従来のEOS M2も併売するというので、ここが最大の棲み分けポイントになると思う。どちらがいいかは、このカメラに何を期待するかによるだろう。一眼EOSから乗り換えて違和感が少ないのは、もちろんM3だ。密度感のあるズッシリしたボディに、小さいEOSが欲しかったけどいかんせんM2ではなぁ…と思っていた方にド直球だ。
手動ポップアップ式の内蔵ストロボを出したところ。ガイドナンバーは約5。電動だと長期使用で固着してしまう場合があるので、手動ポップアップは歓迎。
装着しているレンズは標準ズームレンズのEF-M18-55mm f/3.5-5.6 IS STM。電子式補正に頼りすぎるのを良しとしないのか、他社より鏡胴が長めなのが惜しい。ここで沈胴式のズームがあれば、他社ミラーレスや高級コンデジから堰を切ったようにユーザーが流れてくる気がするなぁ…。
ストラップは幅広のものに対応となった。より重量級のレンズに対応したもののようにも見える。
その下には出力端子類と、Wi-Fiのアンテナ面。
底面にはNFCの通信面がある。同時発表されたコネクトステーションなどに簡単に接続するために使う。
なお同社のカメラにしては珍しく底面にシリアル番号シールがない。シリアル番号はチルト液晶の下に隠れている。
そう、ついに液晶が2軸チルトになったのもEOS Mシリーズ初。初代EOS M、そしてM2ともカッチリと固定液晶だったので意外だった。フレキシブルケーブルが露出するチルト液晶は他社では見かけるがキヤノンでは初なのではないだろうか。
チルト液晶のロックは意外と固かったが、試作機固有の固さの可能性がある。
EOS M3 + EF-M18-55mm f/3.5-5.6 IS STM
早速実写してみる。但し試作機での撮影のため、リンク先の元画像は80%にシュリンクされ再度JPEG圧縮されている点に留意頂きたい。
このカットはキットレンズで撮影したものである。顔認識が働いて露出も顔を意識するので、ある意味一眼タイプのEOSより世話なく撮れる。
ちなみにこちらの女性は2011年8月の浴衣撮影会でモデルをして頂いたぐり子さんである。
2011年 EOS 5D Mark IIで撮影
余談だが、3年半前の、浴衣姿のぐり子さん。未だにFlickrでアクセスがあるカットだ。
EOS M3 + EF-M18-55mm f/3.5-5.6 IS STM
現在の、OL姿のぐり子さん。いやーすっかり成長されて…(遠い目
いやいや、当記事の趣旨としてはそこではない。キットレンズの画質に注目。一見、これで何ら不満はないように思うが…
こういうの、付けてみようか。EF 200mm f/2L IS USM。
価格は各自調べて腰を抜かして欲しい。→メーカーサイト
EOS M3 + EF 200mm f/2L IS USM
さぁどうですか。
EOS M3 + EF 200mm f/2L IS USM
どうですか。キットレンズでは引き出し切れないEOS M3ボディの実力。手持ちのEF LENS(特にLレンズ)を有効活用できる方こそ、M3のメインターゲットと言えよう。そこのM2を見送った赤鉢巻きオーナー、狙われてますよ!
EOS M3 + EF 200mm f/2L IS USM
EOS M3 + EF 200mm f/2L IS USM
EOS M3 + EF 200mm f/2L IS USM
遅れ馳せながら、背面操作部はこんな感じ。再生ボタンの位置がかなり珍しく(右上)、その操作感は好みが分かれると思うので、横浜近郊の方はぜひともCP+のキヤノンブースで試してみて欲しい。
これもまた弩級レンズ、EF 11-24mm F4L USMである。超広角レンズなので本来はフルサイズ機で使うべきだとは思うが、ロジック上は勿論(アダプター経由で)取り付く。→メーカーサイト
そういえば今回、EFレンズマウントアダプタ(EF-EOS M)付きのキットが設定されないのが意外。その代わりにEOS M3とEF-EOS Mをお求めの方に8,000円のキャッシュバックが設定されている。MやM2からの買い増しだとEF-EOS Mがダブ付いてしまう可能性もあるので、安く提供しますので必要な方だけお求めください、ということなのかも知れない。ちなみにEF-EOS Mは現在実売価格が8,500円程度なので、キャッシュバック込みで実質500円(ワンコイン!)で入手可能だ。
EOS M3 + EF 11-24mm F4L USM
APS-C機なので焦点距離が1.6倍になっている点に注意。実際はこのレンズの広角具合はこんなものではない。
EOS M3 + EF-M 22mm f/2 STM
同席したブロガー(注:上のスマイルの先生ではありません)からは「高級コンデジより、こっちじゃないか」という声も聞かれたEOS M3。初代M、二代目M2の女性向けデザインから、男っぽいデザインに舵を切った。もちろんあのメーカーの、グリップとEVFが付いたあのミラーレスが大ヒットしていることと無縁ではないだろう。そしてこの無骨なデザインが男性向けであるという思い込みこそが男目線であり、実際は女性でもこういったグリップ付きの機種を好む方は一定数いることは「あのミラーレス」のユーザー層が証明している。
しかし単にフォローするわけではないのがカメラメーカー王者のキヤノン。EOS M3を開発するにあたっては、使う人の所作の美しさにまで思いを馳せてデザインしたという。EOSの高い基本性能を、より多くの方へ。間口を広めるために生まれたEOS M3。今までのM2に若干の頼りなさを覚えて躊躇していた方にこそ、一度店頭やショウルーム、CP+でM3のグリップを握って欲しいと思う。
おお、本当に+3,000円でEVFキットが…。
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