なぜいま響子さんなのか、それは主要顧客層がそれくらいの年代だから…と言ったら身も蓋もありませんが、1980年代に人気のあった「めぞん一刻」のヒロイン、音無響子さんが今ごろまさかのフィギュア化。響子さんのフィギュアは過去にフィギュアのクオリティがまだ高くなかった頃に何度か製品化されたことはありますが、いまフィギュア製造技術がひとつの到達点に達している段階の製品化と言うことで、過去最高のクオリティ響子さんです。なんですが。
正直、どの響子さんをベースにしたのかが、いまいちはっきりしません。
響子さんの描写は大きく分けて「原作者:高橋留美子バージョン」と「アニメ版:もりやまゆうじ/高田明美リファインバージョン」の2通りがあって(他にアニメ劇場版がありますが違いすぎるので割愛)、それぞれ作品の時期によっていろんな描き方があります。特に原作の1巻と最終巻近くの描写の変化は圧巻です。
アニメ版も1980年代ですから回によって作画のバラツキが大きいのですが、自分が最高峰だと思っているのはピカソの「シネマ」がED曲だったときの響子さん(アニメーション:阿部司)です。これが響子さんかというと賛否はあると思いますが、アニメ96話中の15話から流れた「シネマ」で(私の中で)描画の頂点があったというのは興味深いです。
で、今回のフィギュアの響子さんですが、正直、アニメ版にも原作版にも寄せておらず、ハイブリッド的な印象を受けます。強いて言うならパチンコCR版のデザインに近いかも知れませんが、パチンコ版は誰の描画なのかは明確な情報がありません。
衣装である白無垢の方も、他のフィギュアでは単純な格子模様のテクスチャで済ませたりするところきちんと刺繍を模したものが入っていて、コストのほとんどはここの金型代なのではないかと勘ぐってしまいますが、フィギュアの白無垢表現としてはかなり気合いが入っています。無塗装ではなくパールが入っているそうです。
頭部は「文金高島田」「文金高島田+角隠し」「普段の髪型」の3種類から選択可能ですが、普段の髪型にすると「変身が解けて頭だけ普段に戻った戦隊ヒーロー」みたいな印象を抱くのは私だけでしょうか…。
いまフィギュア市場が「簡素化してコストを下げる」方向と「ハイエンド」の2極化している中で、このフィギュアはハイエンド寄りの価格帯の製品で、1980年代のキャラクターと言うこともあり、さすがに一般流通には乗らず受注生産のようです。今ごろ響子さんに出てこられて、ちょっと心がざわついてしまいました。
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