アイの歌声を聴かせて

SNSで「予告編はミスリード」という感想を見て、気になって観てきました。


予告編を見る限り、学校に乱入して共同生活を送ることになたポンコツ美少女AIが騒動を起こすうちに学生の心をわしづかみ、しかし何らかの原因で不調になり逢えなくなったところでクラスメイトのみんなが悲しみ、またポンコツAIの復活を望む、そして復活したポンコツAIで大団円…に見えるじゃないですか。違いますね。

時代は現在より少し進んだ未来、「ソードアートオンライン・オーディナルスケール」よりは現在に近い未来です。住宅は現在の形を保っていながら、あらゆるイクイップメントにアレクサみたいなのが組み込まれている環境。主人公「サトミ」(人間です)はうっかりリビングのテレビで見てはいけない母親のスケジューラを見てしまい、その日学校で起きる事件が、「星間エレクトロニクス」に勤務する母親の仕事であることを察します。そこから狂い始める歯車。母が作り出したポンコツAI「アイ」は、なぜ「サトミ」の幸せを願うのか、実はそのアーキテクチャの成り立ちには、ある秘密を抱えていました。

本編始まってすぐに「これは確かにミスリードだ!」と感じつつも、鑑賞後に予告編を見直すと「そんなにミスリードはしていないかも…?」とも感じます。映画を見る前と見た後でこんなに予告編の印象が異なる映画も珍しいと思います。

ソフトウエア(AI)が自我のバックアップをどう取るのかという点において、理系視点では荒唐無稽さが目立ちます。特にクライマックスシーンでの通信の接続先はその際たるものですが、たぶんそういう映画ではないんです。幅広い観客に向けた、「概念」を楽しむ映画、そう考えるとこれは良作です。カップルで観ても片方が飽きると言うことはおそらくなくて、「大切な人とぜひ劇場で」というコピーは分かる気がします。「サマーウオーズ」の荒唐無稽さを受け入れられる人なら大丈夫でしょう。3カ所くらい可笑しくて吹き出してしまう箇所がありました。なお、「ゴミ箱」MacProに似た、外付けHDDがストーリー上重要な意味を持ちます。あと突然、観客を驚かせるような大音量が出るシーンがあるので、心臓の弱い方は後ろの席の方がいいかも。

 

土屋太鳳の歌は良かったですね。あれ絶対に「人間がボーカロイドに寄せる」という演技をしていると思うんですね。普段のAIっぽいとぼけた声といい、良いキャスティングだったと思います。なお「サトミ」役は「クッキンアイドル」の福原遥です。こんなところで! あとサトミのお母さんの悪い上司はいい声だと思ったらガウマンでした。シャアの生まれ変わりなんじゃないかってなwww

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