孤独のグルメ【特別編】横浜市内某病院の松風焼き

2014年に入院した病院とは違う病院に入院したので、また新たな気持ちで病院食を頂いてきました。

 

これは初回の食事。鱈の蒸魚です。醤油は1袋しかないので、左下のとろろと蒸魚で分配して使います。

今回は出血を伴う手術で入院しているので、カロリーコントロール食になっています。境界型糖尿病なので、あまり血糖値が悪化すると傷が治りにくかったり感染症にかかりやすくなったりで手術可能となる基準をクリアできません。従って、カロリーコントロールをして血糖値を抑える必要があります。

トレイの凹みが左右に分かれていますが、これは実はすごい仕組みで、配膳車との連携で、左側と右側で保温と保冷を1トレイで実現しているのです。なのでこのトレイだと、牛乳ととろろ芋は冷え冷えで、ご飯や魚は温かいまま出てきます。

あっ、その配膳車売ってました。これですこれ:

マルゼン 温冷配膳車(手動式) MTC-54SC W1900×D780×H1720 標準タイプ

価格は…まぁ生産数と機能考えたらこうなりますかね。

前回入院したときは嫌いな料理を除いて完食したのですが、今回は必ずしも完食できませんでした。いや、いい素材を使ってるし、調理法も適切です。料理自体には非の付け所はありません。容器がプラだったり塩分・油分が少ないなどはありますが、健康的なときに食べてれば美味しいはずです。

今回は鼻の手術なので食べること自体がしんどく、また、塩分油分も少なめなので、食欲も沸かないのです。病棟内の耳鼻科エリアなので、どうしても耳鼻咽喉系の病気だと、色々「擬音」が出ますよね。私自身もフガフガブハー言いながら食べてましたが、そのエリア一帯からとにかくいろんな音が聞こえてきて、それで食欲が失せるというのもあります。

 

そんな中で一番美味しかったのがこれ。赤飯と松風焼きです。災害備品活用(ローテーション)とのことでしたが、これはかなり普通の食事に近かったです。違いは赤飯に乗っているのが「ごましお」ではなく「ごま」ということくらいです。ちょうど手術傷が快方に向かってきたという実感があったときの食事だったので、精神的なアシストも大いにあっただろうと思います。なお、最後まで揚げ物は出なかったですね…。

前回の入院から9年、前回はあまり考えなかったことも入院中に考えてしまいました。八景島が見える眺めのいい病院で(私の病室は八景島ビューではなくみなとみらい方面ビューでしたが)、なんで深刻な病状の患者をいっぱい抱える病院って大抵眺めがいいんだろう、とか考えましたね。

日本人は8割が病院や施設で亡くなるのだそうです。つまりどこかのタイミングで「もう家には帰ってこられない」入院をすることになる訳で、そういえば父が最後に自宅を出た瞬間は俺が肩を担いで車に乗せたっけなぁ…とか思い出しました。まぁそのあと自宅に戻そうとする医師を強引に説得して最後の入院をさせたのも私なので、父からすれば不本意だったかも知れませんが…。

そしてこうやって病院食を食べながら(まぁ必ずしも食べられる病状という訳ではないでしょうが)、家に帰ることなくいつかは死ぬんだと、言ってみれば死ぬ間際フェーズの体験をしている気分になってしまったんですね。トイレも、シャワー室も、とにかくいろんな事件?がここで起きたんだろうなぁと思わせる痕跡が一杯あって、ああ、日本人の8割はこういう暮らしをしながら死を迎えるのか…とか考えると、食欲も出ない訳です。とはいえ6日入院で2kgしか痩せませんでしたけどね…。

なんて話を妻にしたら、「えっ私は自宅で死にたくないけど?」って言われました。まぁ確かに実際問題、自宅で死なれても困りますけどね。遺された人のことを考えるならば、やっぱり病院等の施設のお世話になった方が何かと生活が乱されなくて良いのかも知れません。でもなんか、切ないなぁ。

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