糖尿病専門医がカイセツ!ドカ食いダイスキ!もちづきさん

今年の夏コミで話題になった問題作、DLsiteでも電子書籍版が「総合ランキング1位」を獲得した「糖尿病専門医がカイセツ!ドカ食いダイスキ!もちづきさん」の製本版を購入しました。

「ドカ食いダイスキ!もちづきさん」は空腹になると冷静さを失う主人公・望月美琴が血糖値スパイクを起こして酩酊状態である「至り」に達することを繰り返すコミック。その思考回路がまるで自分を見ているようで、面白いのですが冷静になるとそのヤバさに戦慄します。

そのもちづきさんの行動を、糖尿病専門医が解説したのがこの本です。中身は文字主体で、一見おどけた文体ながらも、内容はれっきとした医学書。そのため読んでいると気分が悪くなるほどの生々しさがあり、あとがきにも「本文中にはかなり衝撃的な内容が一部含まれます。本文で不快になった場合の責任は一切取りません」と記されています。

もちづきさんがこのままの生活を続けた場合、どのような未来が待つのか――そのシミュレーションも収録されており、右足切断や脳出血といった悪夢のような結末が語られます。原作2巻の表紙に描かれた片目を閉じた表情は、本当にウインクなのか? 本編中でもたびたび片目を閉じているのは、もしや…? といった深読みもあります。

また、脳梗塞経験者は二度目を発症することが多く、その場合は一度目よりも脳へのダメージが大きくなるのが通例です。それを防ぐために血液をサラサラにする薬を投与すると、今度は脳出血のリスクが上がってしまう。結局、そうした“負け戦”に突入しないことこそが重要であり、そのためには、健康な今の状態をできるだけ維持する努力をした方がいい、と説かれています。つまり、糖尿病になってしまった人はもちろん、現在健康な人にとっても「どんな行動が崖からの転落につながるのか」を楽しく?学べる本です。

人はいつまで治療を続けるべきなのか、という哲学的な問いに対しても、星街すいせい(ジークアクス)の「もうどうなってもいいや」を引き合いにして一つの考え方を示します。

メロンブックスなどで購入可能です。

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