「これからスマートフォンが起こすこと。」読了 #minpos

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緻密な取材と高い洞察力で個人的に信頼している、本田雅一氏の新著。スマートホンやタブレットなどのスマートデバイスが今まさに起こしている「化学変化」についての現在、そして未来が纏めてあるが、著者自身が本書で述べているように、本書の内容は数年で時代遅れになってしまう可能性が高い。実際、私が本書を読み進めている間にも、ある程度予告されていたとは言え、AppleがiClowdを発表したり、iOS搭載機のPC FREE化が発表されるなど、すでに現実のものになってしまった。

日本にiPhone 3Gが始めて日本に導入されたとき、今でこそ考えられないのだが、私は発売日から1週間悩んだ。品不足だからではない。この機械はこれから長いこと固定費を払うに値するものかどうか、逡巡していたからだ。考え抜いた結果、私はいままで定期的に更新していたノートブックPCの買い換えサイクルを止め、その償却費に相当する金額でiPhoneを導入することにした。今となってはあの判断は間違っていなかったと確信できるが、当時それほど自分に先見の明があったわけではない。ただ単にネットで遭遇する先進ユーザーの皆さんが楽しそうだったからだ(笑)。

しかしiPhoneは私の生活を、そして人間関係を一変した。人生を曲げられたと言っても過言ではない。それはtwitterとiPhoneの親和性の高さが理由でもあるし、様々なソーシャルネットワークサービスによってもたらされたものでもある。クラウドの向こうのパワーが常に胸ポケットの中にあることがいかに刺激的か。これからも私が経験したように、iPhoneを始めとするスマートデバイスで人生が変わる人は出てくるだろうし、社会システムも変わってゆくだろう。そして生まれながらにしてスマートデバイスに接している「スマートネイティブ」の世代は、我々が考えつかないようなシステムを構築し、それが前提で社会が回り始めるだろう。それが正しいことなのか、あるべき姿なのかは解らない。間違いないのは、本書でも再三示唆されている通り、その流れはもはや止められないということだ。

本書ではGoogleですら不可侵のソーシャルグラフを持つFacebookが、大きなうねりの中心になると示唆されているが、ここについてのみ個人的には懐疑的で、と言うのもFacebookのシステムがネット上の匿名文化との折り合いをどうつけていくかという点において、現時点では明確な解決策がないためだ。私もブログをハンドルネームで運営しているが、Facebookとは紐付けしていない。ここに解決策を編み出さない限り、Facebookが一定のマスを越えることはないのでないかと思う。が、それは実際は問題にならないだろう。大事なのはFacebookというシステムではなくその考え方だからだ。

前作「インサイド・ドキュメント『3D世界規格を作れ!』」も読ませて貰ったが、本書と共通してあるのは、日本のもの作りに対する著者の暖かい眼差し。今後日本がもの作りで世界をリードするには「時間をかけた意思の統一、強力なリーダーシップによる良い意味での独善的なものづくり」が必要だと説く。そのためには商品企画関係者のみならず、ものづくりに関係するあらゆる立場の人、そしてこれからものづくりを目指す人にぜひ読んで欲しい。私は本書を読んで、断片的な知識でできた頭の中の不整路が、ブルドーザーでガーッと小綺麗に整地されたような感覚を覚えた。豊富な取材で裏付けされた本田氏の著書の面目躍如だ。

巻末の久夛良木健氏の特別寄稿は、ちょっとしたサプライズだと思う。

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