家のカレーがとってもよくでき、家族にも好評だったので気分が良くなりこのエントリーを書いています。
適当に作ってもそれなりに作れてしまうのがカレーですが、美味しく作ろうとするとどこまでも手間がかかるのもカレーです。先日Bさんと会話をしていて「絶景写真とガンプラの塗装は、引き際を見極めるところが共通している」という話になったのですが、カレーもまた然りです。私はその引き際を「市販のルーを使う」というところに置いています。自分でスパイスを調合することはないと思います。なぜならば、市販のルーを使いこなすので精一杯で、自分で調合するところまで手が回らないためです。
家族の味覚の平均値を取っているので、基本的にルーはバーモントカレーを使っています。辛さは甘口か辛口かのどちらか。夏は辛口が多く、冬は甘口が多いでしょうか。中辛というのがありますが、あれは暴れ馬で使いこなせていません。他にハウス「ジャワカレー」(さわやかに辛い)、グリコ「ZEPPIN」(上質な風味)、エバラ「横濱舶来亭(中辛またはトロピカル)」(量は少ないけどゴージャスな味)、S&B「ゴールデンカレー」(スパイス屋の心意気を感じる)なども気が向いたときに使いますが、軸はバーモントカレーです。
ひとつ、リファレンスとなるカレーは、孤独のグルメSeason1 の11話に登場した「文京区根津飲み屋さんの特辛カレーライス」ですね。
これは辛みがやや強いので全てにおいてリファレンスという訳ではないのですが、ルーの濃さや具の全体構成が家庭用のカレーとしては私の好みで、カレーを作るときに常に頭の片隅に置いているものです。
さて、ルーをバーモントカレーと決めても、味は一定に作れません。要因として大きいのは、タマネギと肉の質だと思います。買う店を決めていても、タマネギと肉の味は日々変化しています。ここはロシアンルーレット的な要素がある部分です。
次に要因として大きいのは、調理法です。特に「飴色タマネギ」の作り方です。タマネギの水分含有量が季節や品種ごとに違うので、なかなか一定の飴色タマネギを作ることができません。よしんば同じ色に仕上げたとしても、毎回甘さが全然違います。副菜(ポテトサラダなど)を平行して作っていると、ローストの仕上がりが雑になりがちです。
私はカレーに入れるタマネギを3種類用意します。1つ目は最も深くローストしたもの。これは作るのがとても手間なので、市販のロースト済みのタマネギペーストを使ってしまいます。次に適度にローストしたもの。これは自分で作ります。最後に大ぶりに切って、浅くローストしたもの。これは「具」として形を残すためのものです。
このタマネギを3種類に分ける概念は自分のオリジナルだと思っていたのですが、先日テレビで全く同じことをしている(但し深くローストしたものも自分で作る)プロのシェフが出ていて、のけぞりました。同じことを考える人がいるなんて…。
次に肉。私の好みはカレー用のブロック肉ではなく、豚の薄切りが一掴みごとに丸められているものです。売っているスーパーは限られていますし、いつも手に入るとは限りません。これを余り崩さずに焼きます。するとくしゅっと丸まった薄切り肉の焼肉ができるのですが、これがミルフィーユ肉みたいで、煮込み時間(=ガス代)が節約できるのにいい食感なのです。焼いている途中にニンニク千切り(ニンニク一株の1/3くらい、3〜5片)、塩こしょうで風味付けをします。焦げ目が付くくらいまで強火で焼きます。もしこの肉が手に入らなかったら諦めて他の肉を使います。牛肉もたまに使いますが、バーモントカレーには豚肉が合う気がします。にんにくはやっぱり国産が美味しいですね。中国産は安いですが淡泊です。
にんじんはローストしません。切ったらそのまま煮込み鍋行きです。都会で売っているにんじんは皮が薄くてきれいなので皮むきの必要はない感じです。田舎のにんじんの場合は皮をむきます。ジャガイモは煮崩れしないようにギリギリに入れます。煮崩れしそうな場合はあらかじめ表面をサラダ油かバターで焼いておくこともあります。
煮込み時間は箱に書いてある作り方通り。隠し味はリンゴジュースです。「セブンアンドアイ」ブランドの160円/Lくらいの、ヨーカドーやヨークマートはもちろん、セブンイレブンでもよく見かけるやつです。これを12皿分(バーモントカレー大1箱)に対して100mLほど入れます。より高級な「トロピカーナ」(240円/900mlくらい)や、より安い「めいらく」(98円/1Lくらい)のリンゴジュースでは所望の味が出ません。なお統計調査によると、カレーの隠し味は「何も入れない」のが最も支持を得られる味であることが明らかになっていますが、あくまで我が家の場合、セブンのリンゴジュースを入れた場合が一番評判が良いです。
ルーが「バーモントカレー甘口」の場合は辛みが足りない人が家族内にもいますので、そういう場合はカレーをよそった皿の上で好きなだけハウス「ホットガラムマサラ」を振りかけます。
以上が我が家の場合の作り方ですが、いくら自分の調理法がきちんとしていても、素材の味のバラツキをねじ伏せるほどの実力がないのが実態です。それゆえ、家族が「おいしい」とおかわりしてくれるほどの出来映えになるのは、とても嬉しいものです。
コメント
リンゴジュースのかわりにマンゴーチャツネはいかがでしょう?
玉ねぎの甘味の補完やコク出しとして使えます。
スーパーではカレーの棚のところで見つかります。
もしくは玉ねぎにも種類があるので甘い玉ねぎを使うのも手間がはぶけます。
素材の味をねじ伏せるのではなく、
味を引き出しバランスをとるという考え方が素材にたいする愛情です。
同じ調理法でも味にちがいがあるとすれば野菜の命を生かしているのか、
話が大きくなりそうなのでここまでにします。
それと生姜も甘味と辛味のいい味出してくれます。
生ニンニクには生ショウガですね。
どうぞ家族に美味しいカレーを食べさせてあげてください。
コメントありがとうございます。
「味を引き出しバランスをとる」というのは、
カレーを作る前に予め野菜の味を確認するという方法でしょうか?
それともカレーを作りながら「なるほどこれはこういうタマネギの味か」
というのを途中で味見して軌道修正をかける感じでしょうか?
材料を加熱すれば味が変化するので
どこまで加熱するかが味を引き出す部分になります。
予め味を見ると言うよりは口にするなら食感で鮮度や水分を見ています。
味は香りで判断します。
その野菜の美味しそうな香りがしてきたら味が出たとわかります。
甘みが出れば甘い香り、香ばしさが欲しければさらにその香りがするまでと言う感じです。
人は食べる前に香りで味を判断しているのでその習性に従うと美味しく感じる料理になる。
香り、見た目、味の順番で伝わるので味は最終兵器みたいなものです。
見た目は盛り付けもありますが野菜の切り方でのビジュアルです。
味見はルーを入れる前の煮込んだところぐらいですね。
野菜スープのバランスが好みの味かどうか、
馴染ませるのか尖らせるのかで塩やスパイス、水分を足します。
カレールーは後からカレー味をのせるだけぐらいの感覚で入れます。
野菜それぞれの味が引き出されたものを
全体で馴染ませるのが煮込む工程です。
煮込んで味を出すのではなくてその前に味を引き出しておくと
トータルバランスが良くなるわけです。
それと味をしっかり付けたければ煮込んで一度火を止めること。
味は冷めていく過程で材料に浸透するので煮込み続けても煮崩れるだけになります。
荒熱が少し冷めるぐらいでいいでしょう。
これは料理全般に言えることですが、加熱時間を揃えるために
それぞれの野菜を下茹でしたり電子レンジで加熱したりして
味を出しておいて加熱していくのも方法の一つです。
材料投入のタイミングで調整するか、先に調整しておくかですが、
カレーはあまり色は問わないので加熱時間を揃えるのは
煮込み時間の短縮と煮崩れ防止のためです。
さて長い文章になりましたが、ここまで来れば
あとはカレールーを入れて少し煮込むだけです。
たぶんカレールーを入れる前から家族の皆さんの
「美味しそう」という声が聞こえてくるはずです。
最後に、マサラにはカレー味の素になるクミンが必ず入っているので
辛味を出したければチリをほんの少し加えた方がカレールーの味により近く
インドっぽくならずに辛さが増します。
クマデジタルさんのカレーもさらに美味しくなることでしょう。
家族の喜ぶ顔が何よりの美味しさです。
いやぁ大変丁寧にご教示いただきましてありがとうございます。
自分は「味を整えれば、美味しい香りは勝手に付いてくる」と考えていたので、
香り優先でコントロールするという概念は目からうろこでした。
自分は余りにも、調理中の香りに無頓着でした。
もちろん、帰宅した家族は「うわーいい匂い!レストランか!」と驚いてくれることも
ありますが、それは結果論であって、目指した物ではありませんでした(笑。
今後は少し香りも意識して作ってみます。
チリペッパーも試してみますね。
先日テレビで「伝説の家政婦 志麻さん」が「市販のカレールーは、メーカーが考え抜いてバランスを取ったものだから、手を加えず作るのが一番美味しい」と言ってるのを聞いてショックを受けました。
うちもニンニク入れたり、ローリエ入れたりしてましたから。
いや、それは私も聞いたことあって、それを踏まえた上でのエントリなんですが、
世間で皆が美味しいと言う物と、自分(と家族)が美味しいと言う物にズレがあるかも知れないじゃないですか!
そこに工夫の余地があるんだと思っています。