EOS 7D Mark IIの目玉新規機能の1つ、「フリッカーレス撮影」機能(英語呼称:Anti-Flicker shoot)を試してみます。この機能は(インバーター式ではない)蛍光灯下などフリッカー(ちらつき)がひどい環境光で撮影する際に、高速シャッターを切ると露出や色調が安定しない問題を解決する機能です。具体的にはフリッカーを検出し、シャッターを切るタイミングでちらつきが発生している場合、ちらつきが収まるまでシャッターを切るのを自動的に待つことで、ベストのタイミングでシャッターを切れるようにするものです。
フリッカーは関東では50Hzの半周期(=秒間100回)、関西は60Hzの半周期(=秒間120回)で主に蛍光灯で発生しています。最近流行のLEDは原則として直流駆動なのできちんとした電源回路を搭載しているものなら発生せず、残光の大きい白熱電球などでは発生量が少なくなります。また蛍光灯でもインバーターを搭載しているような高級な照明器具だと発生量が少なくなります。
蛍光灯下で高速シャッターというシチュエーションとなると、室内でのスポーツ撮影などが挙げられますが、なかなかそういった撮影機会もないので、自分で光源を作って代用してみます。
とはいえ、我が家は中古で買ってリフォームした際に光源を片っ端からLED化してしまったので、蛍光灯は洗面台の鏡の上に付いている照明くらいしか存在しません。そこではテスト撮影しにくいし…と考えていたら、ありました。昔ながらの蛍光灯が。リバーサルフィルムを見るための古いライトボックスです。今でこそLED化されていますが、私の手持ちのはまだ蛍光灯式。シンプルな作りで、インバーター駆動でもありません。これを光源として撮影してみます。
こういう感じにセットを組んでみました。
フリッカーレス撮影機能はメニューからON/OFFします。デフォルトはOFFです。ONにすると原理上、シャッタータイムラグが大きくなったり、連写速度が低下したりするバーターがありますが、そこを機械に任せるのがこの機能の趣旨なので、こればかりは仕方ありません。
まずはフリッカーレス撮影機能を使わずに秒間10コマで連写してみます。シャッター速度はスポーツを想定して1/400秒としました。
露出がズレちゃってるカットはこんな感じになっています。ダメですね。
(なお、光源のフリッカーを検出すると、ファインダー右下に「Flicker!」マークが表示されます。)
しかも運が悪く連射の1枚目からフリッカーが発生しているタイミングに当たってしまうと…
このように連射の間、ホワイトバランスが全滅になるケースもあり得るのです。これは困ります。
一方、フリッカーレス撮影機能を使って撮影してみると…
まったく露出にバラツキがありません!驚きの安定度!
その分、連写速度は試した条件下では秒間8コマ(通常の80%)程度まで低下していましたが、これだけ百発百中ならアリでしょう。この機能があれば撮影した画像から「そもそも露出がおかしいカット」を除外選別する作業から解放されるので時間短縮に効きます。プロカメラマンから喜ばれたという話も聞きましたが納得です。
なおこの機能は秒間100回または120回のフリッカーを検出するもので、ブラウン管やプラズマテレビなどの画面のフリッカーに対しては機能しないとのことです。
ちなみに今回のテストでは、レンズはEF-S18-135mm f/3.5-5.6 IS STMを使用しました。結構、テレマクロがいけますね…。
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