みんぽす・モノフェローズ向けイベントで、EOS M5を試写する機会がありましたので使用感を報告します。前編はこちら。
本機はEOSシリーズで一番ダイヤルが多い機種ではないかと思うのですが、右手側上面に3つ、左手側上面に1つ、背面に1つという5ダイヤル構成。右手側の上面にある、一番ファインダーに近いダイヤルがサブ電子ダイヤルで、これは右手親指だけで回してもいいのですが、高さがあることから分かるように、人差し指と親指の2本でつまんで回しても具合が良かったです。
一方で露出補正ダイヤルはダイヤルの位置が機能に直結していて、かつモードダイヤルのようにロックボタンもないので、カバンの中に意図的に回らないように堅めになっています。個人的にはちょっと堅すぎました。
そもそも、ダイヤルを5つも付けずに、うち1つくらいは一眼レフEOSのようにジョイスティック的なものでも良かったのではないかと思います。
アクセサリー関連で羨ましいのが、ワンタッチで肩ストラップを外せる機能があること。これ、どのくらいのレンズ重量まで耐えられるのか分かりませんが、ここが破損してカメラが落下するリスクは当然キヤノンとしても考えているわけで、サードパーティではなくメーカー純正のストラップとしてこういう機能を入れてきたというのは、すごく勇気のいる行為だと思います。
ついにキヤノンミラーレスもボディ内手ブレ補正が!と一瞬思いましたが、これは動画時のみのもの。まぁ動画専用でもボディ内手ブレ補正が入ったことには変わらず、レンズ側のISとの協調制御で、より強力な手ブレ補正を実現する仕組みが搭載されています。これはEOS 80Dにはないですよね。
以下、EOS M5で撮影したカットを掲載します。
なお撮影機は試作機であり、画質は最終のものとは限りません。また、キヤノンの指示によりリンク先のフルサイズの画像は80%に縮小されていますのでご承知おきください。
EOS M5 + EF 11-24mm f/4L IS USM
11.0mm f/4.0 ISO400 SS=0.4sec
空に映っている縦線はガラス越しに撮影したため室内が反射しているものです。
EOS M5 + EF-M 18-150mm f/3.5-6.3 IS STM
47.0mm f/5.6 ISO6400 SS=1/400sec
キヤノン最新のCMOSセンサーなので、ISO=6400でも結構見られる絵が出ます。
EOS M5 + EF-M 18-150mm f/3.5-6.3 IS STM
150.0mm f/6.3 ISO4000 SS=1/40sec
おそらく画像処理による光学補正が入っているんでしょうね。コンパクトな高倍率ズームなのに歪み少なめです。
EOS M5 + EF-M 18-150mm f/3.5-6.3 IS STM
150.0mm f/6.3 ISO4000 SS=1/40sec
一眼レフEOSから移植された動体予測AFのデモのために用意された鉄道模型ですが、ちょっと夜のイベント×レンズのテレ端f/6.3という条件ではAFの食いつきは芳しくありませんでした。特にこのカットの条件のようにトンネルから出た瞬間を押さえようとする場合など、苦手なシーンはあります。なお、このカットは置きピンで撮影したもの。
そういえば連写時のファインダー表示はSony α6300同様の紙芝居的な見え方をして動く被写体を追うには練習が必要ですが、心なしかα6300より被写体を追いやすいように感じました。もし後日貸出機があったら、α6300は持っていませんがα6000と比較してみたいと思います。
85.0mm f/1.8 ISO500 SS=1/125sec
古いレンズですが写りはまだまだ一級ですね。なかなかモデルチェンジされないのも分かる気がします。
EVF(電子ビューファインダー)は単純に視界の広さを追求したものではなく(むしろあまり広くない)、眼鏡をかけた方でも快適に覗けるような設計がされているとのこと。ユニバーサルデザインですね。なお、パナソニックのLUMIXでは既に採用されていますが、EVFを覗いている間に背面液晶画面をタッチパッドのように使って、AF枠を移動させることができます。位置は絶対位置指定、相対位置指定の切り替えが可能で、しかもファインダーをどちらの目で覗いても良いように、液晶画面の右側だけを使う設定や、左側だけを使う設定も用意されています。なお液晶画面に鼻が当たっても誤検出しないような制御も組み込まれているとのこと。
あ、鼻が当たるで思い出しましたが、ずっとEVFを覗いて撮っていると、鼻から頬のあたりが少し暖かい感じがしました。凝縮度が高いので、結構熱を持つのかも知れませんね。
85.0mm f/1.8 ISO320 SS=1/500sec
EOS M5 + EF 8-15mm f/4L FISHEYE USM
12.0mm f/4.0 ISO1250 SS=1/60sec
EOS Mにはそれに見合うレンズを付けるべき派の私ですが、これくらいユニークなレンズになるとアリですね。
さて、まとめますと、使用感としては5ダイヤルに戸惑うことはありませんでしたが、もう少し他のやり方も考えられるだろうと感じました。また、AFの食いつきはミラーレスとしてようやく他社水準に追いついた感がありますが、それでも一眼レフEOSのアドバンテージは揺るがないと感じました。前記事でEOS Kissは心配無用と書きましたが、EOS Kissの方が価格がリーズナブルで、ファインダーの遅延も原理状ゼロ、連写時に被写体を追いやすい、AFの食いつきが良い、バッテリーの持ちが良い、など、数々のアドバンテージがあります。ただ、EOS M5が登場したようにそのアドバンテージは徐々に狭まっており、小さい、暗いところでもファインダーがよく見える、シャッターが静かなど、EOS M5ならではの価値を支持する方も多いのではないかと思います。
「EOS M5をきっかけに、もっと多くの方が写真の楽しさに触れ、
写真の素晴らしい世界に気付いて頂きたい」
これは本当にその通りで、そのためにはやはりEOS M5のような「小さくて、妥協が少なく、奇をてらわず、とはいえ保守的すぎない」機種は、趣味として「写真でも初めてみるか」と思うきっかけに充分なり得るだろうと思います。生活空間にあって主張しすぎない佇まい、旅行に持って行くのに苦にならない大きさは、きっとより豊かな思い出作りに役立つはず。なんてったって、このサイズなのにざっくり言えば中身はDiGiC7にバージョンアップしたEOS 80Dですからね。
「被写体と戦う」用途には、間違いなく一眼レフタイプのEOSをお勧めしますが、何だよ被写体と戦うって!?という普通のユーザーにお勧めできる機種が1つ増えました。
Canon ミラーレス一眼カメラ EOS M5 レンズキット EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM 付属
Canon マクロレンズ EF-M28mm F3.5 IS STM ミラーレス一眼対応 EF-M28/F3.5 M IS STM
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