iPad Pro / iPhone 12 Pro のLiDARセンサーの疑問を調べた

iPad Pro に搭載されているLiDARセンサーがなかなか疑問が多いので調べてみました。iPhone 12 Pro に搭載されているものもおそらく同じではないかと思われます。

1.そもそもレーザーで距離を測る場合、レーザーを上下左右に走査(スキャン)しなければならないのでは?自動運転車とかクルクル回るものがルーフの上についてるけど…
→Lumentum社製の面発光可能なレーザー照射デバイスを用いています。具体的には沢山の点を同時に照射しています。面発光なので、レーザーを上下左右に走査する必要がありません。

2.Face IDのスキャンの仕組みとどう違うの?
→Face IDは赤外線を使っていますが、たくさんのドットを照射している点は同じです。赤外線は光がある程度拡散するので、長距離の計測には向きません。

3.それではLiDARのレーザー発光部を直視したら目に障害を負うのでは?
→一応、レーザーの中でも目に障害を負いにくいという1400nm以上の波長を使っているようです。(このあたり、IEC(国際電気標準会議)の規制対象外なので、安全性へのお墨付きに関してはもしかすると今後議論を呼ぶかも知れません。)

4.対象物で反射したレーザーを受光するセンサーは一般的なものか?
→まったく一般的ではなく、最先端技術の塊のようです。LiDARセンサーは大きくわけで2通りあり、

1)dTOF型
対象物にレーザーを断続的に照射して、反射タイミングのズレを検出する。精度が出しにくい半面、受光センサーは「光の有無」だけを検出できればよいためセンサーの感度を広く取れ、長距離の測定も可能になる。

2)iTOF形
対象物のレーザーの反射の位相差を検出する。精度が出しやすい半面、位相差を検出するため受光センサーにも感度の精度が求められるため、長距離が苦手。受光センサーが高くなりがち。

ここで、iPad/iPhoneで使われているLiDARセンサーは民生機器では珍しいと言われるdTOF型です。受光センサーはソニーのものを使っているようで、受光素子1ピクセルごとに演算回路が積層されている世界初のタイプのようです。

 

…自分が疑問に思ったのはこんなところです。

LiDARセンサーからはまだ完成された形でのデータの取り出しは難しいようで、得られたデータを強力なプロセッサで処理する必要があるようです。そこにAppleのノウハウが入る余地があって、現時点では同じレーザー素子と同じセンサーを搭載すれば他社も同じものが作れるという状況にはないようです。

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