内視鏡下副鼻腔手術(ESS)


病院からの眺め(本牧・東京方面)

頬の中に溜まった膿を除去する手術(内視鏡下副鼻腔手術:略称ESS)を受けてきました。簡単に言えば蓄膿症の一種です。蓄膿症と言えば「鼻かまないんでしょう?」と言われるのが定番ですが、私の場合は上の歯の根に残った虫歯菌が原因でした。

予め原因となる歯は抜いたので、そこの傷口が塞がるのを待って、いざメインの患部の手術へ。

入院日程や治療過程は前もってネットで調べていた内容とほぼほぼ同じだったのですが、時代で若干変わってくる場合もあるでしょうから、2023年2月時点での記録として以下に記します。

 

■入院前

3週間前よりトルリシティを週に1回自己注射。このトルリシティがとても良くできた注射なのだが、それについてはまた別エントリにて。

手術3日前より糖尿病の常飲薬「フォシーガ」は休薬。理由は手術の影響による糖尿病性 ケトアシドーシスを発症することがあるため。

 

■手術前日

入院のみ。コロナ検査以外特にすることなし。食事はカロリー制限(1日1,800kcal)・塩分(1日8g)コントロールされた食事。あまり美味しくないが、トレイの左右がセパレートされており、片方が保冷、片方が保温状態で配膳されているのは良かった。配膳用のコンテナもこのトレイに対応して半分保冷、半分保温に対応している。

 

■手術当日

手術当日。9:10に徒歩で手術室に向かい、その道程にて主治医から手術する方の左の鼻にペンで印を付けられる。しかし同行していた看護師の持っていた書類には「手術 右」と書かれており、「先生、右って書いてありますけど…」「いや左だよ」とすごく心配になる会話がなされた。多重チェックって大事。なおこの病院は過去の手術で心臓と肺を間違えたことがあり、そういった犠牲の下に現在の多重チェック体制が確立されているのだと実感。執刀医が今まで何度も診察してくれていた先生だったため、書類の誤りにすぐ気がついて良かった。

手術室に到着してすぐにスタッフ全員で私のIDと氏名と手術名を唱和する。なんかよく分からないがいよいよ本格的になってきた。パンツ一丁で手術台に寝せられ、布を掛けられる。口には酸素マスクがあったが手術中は邪魔になるはずなのでどこかで外したはず。代わりに唇にテープ糊が残っていたので酸素パイプを口に固定していたのだろう。全身麻酔に入る瞬間はどこまで覚えてるんだろう…と積極的に意識はしていたのだが、点滴による麻酔投与開始と同時に視界の周辺からぼんやりしてきて、次の瞬間、名前を大声で呼ぶ声で目が覚め、手術は終わっていた。終了時刻11:50。なお手術自体は40分くらいだったとのこと。ストレッチャーに乗せられたまま院内をゴロゴロと運ばれ、いつの間にか自分の病室に。この寝たままゴロゴロと運ばれるのがとても気持ちが良かったことを覚えている。

なお手術自体は内視鏡を挿入するのに障害となる鼻の骨の除去と、患部の膿の袋の取り出し、水を使って副鼻腔内の膿の洗浄をしたそう。この手術は私の親の世代であればここに書くのも憚られるような工程で行われていたのだが、技術の進歩で顔に大きくメスを入れることなく完遂できるようになったのが素晴らしい。

夕方から歩行訓練。トイレまで自力で歩けることを確認。

この日は終日点滴投与で食事はなし。夜あたりから徐々にいろんな感覚が戻ってきて患部がそれなりに痛いことに気付く。痛みで言えばこめかみをグーパンチで殴られた後の痛み。

鼻の穴の出口付近には「綿球」という球状の脱脂綿が詰められていたのだが、それは自分で交換することを知らなくて(説明もなかったけど)、受け止めきれなかった血が首の方に流れてしまい枕を汚してしまった。退院するまで血塗られた枕で過ごすことになる。熱が出て倦怠感があるためアイスノンを借りる。

手術後のステータス

発熱:37.5℃(手術に伴うもの)
出血:出る。綿球を30分に1回は交換したいレベル。
頭痛:患部の痛み(こめかみを殴られたような痛み)と麻酔の後遺症の頭痛あり。
点滴:終日あり
歩行:20m先のトイレまでは可能

 

■手術2日目

発熱:37.5℃(手術に伴うもの)
出血:それなりに出る。綿球を30分に1回は交換したいレベル。
頭痛:患部の痛み(こめかみを殴られたような痛み)と麻酔の後遺症の頭痛あり。
点滴:終日あり
歩行:院内は可能

胃腸の動きを聴診で確認したのち、朝から普通食が出る。が、鼻に詰められた綿球の違和感が大きくてあまり食欲沸かず。昼夜を問わず長時間寝ることが困難。ウトウトしながらひたすら安静にする。持参した箱ティッシュが底をつきそうなので、夕方に売店まで歩いて行って購入。なお手術後3食くらい食べてもお通じはなし。

 

■手術3日目

発熱:なし
出血:まだ出る。綿球を1~2時間に1回は交換したいレベル。
頭痛:患部の痛み(こめかみを殴られたような痛み)あり。
点滴:5時間程度
歩行:院内は可能

朝から解熱した感覚があり、測ったところ平熱に戻っていた。麻酔の後遺症の頭痛はかなり軽減。今日は鼻の奥の脱脂綿を取り出すので、朝7時に痛み止めの薬を服用するよう指示あり。これが術後一番痛い工程らしく身構える。10時頃先生が現れ、処置室にて脱脂綿の取り出しを実施。入れていた脱脂綿は鼻の奥で水分を吸って膨らむタイプのようで、鼻腔の形になっているとのこと。端をつまんで手品の万国旗のように取り出すのではなく、塊をズボッと抜く感じ。ここが割合ノウハウのあるところのようで、目を開けて深呼吸をさせられて息を大きく吐き出すのに合わせて器具でズルッと引っ張り出した。確かに痛かったが、一瞬の出来事なので耐えられなくはなかった。手術してない側の鼻にももう1個入っていたのは面食らったが…。ちなみに大きさは大人の人差し指くらい。

メインの脱脂綿は取りだしたものの、その脱脂綿が当たっていなかった手前側(骨を削った部分)の止血はあまり進んでいないようで、メインで入っていた脱脂綿の1/3くらいの分量のガーゼを患部側の鼻の手前の方に挿入し、その上から綿球を入れて終了。

明日も点滴があるので針は刺さったままだが、点滴自体は繋がれておらずワイヤレス人間になったので院内を散歩する。かなり体力が戻ってきた気がする。これなら自力で電車で帰れそうだという実感が沸く。ちなみに入院患者用の割安な駐車場はないので、1週間駐めると結構な金額になる。

この日の午後に手術後初めてのお通じあり。

 

■手術4日目

発熱:なし
出血:まだ出る。綿球を2~3時間に1回は交換したいレベル。
頭痛:なし
点滴:5時間程度
歩行:敷地内は可能

朝一番で診察。昨日鼻に追加したガーゼを外すも、出血は継続中。ただし少量のためガーゼは撤去し、綿球のみとなった。本当はこのタイミングで鼻洗浄の練習をするはずなのだが、私はもう鼻洗浄はプロなので練習不要なのと、そもそもまだ出血しているので鼻洗浄は時期尚早との医師判断。明日まで様子見。

入院後初シャワー。点滴自体は外したが針はそのまま、鼻の綿球もそのままで注意してシャワーを浴びる。退院に向けた諸々注意事項の説明が始まる。入れ替わり立ち替わりいろんな人が来て手続や今後の生活について説明してゆく。手厚い。本日で点滴は終了、手術の日に刺した点滴針がようやく抜けた。

 

■手術5日目(退院)

発熱:なし
出血:まだ出る。綿球を2~3時間に1回は交換したいレベル。
頭痛:なし
点滴:なし
歩行:制限なし

退院日。昨晩くらいから嗅覚が徐々に正常化してきたのか、鼻の中に変な臭いを感じるようになった。手術前に感じていた膿の臭いともまた違うのだが、膿には違いなのかもしれない。止血後早々に鼻うがいを始めなければならない理由はおそらくそのためなのだろう。

電車で重い荷物を持って帰宅したところ、さすがに入院明けにはきつかったようで、腰をやられて翌日から4日ほど腰痛に悩まされる。なお綿球は次回診察(術後11日目)まで鼻に入れていて欲しいとの医師指示。

 

■手術11日目

経過観察の診察。綿球を継続的に入れていることと、頻繁な鼻うがいが功を奏しているようで、とても綺麗に治癒しているとのこと。鼻腔内に残った若干の止血物質を吸引。この日の診察でまた微量の出血があり、止血のための綿球を挿入。この止血が終われば、綿球は外して良い模様。

 

とりあえずこんなところです。同じ症例の方の参考になれば。


八景島シーパラダイス方面(右奥)

 

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