DMR-BW730 レビュー

本レビューはモノフェローズ向け貸出機ではなく、自腹である。

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■相変わらず極薄ボディ

機能てんこ盛りのブルーレイレコーダーながら、この薄さはちょっと凄い。システムLSI「ユニフィエ」を使ってシステムの統合化を進めた結果、基板を小さくでき、薄くするのに邪魔となる背の高い部品をBDドライブの下から廃することができたからではないかと思う。またシステムLSI統合化の恩恵だと思われるが、待機時で最小0.3W、動作時で最大29Wという低消費電力を実現している。ソニーのレコーダーなど、軒並み60W以上食うのだ。本機自体は高価だが、消費電力だけは家計に優しい仕様だ。

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低消費電力と言うことは発熱も少ないわけだが、しかしこの製品自体は熱に弱いようで、他の発熱する製品の上に置くなと説明書に明記されている。一般的に光ドライブのレーザー発射装置は熱に弱いものだが、まだ登場間もないブルーレイ用の青紫レーザーということで、熱に煽られることに対しては余力が少ないのかも知れない。薄くて小さくてその辺にちょこんと置きたくなる筐体なのだが、永く使うつもりであれば東芝のチンチンに熱くなる古いレコーダーの上に置かないなど、設置場所には気をつけたい。

■4倍録画から5.5倍録画へ

Panasonicが最もウリにしていると思われる機能アップが、5.5倍録画モードである。従来機種ではハイビジョン録画ができる最長のモードがHEモード(5.7Mbps)だったが、今世代からその下にHLモード(4.3Mbps)が追加になった。余分なデータ放送のデータをカットしたり、画質チューニングを進めた結果、より低レートでも実用的な画質を出すことに成功したようだ。実際HLモードを見てみると、さすがに動きの激しい番組はブロックノイズの嵐になるが、トーク番組など動きの少ない番組であれば充分実用になると感じた。Panasonicの説明によるとその他のモードでも画質が向上しているようである。なお、過去機種と比較すると、データ放送をカットすることで、概ね1割程度のデータ量の節約になるようだ。

本機はチューナーを2基搭載しており、2番組同時録画が可能である。同時録画をする際に少なくとも片方の録画はDRモードでないとならない、という制限はあるものの、2基の録画系統への振り分けをユーザーが意識することなく予約が可能なのは素晴らしい。

■細かい変更点がいろいろ

従来機種ではリモコンの「操作一覧」だったボタンが現機種では「スタート」ボタンに変更されていたり、「再生ナビ」が「録画一覧」に変更されていたりするが、単なる名称変更で機能は従来と一緒である。「スタート」はWindowsのスタートボタンを模したものと思われるし、海外展開も視野に入れてのことだと思うが、Windows自身が「スタート」という名称を廃したことからも言えるように、あまり良い名称とは思えない。

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また、これは変更点ではなく過去機種も同じなのだが、リモコンではCSボタンの「1/2」表示と下の「予約確認」表示が近接しており、当初「1/2予約確認ってどういう意味?」と戸惑ってしまった。しかし裏を返せばそれだけ文字表示やキートップが大きいわけで、他社よりは幅広い年齢層に受け入れやすいリモコンと言える。リモコンの赤外線発光部も角度を変えて2つ装備されているので、リモコンを立て気味に使った場合でも操作が可能である。

画面メニューは多くの場面でフェード&ズームイン表示になった。見栄えはいいが、ちょっとまどろっこしく感じるときもある。細かいことを言えばズームイン中のスケーリングがMacやiPhoneと比べるとやや汚く、改善の余地はあろう。

AVCHD記録したSDカードはHDDにダビングしなくても直接再生できるようになった。また、BW730/830/930の全機種でフロントポケット内にUSB端子が装備され、HDDにAVCHD記録するカメラからの直接取り込みが可能になった。対応可能な機種はパナソニックのサポートページで公開されている。

前機種での問題点だった「ディスクにAVCRECする際に”高速ダビング”と”他社機との音声互換性”が両立しない」点は解消されている。但しその代償として、AVCRECディスクへの5.1ch音声記録はできなくなっている。元々AVCRECディスクへの5.1ch記録自体が松下のオリジナル仕様だったので、いさしかたないだろう。(松下はAVCRECへの5.1ch音声記録を既成事実化してデファクトスタンダードにしたかったのだろうか?)

■画面周り

EPG(番組表)はヤケになったように最大19ch表示が可能だが、解像度はともかく情報量が激減してしまうのであまり実用的ではないだろう。案配がいいのは7ch表示あたりではないか。

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ウチのテレビ(日立W37P-H9000、1024×1080画素)にHDMI接続したところ、EPGなどのグラフィック文字表示の輪郭強調がきつすぎて、ギラついた印象だった。そこでテレビ側の「ディテール」設定をOFFにして、「シャープネス」を目一杯マイナス側に設定したところ、ちょうど良い見やすい表示となった。

番組検索や自動録画系はソニーと比べるとやや貧弱なのは相変わらず。ジャンル別検索をしてもEPGの当該枠がハイライト表示されるだけで、見通しが良くない。キーワード検索をすれば一覧表示され一覧性は向上する。キーワード自動録画機能はなく、自動録画機能を働かせられるのは「夜ドラマ」と「アニメ」だけである。また自動録画はDRモードで行われ、変更はできないようだ。

自動録画機能で録画された番組は視聴終了後「毎週録画をするか?」という趣旨のダイアログが表示され、気に入った場合の毎週録画設定が容易にできる。この造りは往年のソニーのレコーダー「コクーン」を彷彿とさせる。

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録画予約はEPG画面から録画したい番組を選んで「決定」…とうのが大抵のレコーダーの操作系だし、本機でもそれでいいのだが、実はEPG画面から「赤」ボタンを押すとそれだけで予約が完了するという、これ以上ないイージーさである。

一方、決定ボタンを押すと毎週予約とか録画モードとかの変更ができるのだが、その過程で最後に表示されるこの注意画面:

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の表示時間が長すぎるという指摘を目にするが、この画面が表示されたとき、親指が「決定」ボタンの上に乗っているはずだが、そのままもう1回「決定」を押せばこの画面はすぐ消える。この画面の下の方に”「決定」または「戻る」で表示が消える”旨のガイダンスを表示すればいいのではないかと思う。

■どの機種を選ぶ?

さて、上位モデルと下位モデルでは価格が2倍以上違うBW730/830/930だが、システムLSI「ユニフィエ」を採用して設計の共通化を図る本シリーズは、嬉しいことに上位モデルと下位モデルの機能差が少ない。各モデルの違いはおおよそ以下のようになっている。

BW730
2層4x対応Blu-ray + HDD320GB、5.5倍長録画、ダブル録画、
HDMI端子、前面USB/i.LINK端子、AVCHDカード直接再生、
ドアホン録画、アクトビラダウンロード対応

BW830
BW730の内容に加え、HDDを500GB化、後面にもi.LINK端子を追加。
同軸デジタル音声出力端子を追加、実勢価格2万円アップ。

BW930
BW830の内容に加え、HDDを1TB化、リア端子を金メッキ化、
高音質パーツ使用、オーディオ専用電源、OFC電源ケーブル、
フロントドアポケットを黒からメタリック調に変更、
インシュレーター(脚)を追加、実勢価格BW830から5万円アップ。

ピュアオーディオをかじったことがある人ならBW930の贅沢なパーツ構成に心を惹かれると思うが、恐らくリビング用途ではこの性能の真価を発揮できないだろう。遮音が効いて、それなりのスピーカーを使えるホームシアター向きである。一方、BW830とBW730では選択に悩むところだが、HDDが+170GBと、後面i.LINKと同軸デジタル音声出力に20,000円の魅力を感じられる人は限られるのではないか。HDD容量が320GBでは心許ない気もするが、あまりHDDに溜め込んでしまうと故障時の番組消失のダメージが大きいので、現時点ではこれでいいだろう。

ということで一般的なリビング用途では、BW730がベストバイのように思う。いま解っている、明らかに本機に足りない機能は「ポータブル機器への動画書き出し」程度だと思うが、必要とするユーザーは限られるだろう。(とは言うものの、俺自身は実は動画書き出し機能が欲しかった。) 恐らく来年以降のモデルでは動画書き出し機能を装備してくるように推測するが、そんなことを言っていたら一生買えないし、BW730は実質価格が9万円台に突入している店も見受けられる。動画書き出し機能に魅力を感じず、ブルーレイレコーダー導入のタイミングを見計らっていた人は、そろそろ買ってしまってもいいのではないだろうか。

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