パナのハイビジョンカメラ’09春モデル

そっかー、卒業・入学シーズンだもんね。出るよね、新型。春の運動会のところもあるし。おっと、ムスメが入る小学校も運動会が春だった。

報道資料などを見た所感。

まずモデル構成は、今回初めて「ダブルメモリー」のTM300が登場し、ハイビジョンモデルのラインナップはHDD記録のHS300/HS200、SDカード記録のみのSD200を合わせて4機種となった。TM300のTMはツインメモリーの略だろうか。HS300とTM300を主力販売としたいようで、この2機種にはシルバーとブラックの2色のボディがラインアップされ、電子ビューファインダーやアクセサリーシューも装備される。なおTM300のアクセサリーシューはグリップ側という見たこともない位置に配置されている。

やはりカメラとしての基本性能であるMOS撮像素子には触れねばなるまい。従来のSD100/HS100が1/6インチの61万画素×3だったのに対し、今回は1/4.1インチの305万画素×3になっている。ざっくり計算してみたところ、画素ピッチは約4.07μmから2.67μmと約65%減っているようなので、集光効率で言えばSD100の約4割しかないという、恐ろしく暗所に弱そうなCMOSである。

とはいえ、カタログスペック上では最低照度は1/30秒シャッター時で従来機種の2.0ルクスから1.6ルクスに向上している。MOSの暗所性能は画素ピッチだけで決まらず、たとえば各画素の上に配置されるマイクロレンズやアンプの工夫にも依存するとはいえ、これはまた随分がんばっちゃった画素数で出してきたものだと思う。一般ユーザーは絶対に画素数で買うと信じている。画素数を上げるためにはいかなる犠牲も厭わないという信念を感じる。ちなみに、レンズは明るくはなっていないようだ。

もしかすると、画素数が充分小さくなればノイズも小さくなるので、意外と暗所性能の悪さは数値ほど感じないかも知れない。同じファイルサイズでも、低画素の低圧縮より、高画素の高圧縮のほうが高画質に見える原理と同じで、人間の視覚はノイズより解像度に敏感だ。

消費電力は前モデルのSD100と液晶使用条件で比較した場合、SD200は従来の3.7Wから4.5Wに増えており、バッテリー稼働時間が1割強減っているようだ。これは高画素のCMOSをドライブしなければならなくなった弊害と考えていいだろう。

パナソニックのハイビジョンカメラはジョイスティックによる操作が特徴的だった。配置位置を含めて初代のAVCHDカメラであるSD1の操作性が最高で、モデルチェンジを重ねるごとに改悪傾向にあった。しかし今回はタッチパネルを取り入れ、ジョイスティックは廃止されたようだ。

液晶パネルには環境光センサが装備され、バックライトの明るさが環境に合わせて自動調節できるようになった。自動調節の幅がどの程度かは不明だが、暗い場所でこうこうと液晶を光らせる迷惑度や、明るい場所での見えにくさの改善に繋がるだろう。

液晶パネルを閉めた際に対面になるところに付いているスピーカーのようなものは、実はスピーカーではなく冷却ファンの排気口である。従来までは目立たない位置に付けられていたが、これまたずいぶん思い切った位置に付けたものである。ファインダーがない機種ならともかく、ファインダーがある機種では液晶を閉めた状態でも使われるはずだが、排熱は大丈夫だろうか。なお、本当のスピーカーは本体上面にある。

従来機種で不評だった「バッテリーを外さないと接続できないHDMI端子」は位置が改善され、バッテリーを外さなくてもHDMI接続できるようになった。バッテリーでHDMI接続ができなかったオトナの事情を解決できる目処がようやく立ったのだろう。

TM300には内蔵メモリーの容量が足りなくなった場合に、SDHCカードにリレー録画できる機能が装備されている。内蔵メモリーとSDHCカードに分断されたデータは、あとで結合してSDHC側にまとめることができる。これは考えると結構面倒な技術で、中の人はできれば実装したくなかっただろう。ユーザーの立場に立って考える姿勢に頭が下がる。

HD Writerはバージョン2.6の後継ではなく、HD Writer AE Ver1.0になっている。AEって何だろう。アドバンスドエディションだろうか。だいぶ機能強化されているようで、ブルーレイディスクへの書き込み、タイトル字幕の挿入、トランジジョン、部分削除、分割、YouTubeアップロード機能などが新しく追加されている。

なお、タイトル挿入やトランジションは再エンコードがかかるようで、Core 2 Quad 2.6GHzのPCを使っても、処理時間は実時間の5倍程度はかかるようだ。(「分割」は以前からあった筈だが、タイトル内のシーン分割ではなく、別タイトルへの分割ができるようになったと言うことだろうか?)

なお、HD Writer AEは従来機種のユーザーでもぜひ入手したいところだが、動作条件に「他の機器で記録したビデオの取り込みはできません。以前に発売された当社製ハイビジョンカメラで撮影したビデオを取り込むにはその機器に付属のHD Writerをお使いください。」とあることから、従来機種のユーザに向けの販売はなさそうである。

以上。

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