CP+レポ:JVC GC-PX1

JVC GC-PX1

「息を飲むような決定的瞬間は時間の流れの中にある。」

本当でしょうか?
皆さん、家庭用ビデオカメラ(特に安いもの)で明るい場所でスポーツを撮影したときに、ある違和感に気がついたことはありませんか?

それは一旦置いといて。

JVC GC-PX1

どうみてもNEXです、本当にありがt(ry と言いたくなるデザインですが、NEXより一回り大きいんです。ビクターのエンジニアが寛大なのを知ってか知らずか傍若無人にもNEXと並べて大きさを比較した写真はBさんの記事参照(最後の写真)
いや、私も撮ったんですが、Bさんの方が写真が上手だったので…。

このデザイン、どこのカメラメーカーでも若くて熱い人に企画をやらせると絶対に一度は描くデザインだと思うのですが、その割にはソニーしか商品化しなかったという、ありそうでないデザインの最右翼だと思っています。

なぜこの構造がありそうでないかと言うと、まぁ設計してみると電気的にも機械的にも熱的にもコスト的にもあまりいいことがないんですね。いいことといえば尖ったコンポ—ネンツ(異様に大きな光学系とか)を組み込みやすいことと、グリップ感でしょうか。NEXも似た形ですが、あれは一眼レフを限界まで削ぎ落とした結果、たまたまあの形に行き着いたもので、このPX1とはおそらくアプローチが逆方向です。

なぜあえてこのデザインできたのか不思議でならなかったのですが、カットモデルを見て納得しました。液晶がはまっている本体部には、ほとんと基板が入ってないんです。入っているのはキースイッチ類を乗せる基板と、電池、液晶に関する構造部材くらい。つまりあの極薄に見える本体っぽいものは単なる保持用の構造部材で、電気回路のほとんどは鏡胴部に入っていたのです。つまり同社のEvrioのフォーム変え、と見ることもできるわけです。

JVC GC-PX1

とはいえEvrioとの決定的な違いは、動画と静止画のスペックが高次元で両立していること。しかし実は動画と静止画は相容れない面があるのです。キッチリ写った静止画を30fpsで並べても必ずしもスムーズな動画にはならないんですね。小さな動きなら気がつきにくいのですが、走っている人など、動きがパラパラしてしまう。冒頭に書いた「ある違和感」とはこのことで、動きのスムーズな動画から抜き出した1枚というのは、静止画としては結構ブレブレで、もちろん動きが表現されていてそれはそれで一つの作品の表現方法としてはアリなんですが、それはユーザーの望みとどれくらいマッチしているのかなぁと。

動画と静止画のどちらを重視して設計するかにもよりますが、仮にどちらも同じくらいの重み付けで設計した場合、その動画は動画重視のカメラよりパラパラした感じになり、動画から切り出した静止画はスチル重視のカメラよりブレている、ということになりがちです。

動画のパラパラ感を抑えるのであれば絞るなりNDフィルタを入れるなりすればいいのですが(※1)、するとシャッタースピードが遅くなった分、「息を飲むような決定的瞬間」がブレて見えてしまう…この矛盾をどう解決するのか、またはそこの案配もユーザーに学習してもらった上で「お好みでどうぞ!」と開放しちゃってるのか、気になるところではあります。たぶんAV Watchで小寺氏あたりが画質のレビューしてくれると思うので、それを期待したいと思います。

※1:安い家庭用ビデオカメラには絞りまたはNDフィルタが入っていないものがあり、明るい場所で撮影すると動きがパラパラします。

それとちょっとアレ?と思ったのは、各種資料には「300fps・2時間連続」撮影可能と書いてあるのに、ボディには全力で「60fps」と印刷してあったこと。よく情報を探したらプレスリリースに書かれていました。300fps撮影時は「640×360/60p/音声なし」だそうです。最初この制限を見つけられなかったので、すげぇ遂にフルHDを300fpsで読み出せるCMOSが出てきやがったか!と度肝を抜かれ、「その高速映像読み出しで発生する膨大な熱(CMOSも半導体なので高速で駆動するとCPU同様に発熱する)を廃熱するためのこのデザイン(極薄のボディがヒートシンクになっている)なのか!?」とも思ったのですが、どうも夢想しすぎたようです(ぉ

JVC 4K2K CAM

…もちろんこちらは中身は入っていないと思いますが、やろうと思えばこのサイズでイケるだろうという技術予測ですね? もちろんフルHDカメラが今や手のひらサイズなんですから、ムーアの法則に従って4K2Kカメラも小さくなるんでしょうねぇ。


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