最初からこの仕様で出ていれば――
エンジニアリングの世界では、よくあることである。
SD1は「他社の中級機と比べて競争力のある価格」と言われながら、蓋を開けてみれば約60万円という価格は溜息と共に迎えられた。溜息だけではない。SD1を一日千秋の思いで待っていたユーザーからは、怒りすら買ってしまった。もちろん60万円という価格はシグマ社の本意ではないことは明らかだった。しかしその理由は公には説明されることなく、シグマは言い訳なしの正面勝負に出た。
しかし一般的には手が出にくい価格とはいえ、その独自性、その画質を考慮するとあり得なくはなかった。実際、少なからずSD1を手に入れたユーザーはいた。半導体に「ひとっ飛び」の技術はない。4,600万画素のFoveon X3を積んだ孤高のカメラは、何年もかけてジリジリと手が届く価格に下りてくるのだろうと思われた。
山木社長のそのリリースと共に公表された、フォビオン技術の知的所有権を保有するディック・メリル氏の名を冠した新SD1「Merrill」の価格は20万円。
これが最初から出したかったSD1であることは明白だった。
そして初代SD1の価格が「Foveon X3における一部製造上の課題を解決することができなかったため」に高騰してしまったことも語られた。つまり、Foveon X3自体に何らかの革新があったのではなく、本来あるべき姿で製造できるようになったと言うことだ。
驚きはそれだけではない。
SD1を孤高の存在にせしめる4,600万画素Foveonセンサーを、シグマはコンパクト機のDPシリーズにねじ込んでしまった。
DP1 Merrill DP2 Merrillである。
レンズ資産もあるし、いくら価格が1/3になったからって、そう簡単にマウントは増やせない。でもFoveonセンサーを自分の手で操ってみたいーーそういった要求に応えるコンパクト機、DPシリーズ。単焦点機であるDPシリーズのレンズは実は相当に高水準。おそらくSD1に安ズームをつけるくらいなら、DPシリーズの方がよほど高画質なはずだ。
先日貼ったばかりだが、某氏にDP2xを買わせた原因となったカットを再掲しておく。これは1,445万画素のDP2xで撮ったもの。ぜひクリックして等倍で見て頂きたい。Merrillシリーズははこの3倍の画素数となる。空恐ろしいと言えよう。
コメント
いつも参考にさせて頂いております。
↑この画を見た後に、同じく欲しくなりました。
「そう簡単にマウントは増やせない。」そんな需要を、上手く突いてきますね。
そうですね、いくらSD1が1/3の価格になったとしても、
レンズまである程度揃えるとなると、けっこうな
出費になってしまいますからね。
しかもDPシリーズのレンズは描写能力でその辺の一眼用
レンズを越えます。これは…
なんだって。。。
今nikonのD80を使っているけど・・・
こんなの出たら、大きさ的な意味でもうD80使わなくなりそうですね…
ていうか無敵なんじゃないか、このカメラ。
し か し 値 段 が 気 に な る
ですねー・・
いや、実は、出てくる絵は凄いのですが、
それが意図通りかと言われると、難しい場合があるのがFoveonです。
コントローラブルなのは、たぶん、D80のほう…