LEVORG 車庫入れ&高速試乗してみました

LEVORGを借りてきました。B型(2015年型)ではなく、A型(2014年型)ですが。



目的は駐車場の出し入れで擦るのであれば、これ以上検討するのはムダなので、その点のジャッジをするためと、NVHの確認です。本気レビューなので、辛口な箇所があります。オーナーの皆さんごめんなさい。先に謝っておきます。



まず擦らないようにツマに見てもらいながら、恐る恐る自宅車庫にバック。後端はクリアしました。というか、余裕。



そしてAudi A3のスポーツサス搭載車が擦った前部ですが…オーバーハングの長いレヴォーグは不利なはずですが…おおぅ、クリアしました。というか、見た感じオーバーハングが短くて有利なA3より余裕です。これはスバル車のバンパー前下部を少し持ち上げるようなデザイン傾向が効いていますね。

借りてきたLEVORGは1.6GTだったので、上位サスペンション(ビルシュタイン)搭載車ならさらに5mm余裕が生まれるというわけです。そう、レヴォーグは上位モデルの方が最低地上高が5mm高いんですよね。タイヤが17→18インチになるからだと思いますが。

さて、駐車場の出し入れをクリアしたので、レヴォーグが継続検討の対象になりました。引き続き室内を見回してみます。

高級感があると巷で言われているLEVORGの内装ですが、さすがに「高級腕時計を参考にした」と言われるAudi A3(新型)と比べるのはさすがに分が悪いです。でもA3だって高級感はありますが、5年目くらいからラバー塗装が剥げてきますからね。スバルがそういう浮ついた高級感に手を出さないのはなんとなく分かるような気がします。



ぱっと見た感じで惜しいのは、このエアコン吹き出し口のダイヤル。開閉のアイコンとダイヤルに白の差し色を入れるだけでも全然高級感が違うと思うんですけどね…こういうところに心配りしないところが、良くも悪くもスバルらしさなのでしょうね。



エアコン操作部のボタンの質感はGOOD。すぐキズだらけ指紋だらけになるピアノ調パネルなんて使わないので、インパネをこの質感で統一してくれればいいのに。そういう意味ではハリアーも不合格で、LEXUS NXの質感が羨ましいところ。



説明書をぱらぱらと眺めると、あれ?ハンドブレーキの記述が…これは廉価モデル設定の布石ですかね。



Audi A3にはないけど、レヴォーグにもハリアーにもLEXUS NXにもあるのが、後席リクライニング。どういう仕組みなんだろうと思っていたら、アンカー部分が可動式なんですね。なるほど。



イマドキ20世紀の車かよ、と揶揄されるボンネット上に大きく開いた空気取り入れ口ですが、どうもよくよく話を聞いてみると燃費向上策なのだと言います。こうやってターボ関係の何かを冷やしているようですが、これくらいのラジエーターは車両前部に入らなかったのでしょうか…入らなかったんでしょうねぇ…。(このほかに普通のラジエーターが勿論あります。)



アルミホイールは燃費が0.1km/L改善するというホイールキャップ式。一部モデルのプリウスもそうなんですが、私は折角のアルミホイールに樹脂キャップをするのがあまり好みではありません。勿体ない気がしてしまうのです(貧乏性

あと最近流行のホイール内側を黒く塗装する方式ですが、汚れが目立たなくていいかなぁ…と思っていたら、これはこれで白く汚れるんですね。うーむ、目論み外れる。



ドアの開閉をしていたらチクッと指に刺さるものがあったので、何だろうと凝視してみると、窓枠の角で表面フィルムの折り曲げのところがトゲ状になっていました。左右のドア両方とも同じようにトゲになっていたので、作業工程で気にしていないものと思われます。ザクの左肩じゃあるまいし…。にしても、窓枠って塗装じゃなくてフィルム貼りなんですねぇ…。



さて、NVHの方を確認すべく、公道に出てみます。

やはり以前座ったときと同じで、シート位置が下がりきらないのが気になります。視界を確保したいという意図は分かりますが、身長が高い人向けにもう少しリフト量の範囲を下側に広くしてくれても良いと思うのですが。ああ、そういえばパワーシートの場合のリフト量が手動シートと異なるのではないか?という問い合わせに対するスバルからの回答はまだありません。たぶんお客様センターからメールが飛んできた設計担当者が絶賛放置中です。

シートベルトの張力が結構きつめですね。調べてみたらテンション軽減装置(レデューサー)が入ってないんですね。

ドアミラーが上下に大きいので後方確認がとてもしやすいです。その点Audi A3はカッコ優先で上下に細いミラーを採用しているのでどうしても死角が大きくなりがち。A3は最近のモデルでバックミラーの角も落とした丸っこいミラーになってしまい、まったく理解できません。それに比べたらスバルの視界の広さは好感を持てます。

シート位置が高めな上、さらにショルダーラインが低いので、A3と比較すると包まれ感は希薄。不安にすらなる…とは言い過ぎかも知れませんが、ガラス面積、特にサイドのガラスが広いなぁと感じました。

充分暖機した状態で発進しましたが、よく言われているとおり、出だしの時のアクセル開度に対するエンジンのリニアリティが気になります。ターボ効率を良くするためか、早く3,000rpmまで上げてしまおう、という車側の制御意図を感じます。基本1,600ccのエンジンなので3,000rpmは普通に常用域なので驚くに値しませんが、小排気量ターボの宿命か、上り坂か下り坂か、1人乗車か多人数乗車かでアクセル開度に対するクルマの挙動がかなり変わってくるので、同乗者に気持ち良く乗って貰うには、走り出しのアクセル開度はかなり気を遣います。

ステアリングの滑らかさもあまり感心できませんでした。ただですら滑らかさにハンデがある電動パワステに、さらに車線制御まで組み込んでいるので複雑な仕組みなのは解りますが、もうちょっと回転の滑らかさという観点で官能的に追い込んでくれればなぁと思います。ただお借りしたのがベースグレードでウレタンステアリングだったのでメカの感触がダイレクトに指先に伝わってきた可能性は否定できず、LEXUSと同等の革を使うというGT-S系のステアリングであればもう少し印象も違ったのかも知れません。

スバル初のD型ステアリングらしいですが、思ったほど操作性は悪くありませんでした。むしろD型の平らな部分を掴んだ感触が、EOS 5Dや7D系の縦位置グリップを握ったときの感覚にすごく近くてものすごい既視感を覚えました(笑

ブレーキを踏む量の強さでアイドリングストップのON/OFFが制御できるのは面白い仕組み。逆に、ウインカー点灯や舵角を参照してアイドリングストップOFFにはならないようで、交差点の真ん中で右折待ちしていても容赦なくエンジンが止まります。

アイドリングストップからの復帰はさほど高級感は感じられませんでした。ステアリングコラムに伝わる振動が気になります。これも本革巻きステアリングだったら少し感想が違ったかも知れません。



首都高に乗ってアイサイトVer.3を試してみます。追従型オートクルーズは何キロまで設定できるんだろうと思いましたが、114km/hまでみたいですね。まぁ充分でしょう。前走車がいなくなったり、車線を見失ったり、ステアリングを掴んでいる手の力を緩めたりすると「ピッ!」というアラート音が鳴ります。車線を見失わない限り、ステアリングが勝手に操舵されます。高速道路の自動運転はこんな感じなのかぁ、というのを体感できます。

ただ、首都高では思いのほか白線が汚れていたり消えかかっていたりしているところも多く、車線認識できる確率はそう高くはありません。白線と側壁が近い場合にも認識できないようです。自動操舵されていると思って気が緩んでいると偉い目に遭います。車線認識中アイコンに目を凝らすくらいなら、普通に自分で操舵しましょう(笑。

方向指示灯が欧州車同様、ちょっとレバーを倒すと3回点滅するワンタッチ機構が装備されていたのは嬉しかったです。

レヴォーグのオートクルーズは全車速対応型なので、渋滞の時のストレスがかなり低減されます。停車までは自動で、再発進の時にだけ少しアクセルを踏むか、ステアリングに付いているレバーを親指で操作すればOKです。

追従型オートクルーズで減速するときにどういうタイミングでブレーキランプが点灯(もちろん自動点灯)するのかよく解らなかったのですが、本当に少しでも減速すると点灯するっぽいですね。ブレーキランプが点灯するタイミングでインパネ下部、右膝のあたりからリレーがカチカチと鳴る音がします。



乗り心地は良好で、ボディ剛性はAudi A3と比較して劣っているという印象はありませんでした。またサスペンションも伸び側、縮み側とも滑らかで、国産車にしてはかなり欧州車に近い乗り味になっていると思います。これはぜひビルシュタインサス搭載車にも乗ってみたくなりました。

騒音は国産にしては頑張っているのだとは思いますが、なぜかロードノイズの高音側が良く聞こえます。低音側は割と遮音されているのに、なぜ高音側…?



フロントとリア周りの造形に気を遣ったのは解りますが、その間…2枚のドアのあたりの造形に気が抜けてしまっているのが何とも惜しいです。これがややもすると商用バンに見えてしまう原因でもあるんですよね。オプションのドアモールプロテクターでも付ければ多少は面の緊張感が生まれるでしょうか。

クルマ全体を通した印象ですが、確かに価格に見合う物量や複雑なメカを搭載しているなぁというのはとてもよく解ります。解るんですが、でもそれぞれのテイストがバラバラで、クルマとしての世界観が希薄だと思いました。ドアを閉める音、驚くほど大きな室内側から施錠する音、シートベルトアンカーの安っぽいロック音、ステアリングの回転方向の滑らかさが足りない感じ、エアコン吹き出し口のダイヤルの操作感、クラクションホーンの音、アイドリングストップからの復帰、樹脂の質感…ぞれぞれがバラバラで、これを見てしまうとやっぱりAudiって世界観の構築という面では凄いんだなぁというのを実感してしまいます。レヴォーグが普通で、Audiが気を遣いすぎなんだとは思いますが。

しかしAudiを始め欧州車の、日本の四季に対する耐久性のなさには辟易したし、質感は高くても5年で剥げてくるような内装ってどうなんだとは思います。WVグループの事件もどこまで影響が波及するか全く読めないので、もうVW/Audi車を買うことはないかなぁ…という気持ちはあります。今期も乗っているA3の方向指示灯が2回ほど、操作とは一瞬逆向きに点灯しました。この症状が出ると冬が来たなぁ…と思います。

さてレヴォーグですが、候補車がいくつかあるうち、これは合格点には達したとは思います。思いますが、どうもクルマを買う前の、あのワクワクする気持ちがまったくないのは何故なんでしょう。クルマを買う前にこんなにワクワクしないのは初めてです。

背負うものが大きくなってしまったのか、慣れすぎたのが、歳をとったのか…。買う頃には私は47~48歳、これが一生で最後のクルマ選びになるか、もう1回チャンスがあるか、というところだと思うので、人生の「上がり」を象徴するクルマとしてどうなのかとか、そういうセンチメンタリズムが影響しているのかも知れませんが。周囲から見ればクルマなんか最低限にして、家族にお金を遺しておいてやれよ、と思われるのでしょう。私も父と同じことをやっていますね。

もっとも今回お借りしたのはA型ですし、購入は2017年以降なので、その頃にはC型になっているかも知れませんしね。スバルは年次改良で結構手を入れてくるので、C型の登場を楽しみに待ちたいと思います。

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コメント

  1. スバル太郎 より:

    ハンドブレーキは登場当初の2014年、A型のみに設定されていたアイサイト非搭載グレードの1.6GTのなごりですね。

  2. Kumadigital より:

    素の1.6GTはハンドブレーキだったんですね!

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