モブキャラが主人公になった「閃光のハサウェイ」を観てきましたので、感想

いやぁ良かったです、閃光のハサウェイ。仕事の根回しをきっちりやって、休み取って朝一番で観てきました、っていうくらい楽しみにしてました。ここまでに何度延期されたでしょうか。数えてみたら、

当初公開予定日 2020.7.23
延期 2021.5.7
延期 2021.5.17
公開 2021.6.11

3回延びたんですかね。

ガンダムのUC NexT 0100ということで、次の100年を描くシリーズの第一弾三部作として作られた本作ですが、原作は30年前ながらも、映像と演出の力で今見ても全く違和感のない作品に仕上がっていました。この作品は「映像化不可能」と言われていましたが、その理由はおそらく「残酷な描写(結末含めて)」と「モビルスーツの形状が複雑すぎる」とうことで、前者をクリアしたのは時代が進むにつれて残酷的な描写が割と普通になってしまってきていることと、後者をクリアしたのはもちろんCGの普及でしょうね。

 

さてガンダムパイロット史上最もモブキャラかつ画面内にいるだけで苛つく(笑)とも言われているハサウェイですが、本作ではなかなかの男前っぷり。その正体はテロ組織「マフティー・ナビーユ・エリン」のリーダーな訳ですが、その正体を隠しての意図しない連邦士官=ケネス大佐との交流が本作の見所のひとつ。なお冒頭で謎の美少女ギギが「スーダン語、アラブ語、古いアイルランド語。ひどいメドレー、名前じゃないわ」と言ってるのはタブレットの中のどうぶつアニメのことではなく、「マフティー・ナビーユ・エリン」のことです。

前半はメカ戦はあまりなく、ハサウェイとケネス大佐の、テロ事件への対処で見せたお互いの実力を認めた(表面上かも知れませんが)リスペクトっぷりが心地よいヒューマンドラマ。連邦政府の腐敗っぷりを粛正するのがマフティの目的ですが、具体的に連邦政府がどう腐っているのかはあまり描かれないため、マフティの空回り感が感じられなくはないです。しかしテロ組織としてのマフティがハサウェイやギギ、連邦政府のお偉いさんが宿泊しているホテルを空襲するあたりから新次元の戦闘描写が始まります。

今までにないCGと手書きを融合した作画方法を試したということですが、確かに凄い。巨大なモビルスーツ戦を人間目線で見上げるのは「ポケットの中の戦争」が印象的ですが、本作ではそれを別次元で凌駕し、巨大なモビルスーツが生身の人間にダメージを与えるシーンがこれでもかというくらい連続します。また、モビルスーツのコクピットから見た風景の描写がこれまた素晴らしい浮遊感で、遠近感をきちんと描き切っているので、大画面で見るとコクピットの臨場感が半端ないです。しかしそれゆえ、大画面でないと小さくて見えないものがたくさん描かれるので、スマホとかタブレットでの視聴は辛いのではないかと思います。

CGでのモビルスーツ戦というとどうしても凝り固まった立体が重量感を伴わずにぶつかり合う印象がありますが、本作は全くそんなことがなく、モビルスーツの単独飛行を初めて実現した「ミノフスキークラフト」との相性も良いのでしょう、新世代のモビルーツ戦が見られました。これがこれからの戦闘描写のスタンダードになるとしたら凄いことです。

ハサウェイが乗るXIガンダムと、開発パイロット・レーンが操るペーネロペー(オデュッセウスガンダム)の戦闘の一端の決着は、ちょっとカタルシス感が足りない印象はありますが、従来のありがちな「うぉぉぉぉぉ!」「いっけぇぇぇぇ!」というような演出ではなくクールな頭脳戦だったのは良かったですね。カタルシス感と言えば大気圏突入カプセルからXIガンダムが出てくるシーケンスも原作とちょっと変えてありますが、どうせ変えるならここももうちょっとタメ感があると良かったかなぁ。XIガンダムがカプセルからいきなりピヨーンと飛び出して「えっそんだけ?」と困惑しました(笑。

そういえばその大気圏突入カプセル(XIガンダム入り)、月のアナハイムエレクトロニクス(かな?)から単独飛行してきたものですが、それを大気圏突入前にモビルスーツでキャッチしてハサウェイを乗り込ませるという重要ミッションを担うのは、バイオレットエヴァーガーデンなんですね。普段は姉御タイプのキャラなのに、超重要ミッションの緊張感からか涙目になってしまうあたりの演技にバイオレットちゃんのかわいさの片鱗が見られた気がします(笑。

声優ネタと言えば、ラストシーンに出てくるショートカットでハサウェイに馴れ馴れしい女の子(ケリアでーす)、ハサウェイの彼女ですが、公式サイトで声優名が非公表でしたが、オリジン版ララア・スン…というか最近だと「鬼滅」の胡蝶しのぶ(=早見沙織)でしたね。なぜエンドロールやパンフレットが公開されるまで非公表だったのか、謎です。

あと効果音。我々現実世界のスマホの緊急地震速報の音はわざと人間が嫌な気持ちになる音に設定したと聞きますが、本作でも劇中の警報音がなかなか生理的に嫌な気持ちになる音作りがされてて、なにもそこまでしなくても…とは思いました。他にはペーネロペーが飛ぶときの機械音ですが、ちょっと「竜」が叫びながら飛ぶ音に似せてますよね。そのペーネロペーの発音の仕方も予想と異なり、「ペーネロペー」ではなく「ペネロペー」、そしてアクセントも「ペネ↑ロペー」と「ネ」を強く発音するのが劇中設定なのかと驚きました。

劇場で複数回見ようかと思いましたが、Blu-rayが劇場で同時発売だったので通常版を購入し、帰宅後鑑賞しました。が…真っ暗で何も見えず。いやいや、これ大丈夫ですか。劇場だとそこそこ見えた夜間戦闘シーンが、ブルーレイだと真っ暗なんですが…。テレビの明るさを上げると見えてきますが、階調が足りない感じがします。本当に映像データとして暗い方にシフトしている印象があります。これ、家庭用のテレビでは「暗くて何が映っているか分からない」ってクレームになるんじゃないかなぁ。ジブリの「赤い」DVD事件とかもありましたが、これもちょっとそれに近いような…。おそらく、暗い部屋でプロジェクターで視聴するといい感じなのでしょうが、このあと出るであろうHDR版あたりを制作プロセスに加えた結果、通常版のマスタリングを「やっちまった」としたら残念です。

そういえば今回も限定ガンプラ(専用パッケージ・クリアカラー・ペーネロペー)が発売になりましたが、私が見に行った劇場では入荷個数がとても少ない感じでした。映画館の開場1時間前くらいに並びましたが、順番は30番目くらい。自分はブルーレイとパンフだけ欲しかったのですが、ガンプラの列と特に分離されていなかったのでそのまま一列に並んでいました。そうしたところ私の4人くらい前の人でガンプラ売り切れ宣言。遠目にレジを見ていた感じでは販売個数8個くらいだったでしょうか。ブルーレイは整理券を配っていたのに、それより個数の少ないガンプラに整理券がないのは謎でした。延々と並ばされたあげく、レジで「売り切れ」と言われるわけですから、こんなの令和の売り方じゃありませんよ。あれ限定ガンプラが欲しかったら2〜3時間前に並ばないと買えないってことですよね。おそらく先頭の方は転売を生活の生業にしている人の可能性が高く、そういう意味では8個(推定)しか割り当てなかったバンダイの姿勢、あるいは劇場の物販担当の会社の判断、そのあたりは明らかに間違ってましたね。

とはいえガンダムファクトリー横浜でも別室でペーネロペーとXIガンダムのガンプラ販売専用部屋があったのですが、閑古鳥が鳴いてましたね…あれを観ると「割当8個でいいか」って気もしますが(笑。難しいものです。

 

入場特典のフィルムは、寝る間を惜しんでマチルダさんに会いに行って「お前は寝てろ」と怒られるアムロでした。

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